始まりの話 ~出会い2~
前回よりは読みやすくなったと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
「?」
俺はよく分からなかった。手を握ってもらうのは恥ずかしいかもしれないが顔が明らかに真っ青になる理由が分からなかった。もしかすると感染すると思っているのだろうか。
よくよく考えると確かにと納得する部分もあった。
ワークラーが憑りついている人が触り、触ったものが憑りついた人より強い権力者や指導者だった場合乗り移るからだ。だから勘違いしても仕方ないと思えば仕方ないのだ。
「えっと、その病気が何なのか知って言ってる?」
「え、えぇ。ちゃんと知ってて言ってます」
声が震えてる。
仕方がない。こいつ等によって死んでいった何人の人達が消えて欲しいと願ったことか・・・。
俺は、胸についているペンダントをぎゅっと握り締めて言う。
「誰から教わった?」
「この病院の先生方からです」
『そりゃそうでしょうよ。なに当たり前のこと聞いてんのよ』
・・・もう嫌だ。何なんなんだよ。俺をいじめて楽しいか!?
「・・・・・・」
「・・・? どうかしました?」
「・・・いや、なんでもない。今すぐにその先生とやらを呼んでくれる?」
俺は真剣な顔で彼女の目を見てそう言った。
彼女はすぐに聞き入れてくれた。
来たのはすぐだった。俺の顔を見たときは 先生は酷く驚いた顔をしていたがすぐ彼女に向き直る。
「どうしました?」
医者は何かを警戒して話かけている。
「いえ、この人が話したいことがあると・・・」
俺のほうを向く怪訝そうな声で質問してきた。
「・・・何でしょう?」
「この病気について教えて欲しい」
この病気についてこの世界がどれだけ知っているのか知りたかった。
医者は警戒の眼差しで渋々といった様子で答えた。
「・・・え~と、まず手足が何らかの理由で動かなくなり、次に言葉が喋れなくなり、目、鼻、耳、が聞こえなくなり最後に脳が溶けて死ぬ病気です」
「・・・こんなもんか」
落胆の声を上げる。まぁ、確かにあってる。
しかし、こんなんでどうにかしようかなんて・・・なんて浅はかなんだ。
いくつか前の世界ではこの世界と似たように科学がすごく発達した世界があった。その世界ではワークラーの存在をおぼろげながらには認識し、弱らせることができていた。
なのに、こいつらは、認識すらできていないのだ。これは、もう完全にお遊びだ。ふざけている!
「よく分かった。治せないんだな。何も分からないんだな」
医者は図星なのか何も言わない。ただ医者としてのプライドなのか怒りを露わにしているように見える。彼女は解りきっているような顔でうつむいている。
俺は、彼女に向き直りもう一度言う。
「手を・・・握らして。治すから」
手を差し出すとビクッと体を強張らせた。
何度もこういう言葉で言い寄られ、実験動物みたいに扱われそうになったかされたかどちらかだろう。
「・・・本当に?」
俺は首を縦に振る
疑うのは当然。俺だったら信じないだろう。
でも彼女はうなずいてくれた。
手を握った。本当に病気で、いや、あいつ等のせいで痩せ細った腕が本当に痛々しかった。
そして、周りの音が消える。時間が止まる。世界が崩れていった。
さて、次からはワークラーとの戦闘になっていきます。
戦闘後の話どうしようかな。