静かな朝に
「ミケルさん起きてたんだ」
「・・・はい、なぜか早く起きてしまって。そういえば昨日は大変でしたね」
「あれ見てたのか・・・というよりあんな状況だったのにいったいどこに行ってたんだ?」
昨日のことを思い返してみるとなぜかミケルがどこにもいなかったことを思い出すハル。
「あー実は・・・」
「実は?」
困った様子のミケルは申し訳なさそうにハルを見ている。
「隠れてました・・・」
「いや助けてくれよ!」
「いやいや、あの中に入っていくなんてそんな無謀なことできませんよ」
そう言うとミケルは苦笑いをしながら続けた。
「しかも、まさか少し離れていただけであんなになるなんて・・・」
「それは僕が聞きたいよ・・・というか最初から見ていたのね・・・・」
「はい・・・」
げんなりした様子で水を飲んでいくハル。
「なんというかアリスさんは通常運行でしたけど・・・」
「クレアさんあんな風になるなんて・・・意外というか・・・」
「くちゅん!」
そんなことを話されているとは知らないクレアだった。
「でもなんで呼び捨てにしろなんて言ったのかなあ・・・」
「・・・鈍感」
「へ?」
「ふふ、なんでもないです」
ミケルが呆れている様子に不思議に思うしかないハルであった。でも、呆れながらもミケルは楽しそうに笑う。
「楽しそうだね、ミケル」
「え?」
急にそんなことを言われて驚いてしまったミケルは思わず、コップを落としそうになってしまった。
「なんというか最初はすごく緊張して何もかに気張ってる感じだったけど、だいぶそういう笑顔が増えてきたよね」
「・・・これを無意識にやられているのかあの二人は・・・」
「え?」
「なんでもないです」
ハルの鈍感さ具合にまた、呆れそうになるミケルだったが、
「・・・そうかもしれませんね。こんなことずっとなかったもので・・・」
少し真剣な表情になるミケルはハルにそう言った。
「あなたたちといると驚きの連続です。ゴーレムが出てきても何もなかったかのようにあっという間に倒しちゃうし、強いのなんの・・・その割にはいつもどこか抜けていることが多かったり、すごく優しい表情したり・・・」
「ミケルさん・・・・?」
物思いにふけっているかのように静かにそういうミケルに少し戸惑ってしまうハル。ミケルのその姿はいつも慌てている彼女の姿は一切見えない。
「ハルさんはこのチームにいて幸せですか?」
「急にどうしたのミケルさん?」
「ただの世間話ですよ、どうなんですか?」
そうふっと笑って尋ねてくるミケルは本当にどうしたのかと思うくらいであった。
「そうだなあ・・・本当に感謝してるかな。このチームがなかったならもう僕はここにはいなかったし」
「え・・・噂通りのステータスだったんですか?」
「あ、やっぱり知ってたんだ」
「あ・・・」
うっかり口を滑らしてしまったミケルは申し訳なさそうにハルの方を見た。
「そんな顔しないでくれ。あのステータスがなければ、僕はこの場にいられなかった。それに今はもう違う」
「ハルさん・・・」
真剣な眼差しをしているハルはミケルに向かってそう言った。
「だからこのチームに入れて僕は本当に良かった」
「このチームが好きですか?」
「もちろん」
「速答ですか」
「ああ、このチームに入れてアリスに会って、クレアさんに会ってそして、ミケルさんにも会えた」
「!!!」
「絶対失うわけにはいけないと思うんだ」
「私はそんなたいそうなものじゃないですよ」
ハルの言葉を聞いて苦笑いしながらミケルはそう言った。
「でも、そこまで思ってくれてうれしいですよ」
「おお?急にどうしたんだい?ミケルさん?」
ミケルはさっきの顔が全く嘘かのようにいたずらっ子のような笑みを浮かべている。
「・・・私もこのチーム大好きですよ」
「じゃあ、これからもよろしく」
「・・・はい、よろしくお願いします」
「じゃあ、僕はもう1度寝るよ。ミケルも寝といたほうがいいよ」
「そうですね・・・それではおやすみなさい」
「?・・・ああ、おやすみなさい」
ハルはそのミケルの表情に少し引っかかりを感じていたが、あまり気にせずにそのまま自分の部屋に帰っていった。
「ごめんね、ハルさん、バイバイ」
その様子を後ろから見ていたミケルはハルがいなくなってから少し経ってからこう言った。
そして、
「・・・!は・・・!」
ハルは朝に寝たので響く声の主が最初分からなかった。しかし、
「・・・・ハル!!!!!!!!!!!!」
次の瞬間目の前には
「アリスどうしたの・・・」
今までになく焦っているアリスの顔が見えた。その顔は今にも泣きそうになっていた。そして次の瞬間アリスの言葉にハルは眠気など吹っ飛んでしまう。
「ミケルがどこにもいないの!!!!!!!!!!!」




