12 Medicinae
「おい、銀に頼んだ薬はまだできんのか」
「はい。先ほども連絡しましたが、まだのようです」
「わざと遅らせているのではないだろうな?銀なら3日もあれば出来るだろう」
「ちょっとしたトラブルがあったようです」
政府が持っている建物の、とある会議室での会話。
一人は、病気になった娘を持つ親。
もう一人は――――深夜だった。
深夜がこの事に関わっているのか。
それは、“死んだ人間のクローンを作ることができる可能性がある”からだ。
そもそも、政治家の娘がかかった難病は、細胞が腐っていく病気だ。
腐っていく進行を止め、死んだ細胞を生き返らせることが銀が作る薬の絶対条件。
死んだ細胞を生き返らせるから、死んだ人間のクローン――――否、死んだ人間を生き返らせることが出来る。
深夜は、この薬を使って沙羅と架夜を蘇らせるつもりなのだ。
「あと一週間はまってやる。それでももし、届かないようなことがあれば、俺が直接取りに行こう」
自分で殺した人を何のために生き返らせるのかは不明。
深夜にとって邪魔だったはずの存在が、求める存在に変わったことに、周りは驚いていた。
娘が病気になった政治家に関わっているうちに、あいつが家庭を持っていることが羨ましくなったんだろう、と勝手に推測する人もいるほどだった。
「さあ、早く、俺の世界を作るために………!」
誰の言葉だろうか。
深夜か、政治家か、それもと全く別の人間か――――。
Medicinae=薬




