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女王⁉ 聖女⁉ いえ、ただの農業オタクな細工師です。  作者: 堀井 未咲
第一章 新しい未来へ

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043 姫騎士と話しました

 領主代行さんが忌憚なく腹を割って話がしたいと提案してきたので、ナイルさんは応じた。

 ロイド君とエメリーちゃん兄妹は、一旦帰ることにした。

 フィディルの何処でも扉で、執務室の扉を自宅の部屋に繋げる。

 あちらには、アンジーとクリスが自宅を守護しているが、ブラウニーは基本戦闘関連の技能を持ち合わせてはいない。

 なので、お子様ズに護衛を託した。

 外見は幼児であるが、中身は大精霊だ。

 過剰な戦力を有しているので、安心して貰った。

 監督役なレオンは、念の為にナイルさんに付いていて貰う。

 何でも、領主しか入室できない聖剣を奉る部屋にて、ナイルさんの魔法適性検査をするらしい。

 聖剣が雷を纏うも、聖剣に触れられることが、後継者であるのは間違いなしであるが。

 哀しいかな。

 疑い深い者が領主屋敷に滞在しているそうで、ナイルさんを騙りと罵りかねないから意見を封じる目的を兼ねるみたいである。

 その部屋にて領主代行は、余人を交えず今後の展望を語り合いと主張した。

 所謂、パフォーマンスだ。

 文句があるなら、実力を示せ。

 入室できるなら、入室してみろ。

 と、言う訳だ。

 レオンが入室できるのは大精霊だからであって、反対属性で部屋の侵入者排除の防衛魔法を無効化できるからである。

 これが、ユリスとセレナなら大惨事になるが。

 あの子達だと、弱点属性の効果で倍増のダメージがかかってきてしまう。

 任せられない。

 大地の上位属性のエスカだと、静電気で発火の可能性がでてきてしまう。

 なので、適任者が必然的にレオンになってしまった。

 フィディルとファティマ?

 この二人が、初見の場所で私を一人にする訳がない。

 シェライラの屋敷ではジルコニアがいたし、彼女が私を攻撃したら反撃するのを理解されている。

 また、ジルコニアは例え命じられても、私に攻撃する意思はもたない。

 ユーリ先輩大好きなジルコニアであるも、何故か私にも過大な好感を得ていた。

 不利になる情報をユーリ先輩に漏らしたりしないでいたから、隠棲した土地に襲撃されたことはない。

 まったり穏やかなスローライフを、していられた。

 話がずれた。

 んで、ナイルさんが話し合いをしている間、アンナマリーナさんと情報の擦り合わせをすることになった。

 床に伸びた補佐役さん達が出ていった執務室で、アンナマリーナさんと次男さんのアレクシスさんが同席した場が設けられた。

 ソファセットに向いあわせで座る。

 自己紹介が終わると、アレクシスさんは私の背後に立つフィディルとファティマを気にしていた。


「兄上。ああ見えて女性体の守護者は頑固な一面があり、細工師に敵意を見せた者を許してはないです。警戒されるのは当然です。また、守護者ですから、淑女に対する礼儀はいりません。自然体でお願いいたします」

「あ、ああ。説明されないと、人間として間違えそうな器だな。身近にいた守護者より、人間らしく思える」

「最高峰の錬金術師が作成した器に、一流の錬金術師に匹敵する修復技能にたけた細工師です。アナスタシアの守護者と比べようがありません」

「従姉妹殿の守護者も、名の知れた錬金術師の作だがな。金を掛けても、腕の差がこうも出ているとはなぁ」

「アナスタシアが馬鹿をやらかして、細工師の守護者を寄越せと言わないのを期待したいです」


 狙われそうなのは、男性体のフィディルかな。

 見せびらかして悦に入りたいのだろう。

 だとすると、フィディルを連れて歩かない方が無難だね。

 まあ、待機を指示しても、隠れて視ていそうだけどさ。


「細工師。他人事のように、聞き流すな。遊戯場とは違い、やり直しが効かない世界だ。簡単に排除はするな。何かあれば、アルバレア家の名を出せ。大抵の貴族や豪商は黙るしかない」


