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第1話 最強への道

「ゲームセット!今大会のチャンピオンはハルト選手に決定しました!!」


実況が勝者の名前を叫ぶ。

鳴り止まない歓声と拍手。

それまでステージを照らしていたライトは唯一人の選手に向けられた。


マギアナクロニクル…通称マギクロは全世界総プレイヤー人口が一億人を超えるデジタルカードバトルゲーム…つまりネット上で出来るカードゲームだ。そして本宮ハルトはその大会、「第六回ジャパンマギアナクロニクルサマーチャンピオンシップ」でたった今、頂点に立ったのだった。


「では、ハルト選手に優勝インタビューを行いたいと思います。」


この大会のMCを務める有名プロゲーマーからマイクを向けられたハルトは喜びを抑えることもなく30分以上の演説を行い、彼は優勝時の最年少記録とともにこの出来事ものちに伝説として語り継がれることとなる。


「いやぁあ!気持ちがいい!最高だ!」

会場を出てからはしばらく色んな人に声をかけられたり、サインを求められて大変だったけど。こればっかりは勝った時にしか味わえないのだからたまらない。

会場近くに借りていたホテルの自室に戻り、改めて自分が優勝したということをネットニュースを見ながら確認する。自分で自覚できるほどニヤけが止まらないがまぁ誰も見ていないしいいだろう。


窓に近づき、ほんの数時間前まで戦っていた会場を見つめる。デジタルなのだからわざわざ大会だってこんな広いアリーナを借りなくてもいいのだが、eスポーツと言われるあたり、同じ空間で応援し、優勝を見届けたいと考える人は多いのだろう。もちろんプレイヤーである自分達も自室で一人、パソコンやタブレットを見つめるよりも多くの観客に見られながらプレイするほうが気持ちが良い…はずである。少なくとも自分はそうだ。


「とりあえずあと3ポイントか。」

スマホに映る自分のプレイヤーステータスを確認する。その【大会累積ポイント】欄の横に57の数値が表示されていた。

マギアナクロニクルワールドリーグ参加資格まで残り3か…

プロゲーマーでもなく、企業チームにも入っていないただの高校生がこの最高峰のリーグ戦に参加するための道は唯一、半年の間に公式大会で付与されるポイントを60貯めてたった一つのオープン枠を賭けたトーナメント戦に出なければならない。

ベッドに腰掛け、スマホを横に置く。この半年、俺はマギクロに全てを捧げてきた。プロゲーマーになったり優勝賞金に興味がないわけじゃないけど、一番はそこじゃない。


―ただただ勝ちたい。最強だと証明したい


その一心でここまで来た。…優勝賞金で思い出したけど…バッグの中からマギクロのロゴが入った小箱を取り出す。


「確か、副賞ってリアルカードだっけか」


小箱を開けると透明の保護ケースに入ったカードが納められていた。


「【灼熱の根源 カノープス】かぁ。」


手に取ってみるとケース越しではあるが普段はデジタルで持つことができないカードがこうやって手の中にあるのはなにか感じるものがある。


しばらく眺めて箱に戻そうとすると箱の中にもう一枚、真っ白なカードが入っていることに気付いた。


「これも副賞か?」


二枚、副賞があることも珍しくはないけどこっちのカードはケースにも入っていないしなと思いながら手にとって裏面を見る。


『本宮ハルト様。貴殿はフィリオス世界大会の代表選手として選ばれました。参加の意思がある場合はこちらにサインをお願いします。』


「フィリオス世界大会?」


ベッドに置いたスマホを起動させ、ネット検索をかけるがそんな名前の大会はヒットしなかった。


「もしかすると…まだ公表されていない大会か?」


それなら出ない道理は無い。何より副賞の箱に入っていたのだから怪しいことはないだろう。

そう…この判断が間違いだったと気付くのはこの後すぐのことだった。

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