予期せぬ襲撃者
「ついてない。」
それがカズトの感想だった。彼はちょうどいま盗賊たちと戦っている。カズトはモリブデンの街へ向かう隊商の護衛をしており、ちょうどいま襲来してきた盗賊団と剣を交えている。
カズトを含めて護衛側は10名いるのに対して盗賊側は14名ほど。人数でいえばカズトたちが不利だ。だがここまで護衛者側は2名ほど負傷したのに対して、盗賊側はすでに10名近くが倒されている。護衛者側はカズトを含む数名が手練れであったため、完全に護衛者らが押している状況だったためだ。
「もう無駄だから早く帰れ。」これはカズトの感想である。盗賊側がさらに3人ほど切り倒されたところで、状況を悟った盗賊たちがようやく撤退した。
盗賊たちが去ったため、護衛者および商人たちは負傷者を収容しつつ再出発の準備をする。目的地まではもう少しなので、心なしか皆の作業もいつもより早い。
だが、そのとき「うぁぁぁぁぁぁ!」と叫び声が聞こえた。見ると商人の一人が何者かに噛みつかれていた。
カズトは盗賊と思ったがかみついた者を見て否定する。普通の人のように見えたのだが、肌は不自然な色をしており、目も焦点があっていない。そもそも生きているのかどうかも怪しい。
近くにいた護衛者がすぐに振りほどこうとしたが、それより先に草陰から同じような者たちが数名現れて今度はその護衛者に襲い掛かる。奇襲に近い格好になり、護衛者は何もできずに倒れてしまう。
その姿に驚愕するカズトだが、周囲を見た時に同じような人たちが自分たちを取り囲んでいることに気づく。数はおよそ20人、中には剣やナイフなどの武器を持っているものもいる。




