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11 Motus
銀が望遠鏡を手に取り、部屋に戻ると飛びついて来た。
「葵、大丈夫だ。ほら、顔を上げろ。……星が見たいと言っていただろう?望遠鏡を買ってみたんだ。自由に使っていいぞ」
銀の胸に顔を埋めたまま、小さく頷いた。
(白咲に連絡して、深雪との話の流れを聞くべきか、それとも葵が自分から言うのを待つべきか。………難しいな)
先に真相を知っていた方が対処がしやすい。
だが、葵の口から聞きたいという思いもある。
(一番いいのは、葵が今明かしてくれることなんだが)
「気持ちの整理がついたら教えてくれ。深雪と何があったのか」
またもや小さく頷いた葵は、今度は顔を上げ「望遠鏡、ありがとうございます。銀さんも一緒に……」と銀の服の裾を引っ張るのだった。
* * *
『――銀、薬はできたか』
「未だに決まっている。こちらにも都合がある。政府に合わせる義理はない」
月に一度かかってくる、政府からの電話。
それが、今月はもう十回目。
今まで以上に大きな力が動いていることは確かだ。
政府の犬だけでは対処ができない何かを探る必要がある。
薬ができるまでは政府は銀に手を出さない。
(少し、遅らせるか)
銀の考えを知る者は――――いない。
Motus=動き




