安くて美味しい料理4
手伝っている途中で太郎さんと五郎さんもお店に顔を出してくれた。
太郎さんは言葉にしないものの表情は心配そうだった。
昨日まで毎日売っていたのに急に惣菜まんを売るのを辞めてしまったので心配してくれたのだろう。
私を心配したというよりはよしさんに何かあったのでは?という心配の方だろう。
「実は今日から少しの間だけお手伝いする事になったんです。」
「そうだったのか。」
あまり深く語らなくても太郎さんは納得してくれた。
こういうところよしさんに似ている。
ふっと五郎さんと目が合うがいつもと少し様子がおかしい。
目が合って何か私に話そうとするも、口を閉ざしてしまう。
「五郎さん?」
私が声を掛けると申し訳なさそうに話し始めた。
「あ~えっと…、料理の件なんだけどもう少し…安くしてくれないかなって。」
「もう少し安く…。」
「いやっ、無理だったらいいんだ。俺と太郎がもうちょい頑張ればいいだけの事だし。」
今すぐには返事が出来ない。
要望には応えてあげたいけど…。
「少し時間頂いてもいいですか?二日以内にお返事します。」
「わかった。太郎もそれでいいよな?」
「あぁ。」
五郎さんと太郎さんは初さんに挨拶をして帰って行った。
二日以内に答えを出さないと…。
仕事中に料理の事を考えないようにするもふっとした瞬間に考えてしまう。
「う~ん、中々思い付かないな~。」
そしてあっという間に一日が過ぎようとしていた。
帰り道考え事しながら歩いていると女の子に声を掛けられた。
でも女の子にしては声が少し低いような…。
「あ~!おでんのお姉ちゃん!!」
女の子は走って私の所にやって来た。
「こら、お菊勝手しないの…。走ったら着物が崩れるでしょ?」
見知らぬ綺麗な女の人と女の子。
でもよく見たら私この女の人は知ってる!
確か太郎さんと一緒の一座にいる人だ。
女の子は女の人の言葉を無視して私に話しかけて来る。
「またご飯作ってくれるんでしょ?俺、あの惣菜まんがいいな!」
「っ惣菜まんはご飯というよりお菓子かな~。」
今俺って言った?私の聞き間違い?
というより私この子と会った事ないような。
でもこの子が私を覚えているって事は会っているに違いない。
おでんのお姉ちゃんって言ってたから多分おでんを作った時に会ったんだと思うけど。
ひとまず女の人に挨拶をしておこう。
「お久しぶりです。この前はありがとうございました。」
女の人は私と目が合うとあからさまに嫌そうな顔をした。
うっ…私もしかして嫌われてる?
「…えぇ。お菊、言葉遣いに気をつけなさい。」
「は~い。」
二人とも綺麗な着物を着てお化粧もしていて凄く華やかだ。
「お二人とも凄く綺麗ですね。お仕事の帰りですか?」
「いいえ、これからです。では私達はこれで。」
「………。」
女の子は不思議な物を見るかのようにじっと私見て、女の人の後を追う。
「ねぇ…太郎。お姉ちゃんもしかして俺らの事ー。」
「その名前で呼ぶな。俺達は今も仕事の最中だ。それに…いいんだよ。わからなくて。何も知らなくて。」
次回もお楽しみに!




