第3回
2022年11月1日の20時ちょうどに、渋谷のスクランブル交差点のモニター画面でこんな言葉が流れた。
≪AYBグループ、川シリーズに次ぐ、神谷康史による新アイドルプロジェクト始動!!≫
≪3年間で卒業するアイドルグループ≫
≪本日からオーディション募集開始!≫
≪2023年4月お披露目決定!≫
という、発表だった。渋谷を歩く人々は目にも留めなかったが、その情報はSNSを通じて瞬く間に世間へと広がった。
賛否両論、渦巻くといったAuraXの役員の読み通り、拒絶反応を起こすアイドルファンが多かった。
AYB32が最盛期から少し、人気が落ち着いた頃からアイドルヲタクをしている早川祐樹は、
『神谷さんの新アイドルプロジェクト、成功が見えない。』
と、冷笑のコメントをSNSに送った。
発表されたその日の深夜、川口は神谷に電話した。
「やはり、否定意見がSNSを見ていると多いですね。どうするんですか?社長も責任は神谷さんにって言っていましたし。」
神谷は答えた。
「想定内だね。AYBの総選挙の時よりはましさ。ということは僕も落ち目なのかな……。」
「そんなこと言っている場合じゃないですよ。僕だって失敗すれば立場が危ういのですから。」
「失敗は必ずしない。しかし、成功するとは限らない。」
神谷は断言した。
新アイドルグループのオーディションはAuraX本社で行われた。
応募総数は予想をはるかに超えた3万5千人以上が応募された。
書類選考から始まり、一次選考、二次選考と進んでいった。
途中、2日間限定のSHOWROOM配信が行われ、大盛況の中、幕を閉じた。
早川はSHOWROOM配信がまとめられたYouTube動画を見て、どんな子が加入してきたのかを確認していた。
そして、SNSを開き、
『現時点で2人気になる子がいる。』
と送った。
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