なんで領街に行く度に、貴族に会わなアカンのやろ
領民が歓声を上げて、ベストリアーネ様の名を高らかに呼ぶ、
それに答えるベストリアーネ様は、まさに物語に出てくる戦乙女のように見えた。
領騎士「静まれ!、静まれ!」
領騎士「伯爵様がお嬢様をお待ちである。皆の者大義であった!」
領騎士「領民よ、解散せよ!」
大騒ぎもこれで終わりやな~。
キイチ「ほなベストリアーネ様、僕は適当な宿で・・・」
がっしり、お前は逃がさん、目がそう言ってましたわ。
キイチ「あっ、はい」
逃げるんに失敗やったわ~。
僕のシナリオでは、どさくさに紛れ、ほとぼり冷めたら荷物渡してほなサイナラの予定やったんやけどな~。
流石は貴族令嬢様やで~。
領騎士に囲まれながら、僕は馬車を走らせ。
やがて豪奢なお屋敷に到着した。
勿論僕らはその手前にある。兵練習場に連れてこられて、個別に調書を取られた訳やが、きちんと口裏合わせてあるんで、女達の方は問題あらへんで~。
万事モームスタイやで~。あれなんかちごうてるきがするが、気にしたら負けやで~。
領騎士「うむ。ではベストリアーネ様に頼まれて仲間の装備を?」
キイチ「そうです~。どちらに出せば宜しいやろか~?」
キイチ達の話を聞いて問題ないと判断され。僕が荷物預かってた女達だけ残ったけどな~。
それも領騎士にも説明しとるで!、
キイチ「こちらがベストリアーネ様から頼まれていた品です~」
領騎士「・・・確かに、ご苦労だった」
僕はこの街で別れる女達に荷物渡してきちんとお別れを済ませた。
がきんちょ「おじちゃん僕、四番打者目指すね!」
キイチ「さよか~、四番打者目指すんなら、虎にならなアカンで!」
がきんちょ「うん!、僕頑張る」
後の世に、四番打者の異名を名乗る冒険者の片鱗は、キイチのせいで誕生する事になった。
ぎょうさんの荷物抱えた女達は、笑顔で去ってたで。
まあ~いいんちゃうか~、僕は知らんけどな~。
大阪人あるあるで、まあ~いいんちゃうか~、僕は、うちは知らんけどな~は常套句です~。
囚われとった女四人はそれぞれが色々な理由で、盗賊砦に囚われた哀れな被害者です~。
でも、ここはぬるい日本と違い。厳しい世界です~!、被害者だからと保護なんてしてくれません。
よって女達は強く強かな生き物や言うことや、
§§§×§§§
事態を知ったランドール伯爵は、領騎士をベストリアーネの迎えに行かせた。
程なく戻った領騎士団団長と孫娘にようやく安堵の吐息を吐いていた。
ランドール伯爵「よく無事で・・・・・・・」
話は聞いた。些か出来すぎた話だったが、囚われた者、手助けた者からの話を聞いてようやく孫娘はあの暴虐のザイオンをウッタルと理解出来た。
亡くなった領騎士にはわるいが、孫娘が皆を勇者にと称えたことで、遺族達も溜飲を下げてくれるに違いない。
それよりも孫娘が無事に戻った、その一点だけでも安堵するに値する。
ベストリアーネ「お爺様、ご心配を掛けました」
ランドール伯爵「よく、よく、無事で・・・」
厳しい祖父の目に涙だが溢れていた。
ベストリアーネ「お爺様・・・、私は考え無さすぎでした。申し訳ございませんでした」
深々と頭を下げた孫娘、その体を抱き締めてやった。
それからしばらくして、領騎士団団長が退出した。
こうして孫娘と祖父の二人になった所で、
「お爺様、実は・・・」
「なっ。なんだと・・・、ではあれは」
「キイチと名乗る商人のシナリオでした。その方が領民にも受け入れられ、貴族としての体面が良いと」
先ほどまでのしんみりした雰囲気は消え失せた。
そこにいるのは、領民を守る為政者の顔である。
「その者は、本当に商人であるのか?」
「間違いなく、あっ、確か口座開設をしてましたね」
「ほ~う、それならば一定の信頼が置けよう」
ほっとした吐息を吐いた。その辺の海千山千の商人だが、商業ギルドで銀行口座開設できるのは、それなりに功績のある商人であり、白金貨1枚を預けれる財産を有する優秀な商人だけであった。
「それで、その商人の要求はなんだ」
「はい、囚われていた女達の保護をだそうです」
これには伯爵の顔も強ばった。
「なんだと?、自分の要求ではないのか」
拍子抜けも良いところな要求に、困惑が隠せない。
「はい、キイチが申すに彼はこの国の生まれではなく━━━━」
そこからベストリアーネが聞いたキイチがこの国に来てからの話だった。
「一期一会か・・・」
どんな形でも多生の縁と言いましてな、僕の国では、その多生の縁を大切に致します。
回り回って僕に帰ってくる。そんな思想ですねん。
「良い言葉である、はあ~、他のバカに聞かせたい位だ」
「確かに、それで・・・」
囚われてた女達と襲われた女達に手伝いさせてお金を分け与えた。
「バカはバカだが、こんなバカならワシは許そう」
ガハハハハと高らかに声を上げて笑う祖父をベストリアーネは初めて目にした。
「そいつは愉快な、はあ~、笑わせて貰った、よしそのキイチに会おう!」
「はい、そうおっしゃると思い待たせております」
「うむ流石は我が自慢の孫娘よガハハハハ!」
その日は朝の憂鬱さな土無かったように。
ランドール伯爵の笑い声は夜まで続いたと言う。




