↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/40

09 





 ある日の夕方。AICTの本社ビルにある風の自室に、部屋の主が帰ってきた。風は出された課題の入った通学カバンをその辺に放り投げる。(彼はきっと、明日の朝に「課題やった?」と先生に問われて「何それ美味しいんですか?」と返答するだろう)

 制服のブレザーをハンガーに掛け、両腕につけていた薄型プロテクターを外す。仕込みナイフ内蔵の優れものだ。

 そして刺突武器のホルスターを腰から外し、壁に掛ける。

 浴室に移動した風はワイシャツは脱いで洗濯機に入れ、その下に着こんでいた防刃チョッキもイン。ズボンも脱ぎ捨て、シャワーを浴びようと蛇口をひねる。

 初めは冷たい水が出てくるが、お構いなしに体を洗い始める。風は、いつ召集がかかってもいいように、入浴はなるべく早く済ますようにしている。

 そのため銭湯などへ行く機会があると、周りのお客さんに怪奇の目で見られる。烏も真っ青の行水時間なのである。


 そしてこの日、案の定召集がかかった。

 間一髪で体を洗い終えていた風は、いそいそと着替えを済まして会議室へ。

 会議室内には、今まで見たことのないほどの人数が詰めかけていた。視線をめぐらせてみると、虎に唯人、梨奈の姿までもが見て取れる。

 演台の後ろには、いい身なりのおじさんがいた。


 ――引き締まっていて、いい体してんな。強いんだろうな。


 そう感じた風は、虎のもとに移動して、尋ねる。


 「あれ誰だ?」

 「っ!?…あぁ風か。

  いくら風でも知らないのは問題だと思う。あの人一応、防衛課の――」


 虎がそこまで言った時、唐突に会議室内が静まり、スクリーンにどこかの画像が映し出された。


 「迅速な集合、感謝する。私は、AICT防衛課、課長の草薙 駿(くさなぎ しゅん)だ。今回の作戦行動に当たって指揮権は私が受け持つ」


 厳格な雰囲気をたたえて話し始めるこの男こそ、防衛課のトップである。その彼がこうして指揮を執るのだ、かなりの大事であることが予測される。室内の緊張感が一気に高まった。

 駿が指を鳴らすと、部屋の電気が消えた。同時に、スクリーンに光がともる。


 そして映し出されたのは、どこかの港。

 色とりどりの船舶用コンテナの間に、積み下ろしに使われる巨大なクレーンが林立している。

 そんな港の中に、場違いな船が一隻。

「Tolmaline」と書かれた船体は、それが客船であることを主張している。


 「本日、諜報部がとある情報を手に入れた。詳しい場所は後述するが、日本国内に停泊中の客船内で、特殊部隊の構成員を発見した。多国籍軍一個中隊規模が入国、武器を所持している模様である。日本の国土を脅かそうとしているものと思われる。作戦行動はフタサンイチマル、港のコンビナート内で迎撃を開始する。詳しい情報は、支給デバイスに送った。各自確認しろ。指揮は各部の部長が執り行う!!

 我々は、この国の安全と我が血族の安寧のために、最大戦力をもって迎え撃つ!」


 駿の言葉が終わると同時に、彼らは行動を開始する。ある者は支給されたスマホを開き作戦を確認し、ある者はサポート体制の構築に勤しむ。医療班も、久しぶりの大仕事と気合を入れている。

 そんな中風は、自室へと戻る。支給されたスマホを置いてきてしまったのだ。その途中で、唯人とすれ違う。


 「私の持てる技術は、教え込んだ。あとは風が自分のものにするだけだよ。風は、生きて帰っておいで」


 いつにもまして暗く、いつにもまして優しい目でそんなことをのたまう唯人。風は深く考えず、「分かった」と頷いた。

 自身の作戦行動を確認し、武器の手入れを行う風。

 刺突武器のグリップを巻きなおし、カーボンファイバー製の戦闘服に着替える。煙玉と爆薬一式も持った。夜間ということもあり、サーモグラフィーグラスも用意した。後は、時間が来るまで待つだけである。


 「なんか、落ち着かない。胸騒ぎがする…」


 そう。待つだけだ。待つだけなのだが、風の心は穏やかではなかった。風自身も制御しきれない胸騒ぎが、頭の中を埋め尽くす。

 しかし、いくら考えど心当たりはなく。仕方なしに、コンビナート周辺の情報を検索し、頭に詰め込んでいく。戦場では、どんな情報が生死を分けるか分からないからだ。


 ――今夜は、晴れ。風は微風。風向きは西、路面状況は良好。

   …もうそろそろ、梅雨明けか。

   向こうの船舶は客船、五千二百トン級。…乗船人数、百人から百五十人と推測。




 …心の中は終ぞ、落ち着くことはなかった。

 が、もう時間だ。一切の雑念を振り払って、風は出陣する。




<書く機会をうしなってしまった防衛課の組織図>


 AICTー防衛課  =課長:駿

    |     仕事:各部の総括

    |

    |ー諜報部 =部長:梨奈

    |      所属:梨奈 

    |      仕事:諜報工作活動・戦術立案など

    |

    |ー機動部 =部長:唯人

    |      所属:風   

    |      仕事:暗殺など武力行使  

    |      

    |ー技術部 =部長:虎の父

           所属:虎   

           仕事:ハッキングその他の後方支援


因みに医療班は、技術部の中の”班”です。

部内でもまた役割ごとに細分化されており、役割ごとにOO班と呼ばれます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。