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第の五 ソレ。異世界Nonsense



 景里ケイリ天津アマツ。彼のキャラ名は「ツォルト・グェスチック」。田舎出身のぽっと出最強勇者という役だ。




 辰真タツマ門瑠カトル。彼のキャラ名は「ジェダスタ・リーベンヒル」。異世界からこの世界へ渡り移り、伝染病を広げた最悪の魔王という役だ。




 景里ケイリ織矢オリヤ。彼女のキャラ名は「エノム・リェストン」。伯爵家の一人娘で、ギルド内で出会い、魔王戦まで共に行動をする勇者のサポート役だ。



「ふぅん。なるほどな」



 一冊の本をパラパラとめくり、そこに書かれている情報を噛み砕いて飲み込む。何年続けているのだろうか、こうして同じ本を繰り返し読んでは忘れる日々を。




 西呂ニシロ律臣リツトミ。彼、か、か…かろかほ、れれ……ナガ…アナハタヤハ??な、。



「うん?なんだこれ。初めて見るページだな」



 意味もなく文字が崩れている?



「りつとみ……」



 あぁ?……何だっけ。知ってる人の名前だ。



「律臣…?」



 見たことある漢字だ。俺はコレを……何処かで見たことがあるのだろうか?分からない。理解できない。




 あ、高校行かないと。




 パジャマから制服に着替え、充電器からスマホを抜き取りポケットイン。おっと、これだけは忘れないネクタイピン。別に韻は踏んでないぜ。いやほんと。




 リュックを背負い玄関に…行く前に。




 ある部屋の扉の前で足を止め、開かすに室内へ向かい手を合わせる。どうか報われる日が来ますようにと願いを込めて、幸せを願って祈りを捧げる。



「高校…行ってくるね」



 誰にも聴こえないであろう大きさで呟いた。報われて欲しい人に向けて呟いた。彼だけが俺の家族だ。それ以外は皆、血が繋がっているだけの他人さ。




 玄関で靴を履き、暗い家の中から明るい外へとドアノブを回す。



「………よーしッ!学校行くぞぉー!」



 暗い思考を家に置いて、明るい自分を構築しながら高校へ向かう。友人達の前で素なんか出せねぇよ。出来るだけ、元気な俺を見ていてほしいしな。




 道端の石を蹴り転がしながら鼻歌を歌い進む。人に聴かれたら恥ずかしくなるが、もう誰かに聴かせる勢いで鼻歌をしているから気にしてないぜ俺は。




 通学路は誰ともすれ違わない。会ったとして、たまーにランニングしてるおじさんがいるくらい?辺鄙なところに居るんですよ俺は。




 ある程度進むと人通りも増えて交通量も盛んになってくる。そして信号付きの横断歩道も見えてくる。




 田舎って信号のない横断歩道が多いからね。車が来ないタイミングで通って、車が来たら譲ってくれてるってはっきり分かるまで不動を貫く。




 けれど、ここは信号がある。安心で良いね。




 むっ、赤信号か。まぁ、いったん足を休めるとしよう。なかなか距離があるからね。え?あぁ、乗れないよチャリンコ。持ってないよチャリンコ。




 虚空を見つめて信号が青になるのを待つ。青になるのを俺は待っていた。




 不意なことだった。




 隣を黄色い帽子を被った小学生が走り、立ち止まっている俺を追い抜き、未だ赤信号の横断歩道へ侵入した。その事実に俺は一瞬、青信号になったのかと勘違いを起こしたが……やはり信号は赤い。



「…へ?」



 自分の身体がいつの間にか血まみれになって………?



「ごぷっ…ぷぁおおおろ……」



 今、俺は血を吐いて?………いや、内臓?




 いいや…何だ…これ?タコの…足?



