表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/38

第29話 学校

:29:


あれ、私。寝ちゃってた?

「おはよう、百合」

起きて最初にすみれの顔が見える

かわいい

「おはよー、何時?」

「もう、帰りよ」

私は周りを見渡すと、バスに乗っていて空はみかんみたいにオレンジ色だった

私、いつから

「夢遊病?」

「なんで、自分で歩いてきたと思ってるのよ」

「だって、ご飯行ってから。どこいったっけ?」

「私が、そのあと運んだのよ」

「ありがとう、すみれ」

運んでもらっちゃったんだ。迷惑かけたかな

「あなた、少し痩せたんじゃないの?」

「...そうかな」

「前抱えたときより軽くなってるわよ」

「んー、すみれが言うならそうなのかな?」

てか、私の横ってすみれじゃないはず、なんだけれど

「すみれ、バス。座席変えたの?」

「隣座りたかったのよ。ダメかしら」

「いいけど、先生は許してくれたの?」

「先生なら、そこに」

言いながら、すみれは前の座席を指す

前?でも、先生は先生用のバスに乗ってるはーー

考えてて気づいた

「葵と、柚葉は?」

乗ってるのは生徒用じゃない、先生用のバス

「後ろで寝てるわよ」

すみれが言う、後ろの座席では二人が手を結んで互いに寄り添って寝ていた

「バスでのこともあるから、私がお願いしたわ」

全部、全部すみれがやってくれちゃってる

静寂

その静寂がひどく辛い

すみれが全部抱えてしまってるみたいで

このまま消えてしまうんじゃないかと

そう考えてた時

「百合、大切な話があるの」

「どうしたの?」

薄々、その話の内容は気づいている

「私たちって、進路はもう決まってるでしょ?」

「うん」

「単位も、一応必要分は取ってあるでしょ?」

「うん」

「だからね」


「百合だけ、早めに学校来るのやめない?」

そうすれば、全部解決するのも分かってた

柚葉とすみれが学校で気をはらなくても良い

葵が私に気を使わなくて良い

わかってた、

わかってたけど

「学校、まだ行きたい」

私が楽しかった、あの時間を

まだ、捨てたくない

「はぁ、まあわかってたわ」

「なんで、分かってるのに聞くの」

「一応よ、それに百合が学校行かなくなったら私も行く気ないし」

「もー、だめだよ。すみれはしっかり将来があるんだから」

そう言うとすみれはバスの進行方向を見る

なにかダメなこと言ったかな?

「百合も将来は、あるでしょ」

「まぁ、でも就職は結局無理だし。私、何のために」


「この数年頑張ってきたんだろうね」


勉強も、人間関係も全部なくなっちゃう

言葉が来るより先に頭の上に重みが来て、撫でられる

すみれは、なにも言ってくれない

なんて言っていいか普通わかんないもんね

「別に、私と付き合えたじゃない。それだけでも収穫でしょ」

「でも、それも。忘れちゃうんだよ」

声が震える

将来なんて、正直どうでもいい

すみれと柚葉と葵を、三人を忘れてしまうのが一番

胸が痛い

「大丈夫よ、私がいれば」

何を根拠に言ってるのかもわからない

けれど

すみれが言うと

本当に大丈夫だと思ってしまう

「うん、そうだね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