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年輪はまだ柔らかい  作者: 南蛇井


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⑤世界の空洞の意味

世界はすでに空いている。


人がいないからだ。


円の空洞の話ではない。


あれは設計だ。

意図された余白。

機能としての中心。


ここで言う空洞は、別のものだ。


広場には人がいる。

市場も開いている。

城では報告が読み上げられる。


作物の保存性は向上し、

乳児死亡率は低下し、

治安は安定している。


整っている。


皆、整っている。


声は荒れない。

議論は角を持たない。

不満は丸められ、

意見は均される。


強い意志が、立ち上がらない。


立ち上がる前に、

丸くされる。


角がないというだけで、

衝突は起きにくい。


衝突がなければ、

中心に立つ者もいらない。


世界はすでに空いている。


誰もいないからだ。


王もいる。

医師もいる。

親もいる。


だが「立つ者」がいない。


自分の形を主張する者がいない。


空洞は美しい。


均一で、清潔で、風通しがいい。


だが、住人がいない。


そこに座る覚悟も、

そこから押し返す力もない。


円は完成している。


中心を空けたまま。


そして、その空きは

いつのまにか世界全体に広がっている。


誰も異常を感じない。


異常を感じる角が、

もう残っていないからだ。

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