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9.二人の幸せ 

「レザト、おじさま……?」


その瞬間、今と過去が繋がり、記憶のピースがぴったりと一致する。

一気に思い出が呼び起こされる。思い出した……思い出した!

レザト様の瞳が広がる。


「ルチカ……あなた記憶が戻ったのですか?」


私の口調の変化から、彼は私が記憶を取り戻したことを悟ったようだった。


「はい。レザト様が私の顔に傷をつけた日のことも」


レザト様の顔が歪む、その瞳には深い痛みが宿るように。

あの日、両親と私を守ろうとしてレザト様がすごい怪我をしてしまって……。それでも私を助けようとする思いから、力を暴走させてしてしまった。

あの時、リュミセラがレザト様に薬で引き起こした姿に既視感があったのは、すでに一度暴走した彼を見ていたからだった。

私は、そんな彼を止めようとして彼の前に躍り出て―――そこで記憶は途切れている。

その時の“結果”が今にこうして導かれている。


「そう、ですか。どうか許しては…もらえないでしょうか」

「……いいえ」

「…そう、ですよね。私がしたことは到底許されることでは……」

「だって、私はおじさまを怒っても恨んでもいないもの。レザトおじさま。私に許しを請うより、どうか自分で自分を許してあげてください」

「私が私を許す……?」


彼の目には驚きと、何かを悟ったような表情が浮かんでいた。


「おじさまは自分に厳しすぎるんです。私のことで大好きなおじさまが苦しむ姿なんて見たくありません! それとも私の望みを叶えることが贖罪になると言うのなら、妻としてこのままずっとあなたのおそばにおいてくださいッ……! 私の望みは…それだけです」


その瞬間、レザト様の顔が緩む。まるで長い間抱えていた重荷が少しでも軽くなったかのように。私は思いのままに続ける。


「私の幸せはレザト様……あなたがくれたんです。たとえあなたの本心が違ったとしても、あなたの優しい言葉、あなたの眼差しの温かさに私は救われたんです。私の名前を呼んでくれた。私を……私として見てくれた。それを幸福と呼ばず何と呼ぶのですか……?」


最後の言葉はこれ以上ないくらい、まっすぐに。


「私はレザト様が好き。愛しています……!」

「ルチカ……私もだ。私も、あなたを愛している」


その言葉に続いて、レザト様の唇が私の唇に触れる。

その瞬間、時間が止まったような感覚に包まれる。心の中で何千もの花が咲き誇るような、そんな感覚。


この瞬間、この場所で、私たちは一つになった。

そして、私は確信する。私の幸せは、レザト様と共にある。

これからも、ずっと。


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