表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/138

10.泥濘の眠り <レザト>

宿の扉を開けた瞬間、重たい疲労が全身に押し寄せた。まるで暗い霧が足元に絡みつき、私の歩みを鈍らせているかのようだ。体中が鈍い痛みを伴っている。それでも、無事に戻ってきたという安堵感が胸に広がる。


「レザト様……お帰りなさい」


その声に、心がほっと緩んだ。ルチカが私を待っていてくれた。

夜の闇に包まれた宿の薄明かりの中、彼女の優しい瞳が私を迎えている。

長い哨戒の間、ずっと緊張し続けていた心が、その瞳を見た瞬間にようやく解放された。


「……只今戻りました。お待たせしてしまいましたね」


私の声は、思ったよりもかすれていた。だが、ルチカは優しく微笑んで首を横に振る。


「いえ、私が勝手に起きていただけなので…」


彼女のその言葉に、何かが胸の奥で溶けるような感覚が広がった。彼女の優しさに触れるたび、私の中の疲労が和らいでいく。その言葉に、心が締め付けられた。

彼女がどれほど私を気にかけてくれているか痛いほど伝わる。


だからこそ、こんなにも疲弊した姿を見せる自分が、彼女に申し訳なく思えてならない。

私は強くあらねばならないのに、こうして甘えてしまう自分に苛立ちすら覚える。


私はルチカのもとへふらふらと足を運び、何も言わずにそっと彼女を抱きしめた。

彼女の小さな体は温かく、まるで全ての疲労を吸い取ってくれるかのようだった。


「すまない……」


その謝罪には、言葉にできないほどの感謝と負い目が込められていた。

彼女をしっかりと抱きしめたまま、私はそのままベッドへと倒れこんだ。

私が押し倒す形になり、ルチカは驚いたように一瞬体を硬直させたが、すぐに私の背中に優しく手を回してくれた。


「レザ、ト様……」


彼女の声はかすかに震えていた。だが、その震えが私には心地よかった。

彼女の温もりを感じながら、私の意識は次第に朦朧としていく。


「貴女がいてくれて、よかった……」


それだけを呟いて、私は眠りに落ちた。意識が完全に途絶える前、彼女の体から微かに感じる花の香りが、深い安堵感を与えてくれる。

彼女の手が触れた瞬間、何か異様な温かさを感じたが、それが何かを考える余裕は、今の私にはなかった。


短い文章での更新が続くと思います。来年はもっとスピード上げたい…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