 口から出てくるタコの足の先端が、蛇のようなウネウネとした動きで俺の頭をぐるぐる巻にしていく。目も、耳も、鼻も、全てが締め付けられ隙間が消されていく。




 息ができない…!と、感じる間もなく俺の頭は圧力によって爆発。周囲に血と脳みそが散らばり…そして、意識はまた別のところへ送られて。




 気がつくと身体は幽霊のように透けていて、何もない世界へ来ていた。上も下も、右も左も認識できない無の世界。そこに俺は浮いている、いや…吊られている、いや…貼り付けられている、いや…いや…いや…俺は座っていた。




 気が付かぬ間に俺は椅子に座らされていた。目の前には円卓。俺以外の椅子は空席。なんでか足元がひんやりと。



「……!?」



 いつの間にか水が足首の高さまで来ている。膝へ到達。腰へ、腹へ、胸へ、首へ、そして……頭の先まで完全に水位が上昇した。立ち上がろうと必至で藻掻くのだが、手足は椅子に張り付けられたままに動かない。




 もう溺れる…!息が続かない…!と、思考したタイミングでまたも視界は切り替わる。



「エホッ…!ゲホッゲホッ…!コホコホッ…こひゅー…こひゅー……!」



 青々しい一面の草原にうずくまり、呼吸も荒く心拍が上がっている自分が見える。第三者視点で、俺は俺の姿を見ている。苦しそうに咳き込み、涙目になっている俺を。




 突然雲行きが怪しくなり、青空は黒い雲で埋め尽くされ…俺は察した。すると案の定さ。雷が俺に突き刺さる。全身を枝分かれする痛みと、強制的に強張る筋肉による痛み。




 鋭いナイフで切られたかのような苦痛に顔をしかめている自分。なんて滑稽な姿だろう。




 どんなに痛みや衝撃に悲鳴をあげても、不思議なことに声は出てくれない。いいや、出せていない。




 タコの足が頭から離れ、口の中へと引っ込んでゆく。恐ろしい事に、先程までの苦しさや痛みも全て消えている。理解した、幻覚を魅せられていたことを。



「ここは…」



 何もない城。空席の玉座には槍が立てかけられていて。




 いいや、誰かが座っている。誰だ?



「っ…っっ…っ……っ?」



 声が出せない。



「やぁ、こんにちは。西呂にしろという姓を持つ者よ」



 玉座に腰掛け、前のめりな体勢でこちらに声をかけてきた。男性…いや、女性なのか?分からないが、ソレはコチラに近づいて来ている。………いや?俺が近づいているのか?



「まぁ、立ち話も良いものだが、今回は座して駄弁ろう。君もかけたまえ」



 手を伸ばせば触れられるほどの距離まで近づくと、ソレは俺に声をかけ、俺の後ろを指差した。なんと、指し示す先には先程までは確実に無かったはずの、ソレが腰を落ち着けているものと同様の玉座が。




 声も出ず、身動きも取れずに俺の身体は勝手に座る。まるで自分の身体じゃないかのようだ。



「単刀直入に言おう。君は邪魔だ。この僕の邪魔をしているんだ。新しいルートの開拓?【耐性】?くだらないな…」



 両手両足が縛り付けられたかのように動かなくなる。



「僕の世界だぞ?この世界の王は僕なんだぞ…?君が手出ししていいモノじゃない。なに…?異世界から強制的に引っ張られた?……はぁ、僕が言いたいのは〝手出ししていいモンじゃない〟ってことだよ?この世界に来た理由も、来たことも、どうでもいい。認知していたし、来たらすぐに判るし解る」


「っ…っっっ…?」


「あぁ、紹介が遅れたようだ」



 椅子から立ち上がり、ソレは一歩前へ。影から光の差す位置へ。すると姿が鮮明に浮かび上がった。…が、結局のところ男性か女性かは判別不能。中性的といえば中性的だが、性別自体を持たないという認識のほうがしっくりとくるタイプだ。




 肩より少し下のあたりまで伸びた金糸のような髪。特徴的な、ゲームのAボタンを想起させる…灰色の左の瞳。深いくれないの色、しかし光の反射していない、生気の感じない右の瞳。


 腰から生えている、一見すると九尾の尻尾のようなのはタコの足。背には黒に染まりきった翼。




 ソレはまるで、中学生がゲームクリエイトに時間をかけたかのようなビジュアルをしていた。俺は好きだこういうの。



「お初にお目にかかる、西呂を姓に持つ者よ。僕は世界王…BrokeinブロゥケインOztubesオズトベス。僕の名前は言いづらくてね。BOビーオー…と、頭文字をとって呼ばれることが多いよ。君も気軽にそう呼びたまえ」


