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女王⁉ 聖女⁉ いえ、ただの農業オタクな細工師です。  作者: 堀井 未咲
第九章 森からの招待状

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354 ベルゼの森の異変からのでした

 レオンから相談された翌朝、というかまだ朝日が昇りきらない早朝の収穫作業に従事していたナイルさんと護衛なはずな騎士ワイズさんが、農園の門前に騒いでいる人物がいる事をエメリーちゃんの守護者ナナリーから伝達された。

 この件はいち早くフィディルとレオンも気付いていたが、いかんせん私が就寝していたので門扉は閉ざされ、放置していた。

 ナナリーもレオンが放置を通達していて、最初はスルーしようとしていた。

 ナイルさんに後で聞いたら、門前で騒いでいたのが武装していた集団であった為、ナイルさんと騎士ワイズさを一度屋敷に戻りアーガストさんを申し訳ないと思いつつ起こして簡単に説明し、三人共に武装して門前に出向いてくれた。

 ここで、フィディルが万が一を懸念して合流し、姿を隠す隠形で間近で控えていると伝え了承を得て、気配と姿を隠す。

 門前で騒いでいた集団側も、ナイルさん達が屋敷に戻っていた間に第三の集団が背後から現れ、そちらと口論していて出向いてきたナイルさん達に気付く様子が無かった。

 で、騎士団元総長であったアーガストさんが一喝と威圧を発動しつ騒ぎを制した。


「静まれ、招かざる者達! 

 ここは、ランカ領地領主バーシー伯爵が居を構える農園兼屋敷である。

 先触れ無しに加え、武装集団であるを踏まえ、貴様等は伯爵に対して危害を与える無法の輩と判断し、私設自警団及び治安維持隊として制圧する。

 ただし、陳情又は緊急事態の報告なら受け付ける。

 即刻、来訪目的を述べよ!」


 門前を挟み、こちら側三人&隠形中の大精霊が一柱。

 対する武装集団一組目は十人超え、二組目は冒険者ギルドでよく見かけるレードさんパーティーだった。


「早朝での騒ぎ、大変申し訳ない。

 出来得るなら、バーシー伯爵には冒険者ギルドランカ支部ギルドマスターが伯爵の都合もあれど、火急に報告したい件があるとお伝え願いたい」

「そんな悠長にしてはいられない。 

 領主なら領地で起きた問題に、早急に解決に動かないとならない義務があるんだよ。

 新米貴族だろうが、義務を怠る領主はすぐに身分剥奪の上、追放処分だと決まりがある。

 だから、バーシー伯爵とやらは義務放棄で爵位剥奪と財産没収が決まってるんだ。

 後任のバナック伯爵子息がわざわざ、領地引き継ぎに来訪された、直ちに領地と財産を引き渡せ」


 レードさんの礼節に適った作法どおりの訪いとは真逆の、自分達の言い分が間違ってはいないと、どこからそのはた迷惑な自信と叶えられるとの思い込みが発生しているのか、アーガストさん達は耳を疑わざるを得無くて、頭痛が激しく痛んだらしかった。

 要は、またもや私が所有する素材やアイテム狙いの輩登場かと殺気立った。

 フィディルも静かに怒りを覚えたそうな。

 まあ、武装集団が門前で騒ぎ暴れたとしても、フィディルとファティマと滞在費がわりにグレイスも門扉と農園を囲う鉄柵に悪漢避けと守護結界を施しているので、許可がない輩はたとえ門扉が開いていても一歩も入れない仕様になっているんだけどね。

 一向に門扉を開かないナイルん達に業を煮やして強引に門扉を開けようとした集団は、これまた怒っていたレードさんの八つ当たりの鬱憤から一人残らず叩きのめされた。


「このバカ集団は冒険者ギルドで引き取ります。

 ですが、先にも述べました通りランカ支部ギルドマスターが、バーシー伯との会談を要望しております事お伝えください」

「承知しました。

 バーシー伯爵には伝えておきます」


 冒険者ギルド専用拘束魔道具にて、捕縛された集団を引き取りレードさんは伝言を残してギルドに帰っていった。

 で、起床と朝食を終えて、謹慎中のフォードさんだけど屋敷内での執務は継続して貰っていたので、執務室で書類仕事をりぃにチャチャを入れられながら共に熟している際にアーガストさん達が上記の説明報告にきた訳です。