 お兄さんには女性の口調なのに、私に対すると男性口調になるのは意識してないんだろう。

 眉間に皺をよせて、美人が台無しな表情をしている。

 シェライラのバルンハウト家も、不祥事が起きたら名を出すように言われたな。

 あちらも、侯爵家だったはずだ。


「ご配慮ありがとう。だけど、気付いてる? 口調が男性口調になっていて、お兄さんが目を丸くしてるよ」

「あっ。どうも、自分の過去を知っている細工師と会話していると、女性口調だと気味が悪くなるんだがな」

「私も耳目が集まる中で、名前をわらび餅さんと呼ばない気遣いはするけど。そちらは、意識して気をつけないと同性から爪弾きされるんじゃない?」

「社交界ではもうされているから、気にはしてない。だけど、これからを考えると意識して変えないとならないな。じゃあ、改めて会話をしましょう」


 私との対話なら気にはならないが、ナイルさん一家と関わるなら恥をかかせない配慮必要不可欠である。

 継母になる訳だから、世間体は大事でしょ。

 ロイド君とエメリーちゃんの教育にも、悪印象を植え付けたくはないしね。


「話の腰を折って済まない。細工師殿と会話する口調が、アンナマリーナの地なのかな」


 ほら、ついにアレクシスさんが切り出した。

 猫を被っていた皮が剥がれて、素がでまくるアンナマリーナさんを心配しているのは表情が語っている。

 毛嫌いをみせる反発心がなく、ありのままを受け入れていた。


「あのですね。それを含めてお話します。単刀直入に申し上げると、アンナマリーナとして誕生する以前の私は、前世は男性だったのです。ですので、転生者と呼ばれる異邦人にあたります」

「転生者。我々の住まう世界とは違う世界からの異邦人、希なる旅人とか言われる俗称だな」

「はい。私は知的欲求を満たす外道な魔導師の無茶な召喚により、こちらの世界に呼ばれました。魔導師は異界の魔法を手に入れて、神々すらも支配する野望を抱いていました。けれども、魔導師の願いは叶わず、異邦人の所持していた魔法や技能は習得ができず、最終的には奴隷以下な実験体扱いをされました。私も間接的に魔導師に命を奪われ、死にました」


 アンナマリーナさんは、膝上に置いた両手の拳を握り締めた。

 人外さんに聞いただけの私と、当事者のアンナマリーナさんとは認識の違いがある。

 恐らく、過酷な凄惨なことが身に起きていたのだろう。

 辛い記憶だと思う。

 転生しているものの、前世の記憶がある限り、癒えない傷を負っているはず。

 でも、話して貰わなくては、対処の仕様がない。

 無理に話さなくても、とは言わないでおく。


「細工師」

「なに?」

「私達、外道魔導師に弄ばれた異邦人は、自分が死んだ以上に衝撃的な末路が待っていました。何でも、異界から他者を呼びつける魔法は完璧なものではなく、また神々が誘拐紛いな行為を許すはずがなかったのです」

「?」

「つまり、外道魔導師に召喚された異邦人(プレイヤー)は、ゲームのサーバーに記録されていた仮想体(アバター)の複製体だったそうです」


 アバターのバックアップデータが主となる複製体に付随する人格は、人間とのコミュニケーションを図り、簡易なAIを組み込まれたNPCが円滑に学習するプログラムが混ざっていた。

 ゲーム内でのプレイヤーの思考を元に形成された人格と、プレイヤー自身の切り取られた魂の(ここの改行は入力ミスと思われます)

 一部が合わさりできたのが召喚された異邦人となる。

 その弊害が、召喚された異邦人には知識はあれどサーバーの補佐がないため、武技や魔法は使用できない、アイテムボックスも開かない、多少のパーソナルスキルが発動する、一般人より高めな戦力になるかな程度しか能力を発揮できないでいた。