「っっ、っっ………」


「あ〜ぁ、喋れないよね。そうだよねぇ」



 両手を大袈裟に広げ、俺の身体に抱きついて。腰から生えているタコ足の一つを俺の口へとBOは。



「っ…!!っごぷっ…!もごご…!?」


「へぁ〜…愛らしい…」



 喉を越え、胃を弄られ、腹の中をウゴウゴと進むソレ。涙と嗚咽が止まらないが、ソレは構うことなくにこやかに見つめてくる。俺の涙を目で追い、ポタッと顎から滴り落ちるまで、を。



「ほら、見てよこのお腹。内臓の更に内側からボコボコ蠢いてるのだよ?まるで赤子が体内にいるみたいだね。ふふふ…やはり苦しそうな顔には涙が良く似合う。なぁ、西呂の姓を持つ者、君もそうは思わないかね?」



 苦しい…!吐き気が止まらない…いやこれ多分吐いてるけど吐けてない…!止まらない衝撃で頭が爆発しそうだ…!




 なんだ?なんなんだ?




 何故俺は、こんな状況になっているんだ…?



「もががががッ…!?っぷ…」



 タコ足が一気に引き抜かれた。




 変な表現にはなるが、今の俺はよく振った酒瓶だ。そのコルクが飛んだ後だ。イメージしやすいだろう?映像の差し替えにもってこいさ。



「さて、君は何の役にしようか。勇者はいる、サポートも、魔王も。……おっ、好敵手なんてどうだろうか。ゲームというものは、競う相手がいなくてはやりがいが減る。そうだろう?」


「はぁ……はぁ……はぁ…っうぷ」


「それか、現在の勇者と魔王を終わらせて、次の世代の勇者と魔王を再結成させようか。彼らのパターンのRPGはもう飽きたことだし……なにより進展がゼロだ。バトンタッチという手も中々に現実的だろう」


「…お…まえ……」



 BOの言葉が、淡々と語られゆくこの世界の行く末が、ガンガンと痛む脳みそと身体の内側に染み込んでは淡く溶けて。



「俺は…律臣……だぞ?ちゃんと呼んでくれないと悲しいぜ…」



 世界王との交渉を始めますか?



「YESッ…!俺は交渉人ネゴシエーターだ…!」


「……手を出すな。と、僕は言ったのだよ?この意味も解れないほどに君は脳足りんとでも言うのだろうか?」



 とりあえずは今の状況を切り抜ける。で、勇者の天津アマツとか言う野郎を一発ぶん殴ってやる。魔王の門瑠カトルも泣かしてやるさ。




 【耐性】のおかげかは定かではないが、天津に乗っ取られても死ぬことはなかった。天津の記憶を覗いた……あー?覗かされた?まぁ、記憶が共有された結果の既知ってやつだ。で、記憶を知ったが乗っ取られた側は確実に死ぬらしいぜ?ふざけんじゃねぇックソゲーだろ返金しろッ!!




 天津が門瑠をぶっ倒す。…が、何故かループに入ってしまう。霊体のようになってしまった身体で門瑠の場所まで向かうも、どうしても透けてしまい危害を加えられず。ルートと実績が定められた。


 選択肢として、彼の役として与えられた内容がアップデートされ、〝勇者代行プレイヤーを呼び寄せる力〟と〝勇者代行代行勇者ログインという力〟を天津は手に入れた。


 勇者代行を使用した天津はクェルトをこの世界に引っ張ることが出来た。本人との対話により身体を操作することが出来た…までは良いがクェルトは息絶えてしまうことに。コレで実績を解除し、新事実改定リトライという力を得る。


 新事実改定により、勇者クェルトが息絶える前に勇者エクタルを呼び寄せたという結果に変更。辻褄合わせとしてクェルトやエクタル、それ以降の勇者は〝勇者代行を呼び寄せる力〟を持つように。しかし、呼び寄せると命は短くなり…数日以内に死に絶えるというリスクも与えられていて。