 あ、私が就寝中のりぃの義体は、私の日常生活に合わせて活動している。

 つまり、私が就寝中はりぃも就寝となっている蛇足を入れておきます。

 りぃ本人の感想は、


『何かね。

 ゲームでの睡眠状態と同じ感覚かな。

 眠りました、起きました、的な馴染みある感覚に設定どうとか、義体の調整の時に説明された。

 うん、まさにそんな感じでした』


 との事。


 で、タイミングよく執務室でフォードさんと、冒険者ギルドから陳情めいた報告があった話題で論議していたんですよ。

 冒険者ギルドランカ支部ギルドマスターのお姉様ことレオーネさん曰く、ベルゼの森の雰囲気や空気に変化があった。

 ベルゼの森には、私預かりになった灰色君と長のアルビノ君兄弟の種族森林狼と、魔族に分類される吸血種族と、まだ出会えていない最後の番人の種族が居住している。

 冒険者ギルドも森林狼と吸血種族は認知していて、無闇に敵対しないように入森条件を設けている。

 領主の私側も、退っ引きならない状況での自衛以外で狩ったり、討伐禁止を冒険者ギルドへは通達してある。

 なんと、森林狼の毛皮はどこぞの大国で大流行して、他国の森林狼を狩り尽くし一時期絶滅危惧種指定を某枢機卿猊下が宣言し、保護認定をくだした。

 だというのに、強欲なメンツは裏取引まで行い、森林狼の毛皮入手を諦めないのだから始末にを得ない。

 よって、某枢機卿猊下は森林狼種族を、大陸全土から保護名目で秘境の地へ隠した。

 そんな曰くつきな森林狼が、女王国内のベルゼの森に存在しているから、不思議だと言えば不思議なんだけど。

 あ〜、そういや。

 忘れ果てていたが、吸血種族と最初にバトった時に、吸血種族を扇動して操っていた輩がいたな。

 人外さんの元へ強制転移連行した、その後を聞いてないや。

 あの時は、ダレン関連の外道魔導師が絡んでいそうだと思い、人外さんに丸投げしたんだった。

 ごめん、人外さん。

 放置してた。

 ロズレーヌ侯爵家で、嫌がらせの鬼メールするんじゃ無かった。

 私がされる側じゃんか。

 後日、一人反省会やろう。


『もしもーし、お姉?

