その後、そして・・・
「全くお前たちは・・・」
「ごめん・・・」
「ごめんなさい・・・」
「すみません・・・」
「あの?もういいですよ、リアナさん」
ハルたちは、今チーム監査委員会の病室にいた。ハルはベットの上でほぼ包帯ぐるぐる巻きの状態であった。1人で10階層まで進んでボロボロになっていたということもあったが、やはり1番は『狂王』との戦闘であった。まあ、止めは別にあったのだが・・・
「しかし、だな!あれだけの戦いをした後に何も考えずに締め付けて今回の功労者に止めを刺すなんて・・・」
「いや、止めって・・・」
否定できないハルであった。そのあとに急に口を開いたのはアリスであった。
「それよりもリアナ、ひとつ聞いていい?」
「・・・なんだ、アリス?」
「その格好は何?」
そう聞くのも無理ではなかった。なぜならリアナの格好は、
「こここれはその!看病するならこれだと!!!」
ナース服姿であった。ぴっちりとした服はリアナの白い綺麗な手や足を際立たせる。
「あざとい・・・」
「な・・・!!!!違うぞこれは!!!!・・・あまり見るな!ハル・タラリス!」
「すすみません!」
「ハルくん・・・?」
「す、すみません!」
「主様・・・!まさかコスプレ趣味が・・・!なら私がいくらでも《偽装》を使って!」
「ないよ!!!てかレアスキルを無駄遣いすんなよ!」
明らかに説教モードに入りそうなクレアとまた、新たな火種を生み出そうとするミーシャ。するとそれを遮るように病室に入ってくるものがいた。
「病人はもっといたわってあげたらどうだ?」
「会長!!」
「あ、こんにちは、フォッカ会長」
どうにか収まった状況に一瞬ホッとするが、
「まあ私が勧めたんだがな」
「あんたか元凶!」
ツッコミを入れるハルであった。
「・・・少し君たちに言わなきゃいけないことがある」
「え・・・?」
真剣になったふぉっかに少し動揺してしまうハル。そして、
「この度は申し訳ない」
フォッカは深々と頭を下げた。
「ちょ!なにしてんですか!」
「そうです!会長!!あなたが謝るようなことはやっていませんよね?!」
「・・・実は・・・今回のことは全て嘘だった」
「「「「!!!!!?????」」」」
「なんでそんなことを・・・」
「本当に済まないと思っている」
フォッカはまだ頭をあげない。
「この償いは必ずする!」
必死に謝るフォッカ。そんなフォッカを見てハルが言ったのは、
「じゃあ、もとから悪い噂とか・・・?」
「ない」
「・・・なら、特に償いとかいいですよ」
許しの言葉であった。その言葉に周りのみんなは驚いていた。
「ちょ!ハルくん!いいの!!もしかしたら死んでたかもしれないのよ!」
「でも、死ななかった」
「それは・・・」
「僕はこの戦いでもっと強くなれた。アリスたちはチームのために一生懸命になれることを知った。アリスはミノタウロスの呪縛から解き放たれた。これ以上いいことがありますか?」
ハルは笑顔でそう言う。その笑顔を見たアリス、クレア、ミーシャ、リアナ・・・そして、フォッカでさえも見とれてしまっていた。
「・・・この笑顔相変わらずずるい」
「・・・お姉さん的にはもうどうしたらいいのか・・・」
「天然スマイル・・・無意識なのがたち悪いですね」
「なんだ!そそそその笑顔は!!!!」
「・・・なるほど・・・惚れてしまいそうになる原因の一つがわかった気がするのう」
「・・・みんな?」
ハルは、人の話を聞いている分からない5人に声をかける。最初に気づいたのはクレアだった。
「・・・んん!!!・・・まあ、一番の功労者が言うんなら・・・」
「・・・ありがとう!」
すると、やっと正気に戻ったアリスがふと気になったことがあった。
「でも、どうしてこんなことを?」
「・・・実はある男に依頼されたのだ。チーム・安らぎの宿木に『狂王』をぶつけろと」
「その男って・・・?」
「俺だよ」
「「「「!!!!」」」」
そこにひょっこりと出てきたのは『英雄』アーサーであった。
「今回は俺が仕組んだことなんだよ」
「なんの・・・ためにですか」
「君たちに強くなってもらうため。後は情報収集だよ。おかげでいい情報が手に入ったよ。アリスの・・・あれは闇魔法だよな?」
「・・・そうよ」
「あの力はすごい。しかし、まだ2回しか撃てないことを考えると使いどこが悩むな」
「だから、なんのために!」
「50階層完全クリア」
「???!!!!」
「どういうこと?だってあなたが50階層攻略したんじゃ・・・?」
「俺らがクリアしたのは、50階層の前半のダンジョンボスだけだ」
「な・・・」
「その奥に居る化物を倒す」
アーサーは真剣に言葉を紡ぐ。
「俺の目的は51階層に進むことだ」
自分の叶えたい目的を。そしてハルたちに言う。
「そのためにお前たちの力が必要だ」
己の野望を助ける手助けをしろと。