 天津は反省を活かしてエクタルを乗っ取ることは無かった。だが、門瑠には決定打を与えられずに。


 次の勇者、勇者アダロの身体を乗っ取る。…が、魔王城に行く前に病に侵され。


 勇者メイガスと勇者リリアを呼び寄せ、同情と〝仮説〟により身体の乗っ取りは行わずに二人の行く末を見届けて。因みに、仮説というのは〝勇者代行代行勇者を使用中は、勇者にかかる負担及び病の侵行は急激に高まり早くなる〟というもの。そこで俺の【耐性】が光ったのよ。


 で、ここからは俺のルート。勇者リツトミ。結果は見てのお帰りってこと。




 まぁ、これはあくまでも勇者として魔王を倒せそうになった、という、このループの始まりの部分からの記憶の書き出しでしかない。…故に短く見えるが百数十年間という長い期間での物語だ。




 天津も狂ってきていたんだろうよ。



「俺は手を出さない。あんたのシナリオに対して何もしない。…が、一つだけ関与させてもらうぜ。うぷっ…まだ身体中キメェ〜!あっ、駄目だ吐くね〜…」


「ほう…?なかなかに興味が湧くことを言うじゃないかぁ。………で、偶発的な勇者紛いの口からいったい何がでようというのだ?」


「少なくとも今出てるのはゲロかな…!」



 関与させてもらうこと。



「はぁはぁ………はぁ〜…なぁBO、俺って勇者で良いんだよな?」


「…うぅ〜ん?何をする気だね君は」



 なら。



「出でよッ勇者ァァァ!!ここが何の世界なのか知らないけど、異世界からというコトにはかわりはないであろゥーーーッッ!!!」



 勇者代行プレイヤーを呼び寄せる力。天津がバグらせて生まれた本来は無いはずの機能。起源がバグっつぅコトはシナリオにも無いんじゃないか?




 つまり…あれだ……こいつが世界の王だとして、この世界の管理をしているとして、勇者代行なんちゃらは本来はこの世界にはない力。




 だから……関与出来るんじゃないか?シナリオ外からの打撃がな!



「…………あれぇ〜?ん~~…」



 勇者っていつ来るのかなこれってぇ〜?恥ずかしいんだけど俺今。すごく。いやほんと。




 あああああ!!見てよあれほらァァァッ!首傾げてるよ…!?なんか厳か且つ不思議且つ変態的な世界王さんがさぁ〜!




 せっかく椅子から立ち上がって天に向かって片腕を突きだしたってのに…!!!ちくしょう…!いや…チックショーッ!!!いやぁ…好きだったなぁ(現実逃避)。



「西呂を姓に持つ者、いいや……西呂律臣ッ!」


「は、はいっ!」



 いや「はい」じゃなくてぇ。




 BOさんは眉間に深いシワを作り上げてコチラを睨み続ける。両目も血走っており、殺意マシマシ感がとてつもないです。なんか格好つけた手前アレなんだけど人生終了かもしれん。いやぁ……ね。いや、ほんとに何とかなると思っててさ。




 …だってよ!勇者は勇者代行なにがしを扱えるんだろう?そう記憶も言ってたじゃないか、天津の記憶が。話が違うじゃないか。赤っ恥にも程があるし、これから赤い血を流すことになるだろうね。




 あっ、槍持っちゃったよ。椅子に立てかけてあった槍を手に取っちゃったよBO。



「貴様…いったい誰を連れてきた?僕のッ世界にイィィィッッ!!!」



 槍の穂先を顔面スレスレに近づけて問われても困ります。俺も分からないですよ。てか呼べてるの?そこから何だけど俺からしたら……あっ、解るんだっけ?世界王とか手を出すなとか連呼してるくらいだし、外部侵入者に敏感なのかな。



「答えるのだッ!」


「知りませんよそんな!一旦ほら、落ち着きなんし……と、いうか。なんか落ち着いてきたな?あぁ…そっか、あー…嫌なとこ遺伝したな。自分よりも追い詰められてる奴見てるから冷静になってんだなコレ」


「くっ…」


「なんか、底が見えましたね」


「クソオオオォォォォッッ…!!」



 突然にも世界王は姿を消した。何処かへ行ったようだった。




 とりあえず、天津達が役を演じないといけない原因は世界王にあるコトが理解できたな。暇つぶしか何かで、自らが立てたストーリー通りに進むようにしてみたら、思いのほか愉快だったのだろう。




 で、俺はどうやってこの空間から出れば良いの?



