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ロックンロールは永遠だ!  作者: はまゆう


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3/10

第3回 1967年、サマー・オブ・ラブ——あの夏、何が起きていたのか

みんな、待たせたな。俺だ。


編集者に「長すぎる」って怒られながらも、書かずにはいられなかった。1967年——あの夏は、俺の人生で一番色が濃かった季節だ。今回はその話をしよう。


---


■ プロローグ:カリフォルニアの蜃気楼


1967年、6月。


俺はロンドンを飛び出して、サンフランシスコにいた。理由は単純だ。「何かが起きている」という噂を聞いたから。ヒッチハイクでアメリカ横断した挙句、たどり着いたのはヘイト・アシュベリー。花を髪に飾った子どもたち、サイケデリックな色のシャツ、そして道の隅々まで流れる音楽——。


あの街は「音そのものが空気になってた」。


空を飛ぶようなギターのフレーズ、ベースのうねり、そしてドラムはもはや4ビートですらなかった。ロックンロールの「2と4」はまだ生きてたけど、その上に別のリズムが何重にも重なってた。すべてが溶けて、混ざって、新しい何かに変わろうとしていた。


サマー・オブ・ラブ。


後から人はそう呼ぶけど、当時の俺たちにはただの「狂騒の夏」だった。そして、その中心にはいつも音楽があった。


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■ ある伝説的セッションの夜


ある晩、小さなクラブに潜り込んだ。名前は「The Matrix」。後に知ることになるが、ジェファーソン・エアプレインがレギュラーで出演してた場所だ。


その日はたまたま、彼らが新曲をリハーサルすると言うので、隅っこで見せてもらうことになった。演奏してたのは「White Rabbit」だ。


あの曲を初めて聴いた時の衝撃を、今でも覚えてる。


グレース・スリックの声が、ゆっくりと這うように始まる。シンプルなベースライン。でも、そのシンプルさが逆に不気味で——そして徐々に盛り上がって、最後は爆発する。


演奏が終わった後、グレースがこっちを見て言ったんだ。


「どうだった?」


俺は言葉が出なかった。ただ首を縦に振ることしかできなかった。


彼女は笑って言った。


「ロックンロールはもう終わったのよ。これからは…もっと自由な音楽の時代。」


当時は「何言ってんだ」と思った。でも今思えば、彼女は正しかった。ロックンロールは終わったんじゃない。進化したんだ。


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■ ジミ・ヘンドリックスとのある夜


その数週間後、モントレー・ポップ・フェスティバルが開催された。


俺は運良く関係者パスを手に入れて、楽屋エリアをうろついてた。すると、見覚えのある派手な服装の男が立ってる。ジミ・ヘンドリックスだ。


彼は壁にもたれて、誰ともなく話しかけてきた。


「イギリスから来たんだろ?ロンドンの空気、懐かしいぜ。」


実は俺たち、ロンドンのクラブで何度か顔を合わせたことがあった。彼がまだ無名で、チャス・チャンドラーに「この男を売り出したい」って連れ回されてた頃だ。


ジミは言った。


「今日な、新しいことやろうと思ってるんだ。ギターを燃やすの。」


俺は笑った。「また冗談言ってる」。


でも彼は真顔で言った。


「音楽ってな、聴くだけじゃ足りないんだ。見て、感じて、焼き付けるもんなんだよ。」


あの夜、彼は本当にギターを燃やした。そして世界中が彼の名前を覚えた。


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■ 「あの夏」が終わった瞬間


1967年の終わりが近づくにつれて、何かが変わり始めた。


街にはドラッグで壊れた若者たちが増えた。「愛と平和」の看板の裏で、ビジネスが動き出していた。俺はある日、ヘイト・アシュベリーの通りで、嘔吐しながら倒れてる17歳くらいの少女を見た。髪には枯れた花が絡まってた。


その時、俺は気づいた。


サマー・オブ・ラブは、もう終わってたんだ。


でも音楽だけは消えなかった。「White Rabbit」も「Purple Haze」も「Somebody to Love」も、あの夏に生まれた曲たちは、今でも生きてる。


あの夏、俺たちは何を手に入れて、何を失ったのか。


今でも答えは出てない。でも、あの音楽を聴くたびに、あの熱気だけは鮮明によみがえる。


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■ エピローグ:50年後の今


去年、久しぶりにサンフランシスコを訪れた。ヘイト・アシュベリーは観光地になってた。当時の面影はほとんどない。


でも、小さなレコード屋の前で、20歳くらいの若者がギターを抱えて「Purple Haze」のリフを弾いてた。下手くそだったけど、目は輝いてた。


俺は声をかけた。


「その曲、誰の知ってるか?」


彼は笑って言った。


「ジミ・ヘンドリックスです。50年以上前の曲だけど、やばくないっすか?」


やばい。今でも十分やばいんだよ、ジミは。


音楽は時代を超える。ロックンロールは死なない。あの夏の熱は、今もこうして若いギタリストの指先に宿ってる。


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■ 次回予告


さて、長くなったな。でもまだまだ話したいことは山ほどある。


次回は「1968年、転換点」だ。ビートルズのインド旅行、ストーンズの転落、そしてアメリカでは何が起きていたのか。あの混乱の年を、もう一人の伝説的ミュージシャンと共に振り返る。


それまで、あの夏の名盤をもう一度聴いてみてくれ。


ロックンロールは永遠だ。


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【編集部注】予告より大幅に長くなりましたが、内容の熱量を考慮し、特別に全文掲載といたします。次回こそはページ数厳守でお願いします。

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