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43話 全ての謎が解けました

 ジミーの家まで走っているとき、プラムが作った護身用のスプレーを持ってくればよかったと後悔したが、もう遅い。

 冬だというのに走ったため、汗をかく。息を整えて、ジミーの家の玄関の戸を叩く。


 この不便な村に住んでいるおかげで、ちょっと走るぐらいは苦ではないが、今は犯人がわかった事で心臓はバクバクしていた。


「ジミー、いる?」


 返事はない。

 嫌な予感が身体中を襲う。


 私は再びノックをしたが、鍵がかかっていない事を確かめると、勝手に上がる事にした。無断で家に入るのは、気が引けるが、今は緊急事態である。


「ジミー、いる?」


 中に入ったが、返事はない。恐ろしいほど物音一つしない。家の外から鳥に呑気な鳴き声は響いてくるが、ちっとも気は抜けない。


 とりあえず、リビングに方に行くがジミーはいない。ただ、ヘクターが描いた絵は取り外されていた。この事もヘクターが犯人である事を示しているようで怖くなるが、ここで逃げるわけにはいかない。


 私が、他にキッチンやトイレ、風呂を見る。一階には、誰もいないようだ。手に汗を握りながら二階に続く階段を登る。今が冬だという事を忘れるぐらい身体が熱くなる。


「ジミーいる?」


 二階のジミーの自室へ入る。


「ジミー!」


 私は大きな声をあげてしまった。ジミーは、泡を吹いて倒れていた。身体をさすったが、目が覚めない。何かショックな事があって気を失っているみょうだ。身体を触ったが、脈はあってホッとする。


 しかし安心してばかりではいられない。ジミーのそばには、紙袋が落ちていた。その中には、女ものの下着やブラウス、メイク道具も入っていた。私があの時見たものと同じだ。ジミーの家にこれがあるという事は、やっぱりヘクターが犯人だ。それ以外ありえない。


「ヘクター、どこにいるのよ!」


 私は若干イライラしながら叫ぶ。しかし、返事は返って来ない。


 少し迷ったが、ジミーを残してこの部屋から出ようとした時だった。ヘクターが入ってきた。


 しかも女装バージョンのヘクターだった。ドラグアクイーンのように化粧をばっちりとし、フリフリなドレスに身を包んでいた。


 一瞬、別人だ。遠目にはとてもあのヘクターには見えないが、よく見るとそっくりだ。顔はともかく、喉仏やゴツゴツとした骨っぽい手は誤魔化しようが無い。


 女装バージョンのヘクターは、無表情に私を見下ろしていた。


「よくわかったじゃない」


 女装バージョンだと話し方もしおらしい。英語が、字面では女性と男性の区別はないので、そこまでオカマっぽい気持ち悪さはないが、声は男のままなので、思わず気持ち悪いと思ってしまった。


「今、気持ち悪いと思っただろ!」


 ヘクターがエスパーか?


 私が思った事はバレていた。差別するわけではないが、殺人犯だと思うと、余計に気持ち悪かった。繊細な問題だとは思うが、同情心は芽生えない。


 私はジミーを庇うように立つ。これ以上傷つける人を産んではいけない。


「何やってるの? 無駄な事はやめなさいよ!」


 ヘクターは私を再び殴りつけた。

 途切れ行く意識の中で、どうかジミーだけは助かって欲しいと願っていた。


「死ね!」


 ヘクターは悪魔のように吠えていた。

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