「てかどうやって来たの?えーと?横断歩道が青になるのを待ってて…から変なのか。なんでそもそも、俺は元の世界に居たんだ?なんで本を読んでたんだ?」



 てか天津負けたくない?うっすらぼんやり記憶にあるんだけれど………?うーん?




 えっ、本当にこの場所からどう抜ければ良い?ログアウト出来ませんかね?出来ませんか分かりました。コンセント抜けない?そしたら…セーブデータは消えるかもだけど出れるよねコンセントなんて知らないけども。



「………詰み?」



 ルートが分岐しました。前者は〝既に居ます〟ので、後者へと進みます。




 実績が解除されました。



「『孤独の彼方』………数千年先まで孤独を過ごす…?いやいやいやッ!…え?実績解除なのに未来から達成を先取りするのは変でしよ?まるで、なんか…確定してるみたいな……感じ……なんだけど……俺がこの先、数千年間孤独でいるってことが……さ?」



 周囲を見渡すと何もない空間。先程まで城の中にいたはずだと言うのに、上も下も、右も左も何もない。立っているのか、浮いているのか、吊られているのかも認識できない虚に包まれた確かな空間。



「………へ。いや…ほんと?」



 膝から崩れ落ちた。


 地面であろう壁へと両手を突いた。


 落ちる涙がピタリととある地点で止まった。


 やがてちっぽけな水溜りが出来た。


 俺が映った。


 泣いてる顔が映ると思った。


 笑ってた。



 笑ってた。




 笑ってた。





 笑ってた。






 笑ってた。







 笑ってた。




   ▲   ▲   ▲   ▲   ▲




「お~い。なぁ?やっぱり死んでるか置物かだろ。それにだ、俺はコレを生きてると定義しねぇ。…人間らしいが人間には見えねぇな」


「誰かに似てないか?」


「誰かぁ…?あぁ~…言われてみりゃ…?あぁっ!アダムと瓜二つじゃねぇかコイツ!まさかあいつの複製体か…」


「それはないよアベル。アダムが来たら…いいや、居たらすぐに俺には判るさ。この世界が俺そのもの………なのだから」


「あくまでも世界そのもの。世界王って訳じゃあねぇもんな。…なんだっけか、世界王をぶった斬ったら結果的にコウなっちまったんだろ?……全く、難儀な存在だ、セトは……俺でもお前がどんな種族なのか判らねぇぜ」


「俺はまだ、俺を天使族だと認識しているよ。大まかに見て天使族。細かく分けると天使から大きく外れていくだろうけど…」


「それを言うと俺も似たようなもんだ。悪魔族だが分類的には人間でもある」



 …誰だ…誰かの会話が聴こえる…?身体が動かない…筋力が無くなったのか?いや、表面が石化に近い何かになっている…?



「お互い、大切な家族を失ったな」


「……だな。まぁっ、俺は身体が残った分だけセトよりはマシだな」



 あ…待って…待ってくれ…俺は生きてるよ…もう少し観察して……くれないか?頼むから…せめて誰かの存在を感じたい。




 行かないで。置いてかないで……くれ…!




 けれど、その背は遠のいて。




 また、静寂と孤独が挨拶しに来た。





 とりあえずで書きたくなった設定だったのですが、まぁ…苦節ひと月で終えられてありがたい限りですね。


 本作は、NPCという存在を病として表現したものとなっておりましたが、如何でしたでしょうか?


 面白さを万が一でも感じてしまったのなら末期です。今すぐに高い評価をしてください。慰め程度には落ち着きますよ。


 これからもチマチマと活動を続けて参りますので応援する方は応援してください。


 では、また。

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