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39話 男の嫉妬

 デレクのカフェを後にし、クラリッサの屋敷に帰る事にした。


 ジェイクは落ち着いてきたようだし、やっぱりデレクのカフェの一旦寄ってよかったと思わせる。


 クラリッサの屋敷に帰る途中、リリーやアナにも会ったはソニアの死の噂に興奮していた。


「あなた達は、何か知らない?」


 事件について何か知らないか質問する。


「さあ。でもジェイクが心配よ」


 ジェイクが好きなアナやリリーは特に心配していた。


「明日にでもまた様子を見に行くといいんじゃない?」


 私の提案にアナもリリーも頷いていた。さすがに恋敵が死んで喜ぶものは居ないようでホッとする。


「じゃあね、マスミも事件調査頑張ってね」

「うん、リリー、アナまたね」

「ええ、さよなら」


 この村の女性神からはあまり情報を聞き出せなかったが、明日ジェイクに会いに行くようなので、その点は安心だ。


 明日は私はチャドに会う事にしよう。まだ事件についてはわからない事だらけだが、もうアリバイのあるブラッドリーは除外して良いだろう。あの男も怪しいが、アリバイトリックなどをしている可能性低いだろう。


 あと怪しいには、謎の男、女性癖のあるヘクター、ソニアと揉めていたらしいチャド。まだ何も断定できないが、だんだん犯人も絞られてきた。あとは、クラリッサやプラムの意見も聞いたり、何かアドバイスももらおう。特に自分より人生経験があり、一応ミステリ小説を書いているクラリッサは、動機に関しては何かアドバイスくれるかも知れない。


 そんな事を考えながら、クラリッサの屋敷につく。もう夕方なので食卓には夕飯ができていた。


 今日の夕飯は、何と芋粥だった。


 正直ソニアの事を思い出してしまうメニューではあるが、プラムによると雪で食材の入手がし辛くなったようで仕方がない。田舎パンや野菜もある。それにティラミスも食べていたので、そこまで空腹ではなかった。


 クラリッサ、プラム、そしてクラウスも揃って食事が始まった。芋粥は特に美味しい料理では無いが、温かい料理で消化も良い。今の気分にはあっている料理のように感じた。


「あんな事があったなんてね」


 クラリッサは渋い顔でつぶやいた。どうやら、ソニアの件を知っているようだった。


「ソニアは別にいい子じゃないけど、ショックね」


 プラムもボソボソとおかゆを啜りながら呟いた。


「ソニアって誰?」


 一方、ソニアをよく知らないクラウスはけろりとしていた。田舎パンにチーズや野菜を挟み、パクパクと食べている。


「この村ってそんなに事件が起きるの? 意外と治安悪くない?」


 冷静に村の治安にツッコミまで入れている。確かにその件については、村の住人である私達は反論できない。


「マスミが死体を見つけたって話じゃない? 大丈夫だったの?」

「大丈夫よ、プラム。牧師さんと一緒にいたし。しかもパニックになって縋り付いてしまったわ…」


 その事うぃ思う出すと、だいぶ恥ずかしい。あの事はの事は、牧師さんも一刻も早く忘れて欲しいものだが、クラリッサはからかい始めた。


「マスミ、これはチャンスじゃない?牧師さんもようやくあなたに意識し始めるかもよ?」

「そんな事ないですって」


 ソニアが死んでしまったという状況にも抱わらず、私の顔は真っ赤になる。


「ふん、僕だって一緒にいたらマスミを守ってたよ!」


 クラウスは明らかにこの話題にイライラし始めた。まるで子供のように嫉妬心を隠さ無い。


 このクラウスにクラリッサもプラムも大笑いしていた。


「あなた、男の子なのに嫉妬するのね!」


 クラリッサはそう笑って、隣に座るクラウスの肩をばんばん叩いていた。やや下品な行為ではあるが、この場の雰囲気が砕けていき、ソニアが亡くなった話題の重さも和らぐ。おそらくクラリッサはわざとそうしているのだち察する。


「クラリッサ、男だって嫉妬するよ!特に恋のライバルにイライラしない男なんているか?」


 クラウスの言葉が引っかかった。


「そうなの、嫉妬するもの?」

「うん」


 クラウスは深く頷く。


「あと、自分より社会的に成功しているヤツも嫌いだな」

「殺したくなったりはする?」


 何か事件と関係があるような気がしてさらに質問する。


「うん!」


 クラウスは無邪気に頷く。


「そうね。意外と男の方がネチネチしているものね」

「そうね、クラリッサ。私もスパイやっていた時、よく同僚にやっかまれた。女も確かに嫉妬深いけどね。男の方が容赦しないで、徹底的に潰す感じがするね。男にいじめられて自殺した同僚もいたもの」


 プラムの言う事ももっともだった。確かに元いた世界の職場の女子校は、いじめなどが多そうなイメージもあったが、意外とそう言った問題は少なかった。暴力的ないじめは、やっぱり男子の方が多い。


 嫉妬が殺しの動機になろうるという事だ。私は女だから、見落としていた。女の方が嫉妬しやすいが、殺人までいくかというと、そんな感じはしない。逆に嫉妬で人殺しは男の方が多い気がしきた。


 この事は事件と関係があるかもしれない。私は、今まで事件で知った情報をここにいるみんなに全て共有した。


「犯人は、ヘクターよ」


 クラリッサは断言していた。ちょっと笑いながら、自分の考えを披露する。


「たぶん、ブラッドリーのことが恋愛感情で好きだったのよ。女装癖もヘクター。謎の女もヘクターね」


「クラリッサ、僕もヘクターだと思うよ。ブラッドリーの周りにいるモニカとソニアに嫉妬したんだよ。しかもソニアは大きな賞も貰ったんだろ?相当憎まれていたはず」


 二人の話を聞いていたら、ヘクターが犯人にしか思えなくなってきた。そういえばヘクターは、同性愛に否定的なキリスト教が嫌いのようで牧師さんにつっかかっていた。ヘクターの親戚のジミーも、何か知っているようだった。ますますの怪しい。今のところヘクターが第一容疑者である。


「動機は確かにヘクターにありますよ。でも証拠はないじゃない?」


 プラムのツッコミはもっともであった。動機がある事ぐらいの状況証拠しかなく、硬い物証もない。


「それに、チャドはどうなの?ジェイクだって動機だけならあるわ」


 プラムはさらに言う。


「そうね。やっぱりヘクターを犯人とは、はっきりとは言えないわね…」


 そうは言ったものの、やっぱりヘクターが怪しい。


「まあ、明日チャドにも事情を聞いてみますよ」


 笑はわざと明るく宣言した。


「そうね。まだ、ヘクターが犯人だという証拠はないね」


 クラリッサもそう言い、再び食事に戻る。


 ヘクターが犯人?


 まだわからないが、やっぱり限りな怪しい。彼を第一容疑者と見立てて事件を調べる事にしよう。


 そんな事を考えながらあまり美味しくはない芋粥を完食した。確かにそんなに美味しい料理ではないが、じんわりと心や身体に染み込んでいくのを感じた。

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