案の定こゆいおっちゃん貴族に絡まれる
━━━翌朝。
『至高のソースが完成しました』
「なっ、なんやて!」
眠気もぶっ飛び、驚いて目が覚めてもうたがな。
「これは焼きそば出来るんちゃうか~」
後は紅しょうががあれば最高なんやが、この際ピクルスでも我慢出来ます。
キイチが一晩部屋を借りたのは、兵舎の一室でした。
「これは麺だけ用意したろ」
残念だが、うどんのような麺になりそうやけどな!、
それでも僕ら関西人はウイスターソース掛かった食べもんが食えると思うだけで、テンション爆上がりです~。
早く目覚めたんで、ちょっと厨房の隅を借りに顔をだした。
「おはようございます~、僕はキイチ言う商人ですねん」
「あっ、ああ~、おっ、おはよう」
何人か忙しそうに働いていた。
「朝。忙しいの分かってますが、隅を貸してもうてええでっしやろか~。あっ、これお土産です~」
ぎょうさんあったボレン200個ほど置いた。
「おお~、ボレンじゃないか、そっちの隅なら構わんぞ♪」
「毎度おおきに~」
キイチは下手に出て、人の懐に入るのが上手かった。
昔から要領のええ、子供と知られていた。
手を綺麗にしてから、手早く大量にうどん、パスタをぎょうさん作った。
キイチ「『吸水』」
乾燥させて。乾麺を大量に作った。
試しにデカイ鍋かりてお湯を沸かし乾燥パスタを茹でる。
その間にビッグボアの干し肉をユリーブ油でじんわり炒め、こっちのニンニク唐辛子を入れて香りを付ける。
茹で上がったパスタに塩だけで味付けして出来上がり。
やんちゃってペペロンチーノやで、
みんなの視線感じとった唐やが、一キロ茹でてあるで、
「味見してみる~」
そうさそうと、我先に味見という名前の実食が始まった。
「これは簡単で、旨いな~」
「そうやろ、ソース変われば色々と化ける料理でな~、僕の国では何百種類とあります~、これは其の中でも賄い料理として食べられてるペペロンチーノ言う料理やで」
残った茹でたパスタもチーズと牛乳使ったパスタ、トマトに似た野菜使ったパスタと色々と味見させた。
キイチ「このレシピは自由に使こうて下さい」
そうキイチが言うと。そこにいた料理人から大層感謝された。
それから後日。
キイチが領街を離れたある日。
ランドール伯爵は、キイチの残したパスタに大層喜び、ニヤニヤと笑ったという。
キイチは困惑してる頃の話であった。
早めの朝御飯終えた僕は、手慰みにぬいぐるみ作ったりと時間を潰した。
午後になって、伯爵様が謁見されるとの知らせを受けて、思わず内心愚痴る。
(この国の貴族は、盗賊に捕まる病気か何かなんかいの~、勘弁して欲しいでマジで)
それとなく嘆息していた。
お湯が運ばれ、使用人に身なりを整えられ、一張羅の商人ポイ服に袖を通して。
手土産に残ってた。
スパイダーシルク生地×5
黄金蜂蜜1L×5
を献上品として、執事に預けた。
執事に案内されたのは、謁見室ではなく、領主の執務室だった。
「閣下、商人をお連れ致しました」
「入るがよい」
ずいぶんと厳めしい声音だ。恐らく貴族の中でも武闘派と呼ばれる貴族なのだろうな。
「失礼いたします~。大阪国の生まれで商人と冒険者兼任しとるキイチと申します」
ジロリ、殺気まがいの鋭い眼差しである。
普通の商人なら怖くてチビってた所やで、
キイチ「いや~、中々の強面の伯爵様ですな~、僕は怖くてチビってまうとこですよって、その殺気押さえて下さい」
実に陽気な笑みのキイチ、貴族として数多の戦で
武名を上げた武人である。ランドール伯爵を前に飄々と出来るのは、
そうとうな胆力の持ち主か、そうとうなバカである。
ランドール(ふむ・・・こうして見てもよく分からんな)
後ろに控えてる鑑定のスキル持ちに訪ねると。
レベルはそれなりに高く、確かに『水3』【影が薄い】【剣3】【アイテムボックス3】持ちだと耳打ちされる。
(年齢はまだ17と若くそれであるか、かなり優秀な商人であるのは間違いないな)
そうであるなら、我が孫娘を妻にさせることも一考に値する。
しかし伯爵として、いくら貴族の適齢年齢が・・・、孫娘とて、商人の妻になどとは思えない。
「失礼いたします閣下、お耳を」
「うむ?」
(キイチ様からの献上品のことで問題が・・・)
まさかこの短時間に献上品まで用意しようとは、まことに商人は抜け目無いものだ。
でも・・・、大した物ではあるまいとたかを括った。
(早く言わぬか)
伯爵様の命令に迷っていたが、
(はっ、献上品はスパイダーシルク5反と伝説の黄金蜂蜜5Lでした)
一瞬、何を言ってるのか理解出来ずに執事を見ると、真っ青な顔で真剣な目であった。
そうだった。こやつは冗談を言わんクソ真面目さを気に入り執事にしたのだ。
(・・・・・まことか?)
(はい、当家の鑑定師がそろって本物と・・・・)
思わずキイチを見たが、実に飄々としていた。其くらいなんでもないと言わんばかりであった。
「そうか・・・、キイチと言ったな、何故あれを手土産にしたのだ」
ランドールとて貴族の一人、いくら喉から手が出るほど欲しい物とて、鋼の自制心で冷徹に問うのだった。
キイチ「えーと、何が気にしとんのか僕には分からんけど、僕の国では余ってるもんを手土産する風習があります~、どうぞご笑納下さい。ちなみに黄金蜂蜜はめっちゃありますので!、一人で消費するん大変ねんですわ~」
キイチのあまりなぶっちゃけに、皆がフリーズしたのは言うまでもない。
キイチの中の蜂蜜とは、5、600円で買えるお手軽な調味料、砂糖の代わりに使うコジャレた甘味位の扱いで、
なんか固まってるんで、キイチは大阪の食事について適当に話した。
それが貴族である。ランドール伯爵をも混乱させる結果になるとは髪の毛一本も考えてない。
流石はノリと勢いで生きる関西人であった。
「はっ、ハハハハハ、ガハハハハ!?、そいつは剛毅な、それではキイチにとって本当に手土産だったのだな!」
キイチ「そないです~。蜂蜜気に入ってもろうたんなら、もう少し置いてきましよか~?」
これには執事とベストリアーネがぎょっとして目を剥いた。




