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貴族

「ふふ、ここにいたんだな、英雄よ!」


「あれは・・・」


 頭には王冠をつけ、マントを翻したその男を見てハルは、ニヤニヤと偉そうにしているその姿にどこか見覚えがあった。


「あれは・・・」


 そのとき、横から誰かが自分の服を掴んできていた。


「どうしたの?ミーシャ?」


「あ、いえ・・・すみません・・・その」


「・・・あ」


 なかなか煮えきれない返事をするミーシャをみて、ハルはどこで見覚えがあったか気づいた。


「貴族・・・」


「その通りだよ!『オールゼロ』!まだここに来てから間もないのになあ!」


「そりゃあね・・・」


 ミーシャの一件を思い出し、少し苦い顔をしてしまう。


(ジョージってやつも確か貴族だった・・・)


 ミーシャの一件の後、聞かされた貴族と呼ばれる人たちの存在。


 大昔ある三人のダンジョンを発見した人物がいた。一人はそのままダンジョンにもぐり、残りのふたりはダンジョンには、もう入らないと考え、ダンジョンから離れていった・・・その二人のうちの一人の末裔が・・・今の貴族と呼ばれる人であった。


 ハルの顔など気にせず、男は言った。その後ろからは大きな騎士の格好をした大男が一緒についてきている。その甲冑の肩には王冠が記されている。


「しかし、『オールゼロ』!俺をただの貴族と同じにするなよ!何を隠そう私は貴族王の息子なのだから」


「貴族王?」


「そう!貴族王第2王子セルドア・マクベスだ!!!」


「貴族王?」


 ハルは聞いたことない言葉に疑問を感じたが、その疑問を解決する前に、


「おいおい・・・ここまでくる必要はなかったんじゃないか?」


 少しアーサーがそうつぶやいた。


「・・・ああ?」


 アーサーがいつもの調子でそう告げると


「おい、英雄?」


「ん?」


 セルドアは腕を振り上げると、


「死ね」


「「「!!!!!」」」


 次の瞬間、さっきまでアーサーのいた場所は床が抜け、地面がえぐれていた。そして、そこにはさっきまでセルドアの後ろに居た一人の大男がいた。


(今の全く反応できなかった・・・もし今狙われたのが僕だったら・・・)


 ハルが今の戦闘で改めて自分の力不足を思い知らされていたが、そんな様子も気にせず、セルドアは言葉を発する。


「おいおい!ここまでだとぉ!!!いい加減にしやがれよ!!!てめぇが話があるって言ったからわざわざ俺がきてやったのにこんなとこにいたのはてめえだろうが!!!さっさと要件をいいやがれ!!!」


 さっきの表情から一変してセルドアは明らかな苛立ちをアーサーに向けていた。


「まあまあ、落ち着けよ」


「ああ?!貴族の次期王に向かってなんだその口は!!!!」


「はあ、これだから」


「いいからはやく」


「聖戦」


「・・・あ?」


 アーサーがたった一言。ハルたちには展開が早すぎて理解が追いつかなかった。そして、次にアーサーが言ったことは、


「我らダンジョン攻略者連合はお前たち貴族並びに聖騎士軍に」


 ハルたちを


「聖戦を申し込む」


 戦いの渦に巻き込む火蓋となる。


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