表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/50

45話 本当に現実?

 夢を見ていた。


 しかも、あの謎の転移者の男だった。


「こんにちは、マスミ!」

「あなた誰?」


 結局、この男は犯人ではなかったようだが、謎だ。


「僕は、夢について調べているんだ」

「夢?」

「そうさ。夢を見ていたら、肉体なんて要らないだろ」


 そう言って、いかに肉体が無駄であるかを説明し、眠ったままフィクションの映画でも見てればいいなどといってくる。


「僕は人類が肉体から解放され、映画でも見てればいい。そういうムーンショット計画を調べてるんだよ」

「ムーンショット計画?」


 どこかで聞いた事がある単語だは思うだせない。


「果たして、マスミがいるこの異世界は現実かな?」

「え?」

「誰かが見させている夢かもね!」


 謎の男は、ケラケラとわらっていた。


「こんな異世界あるわけないじゃーん!」


 そう何度も言われると、こに世界が本当に現実なのか分からなくなってきた。こんな荒唐無稽な世界は本当に本物?夢の中とはいえ、わからなくなってきた!


「この世界なんて全部仮想現実さ!」


 男は、笑ってまた走って逃げ始めた。


「待って!」


 再び、謎の男は笑いながら逃げていき、私は不思議のアリスがうさぎを追いかけるように追いかける。


 追いかけていくうちにだんだん不安にはなってきた。


 この世界は本当に現実?


 そういえば元いた世界で若干スピリチュアルにかぶれた友人が「この世界は仮想現実で、パラレルワールドがいくつもある」と言っていたのを思い出した。


 これは夢?


 コージー村がある世界は本当に現実?


 急に足元がぐらつき、大きな穴の中に落ちていく感覚を覚えた。


 落ちる!と思った瞬間、目が覚めた。


 頬をつねると痛い。どうやら現実のようだ。あの謎の男はいない。あの男の存在自体が幻のようだ。犯人でもなかったし、もうおの男のついては忘れる事にしよう。


 あたりをみまわすと、ジェイクの医院のベッドの上のようだった。


 隣でジミーも眠っている。


 どうやらあの後、ここの運ばれたようである。窓の外を見ると、よく朝日が見えた。どうやら一晩ここで眠りこけていたようである。


 ジミーも目を覚ます。


「マスミ、大変だったな」

「ええ。でも犯人は捕まって良かったわ」


 ジミーは複雑な表情だ。身内が殺人犯だなんて、割り切れないだろう。


「ヘクターは、根はいい奴なんだよ。本当だよ」


 そう言われてしまうと、切なさだけが込み上げた。犯人には同情は出来ないが、ジミーの事を思うと胸が痛む。それにあの状況を思い出すと、本当に神様がいるような気もしてくる。ソニアやモニカももちろん可哀想ではあるが、天にいる神様もへクターの行為に胸を痛めていたような気もしてしまった。


 ちょうどそこへ白衣姿のジェイクがやってきた。お盆も持っている。お盆の上には芋粥の鍋があった。


「みんな、目は覚めたかい?」


 あまり美味しそうではない芋粥の匂いを嗅ぎながら、やっぱりここは現実だと思う。


「芋粥持ってきたよ。みんなで食べよう」


 ジェイクとジミーと三人で芋粥を食べる。あまり美味しくはないが、今は美味しいご馳走を食べたい気分でもないのでピッタリである。それに何度も芋がを食べたので、もう慣れてしまった。最初、芋粥を食べた時は不味くて仕方なかったが、もう慣れてしまった。


「それにしても事件が解決してよかったよ」


 ジェイクに表情はさっぱりとしていた。


「もうソニアの事はいいの?」

「うん、マスミ。あんまりずっと落ち込んでもいられないよ」


 今日はソニアの葬式で、気持ちの整理はつき始めていると言う。アナにも励まされ、過去に医院を休むほど落ち込んでしまった事も反省していると言う。


「まあ、もう恋愛の事は考えずに仕事に邁進するよ」


 ジェイクはそれが良いだろう。一時は私に興味があるような事を言っていたが、気の迷いだったのだろう。


「そうだよ、ジェイク先生。先生がいなくなったら、俺のような年寄りは不安だ」

「はは、そうだね」


 ここでジェイクは久々に笑顔を見せ、私はホッとした。


「それに僕はみんなが健康になってくれるのが一番幸せだなって思ったんだよ」


 しばらくジェイクは、健康情報をペラペラと話していた。正直眠い話だったが、ジェイクがだんだんいつも通りに戻ったようで安心した。


「ほぉ、やっぱり亜鉛や鉄が健康に良いのか。今度詳しく教えてくれよ」


 ジミーが、ジェイクの健康情報に食いつき、しばらく盛り上がっていた。


 二人に熱心な声を聞きながら、ようやく事件は全て解決した事を実感した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