 眉間にシワができてるのと、えっと騎士さんが声掛けしていいのか困ってるけど?』


 内心でブーメラン返しを思い出し、一人ツッコミしていたらりぃに耳たぶ引っ張られた。

 木工作製が得意なレオンが造ってくれた執務机の天板に、視線が向いていた。


「ああ、ごめんなさい。

 ちょうど、フォードさんと冒険者ギルド関連の話をしていたところで、繋がっているのかと思いました」

「そうですね。

 ギルドマスターからの報告でも、新人教習は暫く延期にするとありました。

 わたしが謹慎する前の情報ですが、アーガスト氏に伝言を頼んだ方を中心に、ベルゼの森の安全度を確認するとの事でした。

 となると、その報告も兼ねた会談かもしれませんね」

「成る程。

 自分は王都と領地の冒険者ギルドとしか関わりがなく、冒険者ギルド側が王城か領主館に出向いてくるのが通常だと思っておりました。

 開拓途中のランカ領地となると、役場が窓口となりバーシー伯に上奏する案件でしたね」

「そうなりますが。

 いかんせん、仮役場に勤務する代官のわたしは謹慎中で、代理のフェルト氏は領主へ上奏する権限が無く、わたしに報告してからバーシー伯へと上奏するのでしたが。

 ギルドマスターが直接バーシー伯の屋敷に上奏したのは、緊急案件と判断されたとみなします」


 私の沈黙は一人ツッコミしていたからとは言えず、妥当な思いを発言してみました。

 フォードさんとアーガスさんに気付かれなかったか、空気を読んでくれたか今一判断つかないですが、話題は進んでいった。

 フィディルの未来視も神々側から制限入っちゃったしね。

 私が渦中に突っ込んでいかないのと、私の身に最悪な状況に陥る可能性大にならない限り、未来視は強制休眠された。

 フィディルは精霊王ちゃんとニ柱(ふたり)して、神々側に未来視強制休眠制限に抗議をしたそうだ。

 しかし、この裁定は覆られず、人外さんが憤って詫びメールがきたりする。

 神々側も一枚岩じゃない証ですわ。

 ただまあ、制限した神はどうやら人外さんに粛清された模様で、解除させてからすれば良かった、直せないと泣きと愚痴と更なる詫びメールが届いたさ。


「……なのと、ギルドマスターには農園に入られる権限が無いですから。

 仕方がない一面も理解はできます」

「レード氏がギルドマスターの先触れとして農園に来た理由は分かった。

 ならば、門前で騒いでいた輩がバナック伯爵の子息が後任云々と宣っていたのも、火事場泥棒の体であわよくばバーシー伯の私財を掠め取ろうと企んだだけだろうか」

「くだんの子息についてはわたしの見識となりますが、アーガスト氏のおっしゃる通りかと思われます。

 子息は一人息子でありながら、長年子に恵まれ無かった母親に溺愛と甘やかされ、随分と問題を起こし跡継ぎから外された身です。

 バナック伯爵は姉君の子息に伯爵家の家督を継ぐ相続権手続きを、貴族院と王城に申し出た数日後に急逝され、手続きが完了しておりませんでした。

 その為、バナック伯爵家の家督相続に、貴族院は実子と甥のお二人に条件を課しました」

「その件は、自分も把握しているな。

 確か、条件は……、だからバーシー伯の後任云々になる訳か」


 フォードさんと会話していたアーガストさんが、私を見やる。

 一人息子なのに実の父親から跡継ぎを放棄された伯爵子息、何をやらかしたんだか。

 正直、一欠片の関心は沸かないけれども、乗っ取りと私財搾取を示唆されたのなら、喧嘩は買うぞ。

 なので、貴族院が付けた条件を披露してくださいませ。


「常識に疎くて申し訳ないですけど、その家督相続権の条件が気になります」


 おおよそ、想定はできるけどね。

 やはり、返ってきた答えはドンピシャだった。

 条件其の一、期限内に貴族院が選択した実務能力を示すこと。

 条件其の二、期限内に貴族院が認める功績を示すこと。

 条件其の三、期限内に上位貴族の推薦及び後見を過半数得ること。

 条件其の四、期限内に担当教区の枢機卿の承認を得ること。

 バナック伯爵が跡継ぎと認めた甥ごさんは、条件の一とニをクリアして貴族院が家督相続の認可手続きに入り掛け、実子の子息は条件の三をクリアしようと上位貴族に取り入る為、お金をばら撒いているんだとさ。

 母親の実家が商売で財を成して、没落寸前の男爵家の令嬢を家督ごとお金で買った富豪大商家なのもあり、息子を溺愛する母親が相続したお金でばら撒くのは勝手だが、上位貴族もバカではない。

 如何に大富豪でも支払えない金額を推薦状の代わりに提示して、遠回しに断っているのを子息と母親は理解してなかった。

 そんでもって、ふっかけられた金額を支払うには三件が限度。

 到底、過半数に届かない。

 そうして、思い出したのが私が迂闊に世に出した虹色真珠と希少価値高いドレスに行き着いた。

 どうにかして私から搾取できないか、瑕疵を見張られていたのではないかアーガストさんは説明してくれた。

 うん、おバカさんだ。

 たとえ、正当な理由で私から搾取できたとしてだな。

 私には超絶過保護な某枢機卿猊下が、後見人&身元保証人になっているんですけどねぇ。

 私どころか、担当教区の枢機卿猊下にも喧嘩ふっかけているのを、おバカさんが把握する日が来るのか、どうか。

 まさしく、神のみぞ知る結末になりそうである。

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