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お題【狂気】

 その男は、気付いた時にはもうザクザクと砂場を掘っていた。

 何かに取り憑かれたかのように、一心不乱に。


「早く! 園児たちを中へ!」


 その声にハッとして、表に出ていた園児たちを慌てて屋内へと避難させ、全てのドアや窓を施錠してカーテンも閉めた。

 園長が警察に通報したことを告げる。

 カーテンの隙間から覗くと、男はまだ砂場を掘り続けている。

 随分と深さを掘ったようで、いまや男の背中が時折見える程度。

 しかし、どこから入り込んだのだろう。

 塀を乗り越えて?

 掘っている音を耳にするまで全く気付けなかった。

 これがもし、スコップではなく刃物を持っていたとしたら……背筋が凍る。


 やがてパトカーのサイレン音が近づいて来る……が、砂場の中央に空いた大きな穴からはひっきりなしに中の土が掻き出され続け、止む気配はない。


 到着した警官二人に守られるように、園長と私との四人で砂場へと近づいてゆく。

 砂場の中央の大きな穴からは今も砂やら土やらが掻き出され続けている。


「おい! 何やって……」


 警官の一人が穴の中を覗き込み、絶句している。

 私たちも恐る恐る覗いてみたら、そこにはもう男は居らず、代わりに、穴の底におびただしい数の人骨のようなものが転がっていた。

 足が竦んで思わず後退る。

 その時、視界に入った園長が、何か知っていそうな表情を浮かべていたことが恐怖を加速させた。




<終>

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