7.星の欠片のような
屋敷の扉を開けると、空はすでに夕暮れの色に染まり始めていた。空の端がオレンジと紫でぼんやりと色づき、夜の訪れを静かに告げている。
庭を横切り、森の中へと足を進める。木々の間を縫うように歩き、やがて私が心の拠り所としている場所に辿り着いた。それは、レザト様と一緒に育てた花畑だった。
アストレラの花々は満開で、淡い光を発して周囲を幻想的に照らしていた。夕方になると微かに灯る花の明かりが、遠くから見ると星々のようにも見えるとレザト様が言っていたことを思い出す。目の前に広がる光景は、まさにその通りだった。
……私の中にも星がある。
空から離れ、地上に燃えながら激突してもなお、燃え尽きず残る星の欠片のような。
踏みにじられ、けなされ、拒絶されても。
あなたへの想いは、私の心の中で灯り続けている。
「レザト様……」
この場所に来ると、なぜか涙が止まらない。切ない思いが心から溢れ出てくる。
幼い頃にも、何かで悲しくなってこの花畑に来て泣いたことがあったような、どこか懐かしい感覚に包まれる。その美しい光景とは裏腹に、悲しみに溢れたこの花畑で過ごした記憶が、今の感覚と過去の感覚が重なって鮮明に思い出される。
そう、あの時はお母様に怒られ、悲しくなってこの花畑に飛び出してきた。
悔しさと悲しさ、寂しさが混ざり合った涙が頬を伝っていた。
今もまた、同じ涙が頬を濡らしている。
かさり。瞬間、誰かの足音が聞こえて顔をあげた。
淡い光に照らされて浮かび上がる、大きな、大きな身体。
透き通る琥珀色の瞳。
銀色の獣の耳。
短め投稿続きます。




