進む、チーム・宿木
「ゴブリンとブラックファング、そっちに行ったよ」
「了解です」
アリスの言葉を聞き、モンスターに向かって進む人影。その人影は一瞬のうちに間合いを詰めていく。そして、駆け抜けていく。襲い掛かってくるモンスターに恐れもせずに突き進み、斬り裂いていった。
「・・・ハル、ナイス」
その人影は最初の頃はゴブリンでも苦戦していたハルであった。
「いえ、うまくアリスがこっちに追い込んでくれたからですよ。他のブラックファングは?」
「大丈夫。先にやっておいたよ」
そう言って剣をしまったアリスは、杖の方を出して魔法の詠唱を始めた。もちろん杖なしでもできるのだが、杖があった方が魔力の消費が少ないらしいのだ。
「二人とも大丈夫?」
「あ、はい。ありがとうございます、クレアさん」
クレアはハルに回復薬を渡してそう言った。
「でも、クレアさんは大丈夫ですか?この辺結構モンスター多いですよ?」
ハルは、クレアがヒーラーということもあり、自分たちが見てない間にモンスターに襲われないか不安になっていた。しかし、
「大丈夫!伊達に今までアリスと二人でチームやってないから!第10階層くらいまではダンジョンボスが出なきゃ大丈夫」
心配しなくても大丈夫と自信満々にいうクレアであった。
(確かにそうなんだよなークレアさんヒーラーなはずなんだけど案外全体的にステータス高い気がする。日頃の生活のおかげか・・・?)
そんなことを考えていると
「ハル、次来たよ」
「っ!はい!」
ダンジョンの通路からゴブリンとブラックファングが出てきた。しかし、今回は、
「ゴーレム・・・」
ゴブリンとブラックファングの後ろから石を積み重ねたような巨大な体と顔。重量感のある足音。ゴーレムが出てきたのだ。ハルは思い出していた。初めてダンジョンを訪れた時、アリスに助けてもらった時、あのままアリスが来てくれなかったら、あの巨大な足で踏みつぶされていたかもしれないのだ。
「ゴーレム。厄介のが出てきた。まだボス級じゃないけどあの固い体を壊さないと・・・」
アリスがどのように動き始めるか考えていると、
「あの・・・あいつは僕が一人で戦ってもいいですか?」
「急にどうしたの?」
「そうよ、ハル君。今までチームでうまく動いていたじゃない」
不思議そうな顔を二人はしたが、ハルは剣を抜きこう言った。
「あいつじゃないけど僕は一回ゴーレムに殺されかけました。ちゃんとあいつは僕自身が倒さないといけないと思うんです」
ハルは剣を握りしめて二人に意思をはっきりさせた言葉を伝えた。アリスとクレアは
「・・・わかった。私は周りの雑魚を倒す。クレアはそれでいい?」
「うーん・・・分かったわ。多分ゴブリンとブラックファングの方はアリス一人で大丈夫だと思うから任せる。私はハル君の援護に回るわ。けど、アリスもだめだったら、いつでも声かけるようにしてね?」
「了解」
「お二人とも・・・ありがとうございます!」
「じゃあ、頑張ってね?エンチャント[戦姫の加護]」
「いきますか!」
みんなの体が光ったと同時にハルとクレアはゴーレムに向かって走っていった。ゴブリンとブラックファングはそれに気づいたが、ハルとクレアに近づくのを防ぐように
ゴウッッッッッッッッウ!!!!
炎の巨大な柱が地面から出てきた。それを出したアリスは
「フレイムタワー。ハルの方には行かせない」
全力で目の前の敵を倒すつもりでいた。
アリスが他のモンスターの足止めをしてる間にハルとクレアはゴーレムに向かって走っていた。
「ハル君」
「はい」
「君はこれで前に進めるの?」
「はい」
「・・・ハル君は強いな・・・・」
「え・・・」
意外な言葉がクレアから出てきたのがハルにとって意外であった。
「いや、僕なんて」
「私も強くなれるかな」
「・・・もちろん。でも、もしも一人で強くなれないなら・・・」
「なれないなら?」
「僕も一緒に強くなるために頑張ります」
「!」
ハルの言葉にびっくりしたような顔をクレアはしていた。そして、次の瞬間クレアの表情は明るくなり、
「そうよね。ありがとうハル君」
吹っ切れたような顔でそう言った。そして、ゴーレムの前に着いた二人はこう言った。
「いえ、そのためにもまず」
「君はこのデカ物を」
「「ぶっ潰す!」」
前に進むために。




