第3回 1967年、サマー・オブ・ラブ——あの夏、何が起きていたのか
みんな、待たせたな。俺だ。
編集者に「長すぎる」って怒られながらも、書かずにはいられなかった。1967年——あの夏は、俺の人生で一番色が濃かった季節だ。今回はその話をしよう。
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■ プロローグ:カリフォルニアの蜃気楼
1967年、6月。
俺はロンドンを飛び出して、サンフランシスコにいた。理由は単純だ。「何かが起きている」という噂を聞いたから。ヒッチハイクでアメリカ横断した挙句、たどり着いたのはヘイト・アシュベリー。花を髪に飾った子どもたち、サイケデリックな色のシャツ、そして道の隅々まで流れる音楽——。
あの街は「音そのものが空気になってた」。
空を飛ぶようなギターのフレーズ、ベースのうねり、そしてドラムはもはや4ビートですらなかった。ロックンロールの「2と4」はまだ生きてたけど、その上に別のリズムが何重にも重なってた。すべてが溶けて、混ざって、新しい何かに変わろうとしていた。
サマー・オブ・ラブ。
後から人はそう呼ぶけど、当時の俺たちにはただの「狂騒の夏」だった。そして、その中心にはいつも音楽があった。
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■ ある伝説的セッションの夜
ある晩、小さなクラブに潜り込んだ。名前は「The Matrix」。後に知ることになるが、ジェファーソン・エアプレインがレギュラーで出演してた場所だ。
その日はたまたま、彼らが新曲をリハーサルすると言うので、隅っこで見せてもらうことになった。演奏してたのは「White Rabbit」だ。
あの曲を初めて聴いた時の衝撃を、今でも覚えてる。
グレース・スリックの声が、ゆっくりと這うように始まる。シンプルなベースライン。でも、そのシンプルさが逆に不気味で——そして徐々に盛り上がって、最後は爆発する。
演奏が終わった後、グレースがこっちを見て言ったんだ。
「どうだった?」
俺は言葉が出なかった。ただ首を縦に振ることしかできなかった。
彼女は笑って言った。
「ロックンロールはもう終わったのよ。これからは…もっと自由な音楽の時代。」
当時は「何言ってんだ」と思った。でも今思えば、彼女は正しかった。ロックンロールは終わったんじゃない。進化したんだ。
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■ ジミ・ヘンドリックスとのある夜
その数週間後、モントレー・ポップ・フェスティバルが開催された。
俺は運良く関係者パスを手に入れて、楽屋エリアをうろついてた。すると、見覚えのある派手な服装の男が立ってる。ジミ・ヘンドリックスだ。
彼は壁にもたれて、誰ともなく話しかけてきた。
「イギリスから来たんだろ?ロンドンの空気、懐かしいぜ。」
実は俺たち、ロンドンのクラブで何度か顔を合わせたことがあった。彼がまだ無名で、チャス・チャンドラーに「この男を売り出したい」って連れ回されてた頃だ。
ジミは言った。
「今日な、新しいことやろうと思ってるんだ。ギターを燃やすの。」
俺は笑った。「また冗談言ってる」。
でも彼は真顔で言った。
「音楽ってな、聴くだけじゃ足りないんだ。見て、感じて、焼き付けるもんなんだよ。」
あの夜、彼は本当にギターを燃やした。そして世界中が彼の名前を覚えた。
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■ 「あの夏」が終わった瞬間
1967年の終わりが近づくにつれて、何かが変わり始めた。
街にはドラッグで壊れた若者たちが増えた。「愛と平和」の看板の裏で、ビジネスが動き出していた。俺はある日、ヘイト・アシュベリーの通りで、嘔吐しながら倒れてる17歳くらいの少女を見た。髪には枯れた花が絡まってた。
その時、俺は気づいた。
サマー・オブ・ラブは、もう終わってたんだ。
でも音楽だけは消えなかった。「White Rabbit」も「Purple Haze」も「Somebody to Love」も、あの夏に生まれた曲たちは、今でも生きてる。
あの夏、俺たちは何を手に入れて、何を失ったのか。
今でも答えは出てない。でも、あの音楽を聴くたびに、あの熱気だけは鮮明によみがえる。
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■ エピローグ:50年後の今
去年、久しぶりにサンフランシスコを訪れた。ヘイト・アシュベリーは観光地になってた。当時の面影はほとんどない。
でも、小さなレコード屋の前で、20歳くらいの若者がギターを抱えて「Purple Haze」のリフを弾いてた。下手くそだったけど、目は輝いてた。
俺は声をかけた。
「その曲、誰の知ってるか?」
彼は笑って言った。
「ジミ・ヘンドリックスです。50年以上前の曲だけど、やばくないっすか?」
やばい。今でも十分やばいんだよ、ジミは。
音楽は時代を超える。ロックンロールは死なない。あの夏の熱は、今もこうして若いギタリストの指先に宿ってる。
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■ 次回予告
さて、長くなったな。でもまだまだ話したいことは山ほどある。
次回は「1968年、転換点」だ。ビートルズのインド旅行、ストーンズの転落、そしてアメリカでは何が起きていたのか。あの混乱の年を、もう一人の伝説的ミュージシャンと共に振り返る。
それまで、あの夏の名盤をもう一度聴いてみてくれ。
ロックンロールは永遠だ。
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【編集部注】予告より大幅に長くなりましたが、内容の熱量を考慮し、特別に全文掲載といたします。次回こそはページ数厳守でお願いします。