 多大なる召喚コストを支払って異邦人を招いた魔導師は落胆して、別な娯楽に異邦人を消費した。

 自身が招いた事実を伏せて、親身に協力して心酔させてから、絶望の底に叩き落とす。

 もがき、足掻き、必死に生き延びようとする異邦人の姿を嘲笑った。

 その怨嗟を糧に、召喚を行う。

 アンナマリーナさん、いやわらび餅さんが召喚されたのは後期な頃だった。

 ゲーム内でプレイヤーの一部が不調を訴えていて、大規模なメンテナンスを行うメールを読んでいたら召喚された。

 隠しイベントかと思いきや、ログアウト不可な現実に親切な魔導師に傾倒しないではいられなかった。

 裏切られ理不尽に死んだ後に、神々に救済された。

 複製体の事実を知り憤るわらび餅さんに、神々はある選択を述べた。

 それが、転生。

 既に、地球で生きるわらび餅さんの本体とアバターのわらび餅さんを統合するには、余計な記憶が刻み込まれていて、別な人格に変異する可能性が高い。

 それは、地球を管理する神々から避けたいと苦言が来ていた。

 別人になる訳だから、整合性を整える為に過去を弄らなくてはならなくなる。

 一人二人ならまだしも、百人単位の人間の過去を訂正する余力が神々にはなかった。

 また、記憶を消去して統合しても、歪は生まれてしまう。

 常に監視をしないとならない労力も避けたい。

 わらび餅さんによると、記憶をまっさらにして転生を希望する異邦人が断トツに多かったそうだ。

 例に漏れず、わらび餅さんも転生を希望する。

 ただし、外道魔導師に復讐はしてやりたい。

 ならば、その機会に恵まれる時期に記憶を有しての転生を打診されて了承した。

 自身の世界の跡始末を任せる代償に、プレイヤーのスキルは一部だけを付与する。

 そして、大事な約定を交わした。

 わらび餅さんが転生する時期に、大きな影響を与える事件が起きる。

 それに、魔導師と黒幕の神も復活して関わってくる。

 対抗手段を保有する人物が、希なる旅人として現れるから協力すること。

 物心が付いた日に、記憶と約定を思い出したアンナマリーナさんは、すぐに母親に直談判した。

 悠長に淑女教育を受けるより、武技を修めたい。

 やがて、訪れる待ち人の従者となりたい。

 娘の真剣な訴えに、母親は根本的な理由を問い質し、娘の本質を理解した。

 外見は娘。

 中身は息子。

 忌避感なく受け入れて、必要な教育を施してくれた。

 女だてらに武功をあげたせいで、父親と兄二人には嫌われたと思っていたそうだ。

 まあ、そのお兄さん達は妹が可愛いシスコンだと判明したが。


「細工師はどの事情で、こちらの世界に来たか教えてください」

「私は単なる巻き添え。ある国が勇者召喚して、応えた馬鹿を異界に送る犠牲になったらしいよ」


 複数人が異界から異界へと航るには、召喚国だけのコストでは足りなかった。

 だから、私達の世界にて沢山の人死にが発生した。

 人外さんによれば、本当に召喚されたのは、一人だけ。

 おまけな人員は、払う犠牲も分からず勝手に着いてきた害悪なんだって。

 あの召喚勇者のぞんざいな扱いは、異界の犠牲者を悼んでお怒りだったらしい。

 あちらでは、死体が見つからない五人組は整合性をつけたら、最初から存在しない人間になった。

 可哀想だなんて、これっぽっちも思わない。

 五人組が応じなければ、犠牲者がでなかったのだから。

 私の視界に入らない場所で、勇者ごっこを楽しめばよい。

 辛辣な言葉しかない。

 魔導師と黒幕の神の味方になるなら、敵として排除あるのみ。

 まあ、その時が来たらどうするかは微妙な気もするけどね。

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