EP1-19.
メーカーのメンバー達は無事に地上に出る事が出来たが、新たなテロリスト達に行く手を阻まれていた。
「先ほどの相手とはレベルが上がっています!」
現れたテロリストの数は2機のみだが、搭乗しているBDは現在流通しているラインナップでは最新型にあたる機種なので、先ほど戦ったBDより動きが良かった。
「なるほど、最新型まで出てきたのか。あやつらは、どうやって入手をするのかな。」
「世界のいたるところに、金さえあれば何でも売り飛ばす売人がいるからな。恐ろしい世の中だ。」
メーカー側のBDは左右に動きながら建物を盾にしたりして、相手の攻撃を回避している。しかし、相手も素早く動いてくるので、逃げる事が出来ずにいた。
「飛行ユニットも用意していれば、面倒な事態を防げたかもしれないが…。」
「設計を見直した結果、製作途中だから仕方がない。」
最新の技術を用いても、GBのように空を飛ぶことが難しい事を物語っているセリフだ。
「ちょっと皆さん、世間話をしている状況じゃありませんよ!」
テロリスト達は炸裂弾で翻弄させながらロケットランチャーで一撃を与えようという作戦で、メーカー側に逃げ道を作らせないようにしている。
湊はシールドとわずかに相手よりも速い動きで攻撃をなんとか回避している。
「すまぬすまぬ、先ほどの武器が使えたらすぐに終わるはずだったが。」
「一撃放って故障してしまったのには驚いた。まだまだ研究し甲斐がありますな。」
「幸いシールドは展開しているようだし、そのまま味方基地まで凌ぐ事が出来るんじゃないか?」
「相手は最新型ですので、基地まで行ったら本気を出してきますよ。それにここを移動した先にテロリスト達が更に増えたとしたらもっと大変です。エネルギーだって無限じゃありませんよ。」
わずかに速いスピードで回避行動に徹しているメーカー側BDだが、相手に動きを読まれており、飛んでくるロケットランチャーをシールドで弾きながら踊らされているように見える。
倒れてしまったらシールドユニットを破壊されると危機を感じ、バランスをなんとか保つ事に必死に動いていた。
「それもそうだな。よし、今度は茶色のレバーをONさせよう。」
「茶色のレバーですか?そんなレバーなんて何処にも見当たりませんよ。」
「マニュアルにも記載していない代物を用意しましたからね。えっと、左側面に白いボタンがあるでしょう?」
モニターをチラ見しながら湊は白いボタンを押す。
「は、はい。わっ、フタが開きました。えっとパスワードロックされてますよ。」
「大丈夫です。今は端末の”0”を押すと解除出来ます。」
「”0”っと、さらにカバーが開きました。茶色のレバー発見しました。」
メーカーのBDはAIによる自動制御機能も併せて操縦しているので、他の操作をしていてもAIが回避行動を補うので支障が出ない様になっている。
「それでは、マジック第二弾を見せつけてあげましょうか。」
「イッツショータイム、ですな。」
「やっぱり楽しんでいる…、行きます!」
湊は少し重たい茶色のレバーをオン側に切り替えた。しかし、すぐにはBDに変化は見られなかった。
「あの~、特に何も変化が無いのですが。モニターの表示も変化無いですよ。」
「大丈夫です、チャージタイムを設けていますので。もう少し踊っていてください。」
「チャージタイムですか、仕方ないですね。」
そうこう話している間に、テロリスト達は2体では厳しいと考えたのか増援を用意していた。少し遠くから新たな機影が出現し、レーダーに反応があった。
「あっ、新たに3体が来ました!でも遠距離レーダーに反応が無かったですよ!」
「あれも最新型だからな、ジャミング機能を使用していたんだろう。」
「さすがに情報戦争になるとイタチごっこですからね。」
「2体でも厳しいのに、5体相手はやられちゃいますよ!」
「きっと大丈夫、もう少しですよ。」
新たに現れた3体は槍の様な近接武器を持っており、メーカーのBDを直接攻撃する事で戦闘不能にしようと考えていた。
先の2体が同じように翻弄しつつ、3体が近づこうとしていた時、メーカーのBDが突然赤く光り出した。
突然の状況にテロリスト達は怯み出し、少しの間攻撃の手が緩んだ。
「えっ!?プロミネンスモードって何ですか?」
湊はモニターに表示された文章をそのまま読み出した。
「その下に発射ボタンが表示してありますよね?それを押してください。」
「あ、はい!」
湊は言われた通り「プロミネンスモード」と表示された下にある「発射」の表示ボタンを押した。
その瞬間、BDから赤い光が放射状に拡散し、テロリスト達に次々と命中した。
テロリスト達も何かが起こると身構えてはいたが、余りにも多く飛んでくる赤い光に対応が出来ず、一瞬にして機体は燃えだして、全機が行動不能に陥った。
「え?一体何が起こったのでしょうか…?」
湊は目の前で倒れたテロリスト達を見て、少し戸惑っていた。レーダーに新たな反応は無く、周囲のBDの熱源反応も消えている。
「簡単に言えば、圧縮させたエネルギーを一気に放出させた感じです。ある部分にそのユニットを隠しています。」
「これは一部の者しか知られていない極秘情報じゃ。この技術は盗まれてはいけない。」
「でも、これで公になってしまいますね。」
「まあ遅かれ早かれですな。」
「でも助かりました。これで安全区域まで逃げられます。」
湊はBDの状態を確認する。モニターに表示されたヘルスメーターには新たな異常は無く、行動可能状態になっていた。
「さて、次はどんなマジックを披露しますかな。」
「そうですね、あれなんてどうですか?」
「まだあるのですか?もう戦闘を楽しまないでくださいよ!」
メーカーのBDは遠距離レーダーを気にしながら、東海岸へと向かった。
先ほどの戦闘を草が生い茂った所から監視している人影があった。洋人をサポートした仮面の男だった。
「あのBDが持っている技術は面白い、やはり人の創造力は素晴らしい。あのユニットできっとヨージンも素晴らしくなるはず。」
仮面の男は茂みに隠してあったバイクに乗り、道路を駆けていった。




