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8.花かんむり <レザト>

屋敷の扉を開けて外に出ると、私は彼女がよく訪れるであろう場所へと足を運ぶ決意をした。森の入り口に差し掛かると、遠くの方で微かに輝くアストレラの花の明かりが目に入った。その星のような輝きに心が引かれ、一つの思い出が頭をよぎった。


―――あの日、花畑はまさに満開で、空にも負けないほどの美しさだった。


花畑、ルチカが笑顔で私の頭に花かんむりを乗せる。


「はい、どーぞ! 花かんむりだよ。おじさまにとっても似合ってるね」

「ふふ、そうですか。...懐かしいですね。子供の頃を思い出します」

「ねえ、おじさまはいつまでここにいるの? ずっといる?」


彼女が小首をかしげるその仕草は、まるで小動物のように愛らしく、私は思わず微笑んでしまった。


「戦争が終わるまでは……。私がご両親と、あなたをお守りします」

「戦争が終わるまで……そっか。お父様とお母様、わたしを守ってくれるんだ。…それなら、おじさまは誰に守ってもらうの?」


子供の発想は面白い。騎士である私がそのような質問を尋ねられるとはまったく思っておらず、吹き出してしまった。


「ははは、私は誰にも守ってもらう必要はありませんよ。そのために、強くなりましたからね」

「じゃあ、わたしがおじさまを守ってあげる! おじさまが怪我した時、包帯を巻いてあげたり、寝る時にお歌を歌ってあげるね」


彼女の言葉には純粋な優しさが溢れていて、私は心から微笑ましく感じた。


「ルチカ、あなたは優しい子ですね。……では、その時が来たらお願いしましょうか」

「うん、任せて! 約束する!」



その花畑で交わした約束を胸に、私は森を進んでいった。

そして、花畑に辿り着いた瞬間、確かに彼女の姿が目に入った。

ルチカが花々に囲まれ、涙を流している。


「ルチカ……」


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