始まりの話 ~出会い~
まだ慣れませんが読んでいただければ嬉しく思います。
ついでに主人公の名前は、上北 シン です。
目覚めたのはふかふかのベッドの上だった。あぁ気持ち良い・・・これは・・・あぁ、ベットか・・・そんな感触に浸っていると急に頭の中で喚き散らすような声が響いた。
「五月蝿いぃ・・・」
自分でも拍子抜けするぐらい間抜けな声が出た。
『早く起きなさい!ここから早く出て!』
「なんでぇ」
『・・・・・・』
「痛い!痛いって!!起きるから!」
『よろしい』
俺の意識が強制的に覚醒した。
あたりを見渡すと白い壁にベッドとカーテン。・・・多分ここは病院で、
「・・・? 何でここにいるの?」
『憶えてないの?』
「まったく分からん」
『そんな堂々と言わなくても・・・。まぁ、いいわ。あなた、多分車に撥ねられたんだと思うわ。初めて会ったときに似たようなのを見たから』
「・・・。あっ」
思い出した。戻ってきたときに出た所が悪くてポーンと撥ねられたんだった。そんな事よりも早くここから出ないと。前の世界でも世界を渡り終わったときに知らぬ民家の中に出てすぐにお縄と言うことがあったのだ。
俺は、病室から抜け出して真っ白い廊下を歩き出した。でも誤算があった。最初の時と同じく右も左も分からない。完全に迷子だ。しばらく迷子になっていると不意にスピーカーから声がした。その内容は、病室から患者がいなくなったので探すようにと言う知らせだった。すぐに俺の事だと気づく。それを聞いてた俺は、突然肩を掴まれた。振り向くと白衣を着た男だった。びっくりして振りほどき逃げたが、追いかけてくる。
曲がって、階段を降り、のぼりを繰り返して俺は、キリが無いので曲がって近くの病室に入った。へなへなと床に尻を付き息を整えていると声を掛けられた。
「誰?」
透き通るようなきれいな声。長いきれいな髪を後ろで束ねポニーテールにし、整った顔をしていた。そんな事よりも病気で弱った細い腕が最初に目に入った。
『その子の中、ワークラーがいる』
ワークラー・・・悪神共が世界を破壊するための分身のようなもの一つ言うと知能が高い生き物ほど栄養になりそれを糧に繁殖していく。
「ヤバくね?それ」
あの病気のような腕もそれで納得がいく。
『まだ成長途中、それに最初段階、でも食らうスピードが早い』
「どうする?」
『言った所でシンは聞かないでしょ』
俺は少し笑う。こういう会話ができるのは強い信頼関係があるからで・・・。
俺は神様と相談してから話しかけた。
「うん、まぁ、こんにちは」
『もうちょっとなんかあるでしょ普通・・・』
――うっせえ、ほっとけ――
彼女は、キョトンとしてすぐにくすっと笑って、
「そこに座って、話し相手になってくださる?」
俺は、言われるがままに席に座った。
「外は、どうなっていますか?」
俺は少し考えてから答える。
「……目が見えないのか?」
「いいえ。見えます。でもここから見る景色しか分かりませんから」
彼女は、悲しそうに呟く。
「でも外出・・・庭(だろう多分)には出ていいんだろ?他の患者も出ていたぞ?」
これは、逃げ回っていた時に見た光景だ。楽しそうに会話をしたり、遊んでいた。
「私は、手足が動きませんから…。今の世の中でも直せない不治の病にかかってまして。この病気最後に脳が溶けて死ぬらしいので毎日が地獄のように感じます」
俺は、今の言葉で確信した。
俺が今、険しい顔をしているのは鏡を見ないでも分かる。
「やっぱり助けたいんだけど?」
『はぁ、最初からそのつもりでしょ。この子の手を握って頂戴』
俺は、気づかれない程度に頷くと
「・・・手、握ってもいい?」
・・・あっ!これじゃぁただのセクハラだ!と内心後悔する。
彼女は、目を見開き、顔が真っ青になって怒鳴った。
「だっ、駄目!何言ってるの!?さっきのでわからないの!?この病気は!」
続きが読みたくなるように書いてるんだけど成功してる?