まだ平凡の日1
蒼が太陽に焼かれ、夕焼けと呼ばれる一日の終わりを彷彿とさせる。
今日から学校が始まり、私が務める担当クラスの生徒達に顔合わせと体魔測定をした。
普通だったら入学試験で総体評価がというものがあるのだが、ここは特別クラスの精霊科。国の援助によって実施、入学料の支払いもその後の授業料もなしで入学することができる。ただ、その後の三年は国の支持する仕事に就いて給料から授業料を差し引くのだけど、もろもろを込みにしてもお釣りが出る。
入試など受けずに学校に入学する一つの手段としてはあるが完全な運のために基本は勉強して低い合格率の壁を越える必要がある。
でも高位の精霊と『契約の泉』で契約した者は入学をする。強制的に、一般的な理由として、魔力暴走を起こさせない為とあるが、これは嘘である。……正確には嘘ではないが、国民の間で流れた噂により、大きく盛られた話だから半分嘘といっていい。
高位の精霊と契約した者は魔力を暴走させやすいから、町などを壊滅状態にさせる危険があると国民の間に根も葉もない噂が突如、広がっていた。
いつの間にか噂は事実のように広がて、そして魔力暴走による事故が起きた。魔力の暴走による爆発で町が壊滅状態になり、暴走した者は高位の精霊と契約した者。それにより噂は事実となって高位の精霊と契約した精霊使いに被害が及ぶようになった。
それを無くすために、学校預かりで入学をさせる理由が生まれた。それは今や、本当の理由を忘れている。
国の者としてもいい機会が出来たと、大事な人材確保が容易になるからである。
少し話がずれたが、入試がない理由は『契約の泉』が特殊であるから。地域ごとに行い、同じ時にやることが出来ないために、冬の終わり頃にやる試験を受けることが出来ない。こればかりは仕方がない。
今回受け持った精霊科のクラスは一癖も二癖もある。
初めて生徒の資料を見たとき思考が追い付かなかった。そのあと何回も見直したが内容が変わることは当たりまえのようにない。
それに一番遅く入学の手続きがされた一人は学校が始まる一週間前に唐突に資料が渡され。どうにも『契約の泉』を行う者達がある村に移動中に、魔物群れが行く先を阻んだらしく遅れが出たらしい。今月になって魔物群れを討伐されたが明らかに数が足りていないとか。そのために準備を始めて急いでやったらしい。
ただこの資料に書かれた者は情報も少なく、その中で重要な所をインクが切れていたのか薄い字で書かれている一文。『この少年は『契約の泉』と関係なく精霊と契約を結んだ』その事の経緯は大雑把に書かれていた。
パラっと見て、書かれてることに自然とため息が出てしまう。
私には関係ないと割りきり、ただ先生として生徒達に楽しくハートフルな青春を送らせてあげることだけ。だからこの三年間、精霊科の頼れる先生として頑張らなくてはいけない。
そんなわけで今私は、体魔測定の結果を元に体魔の評価を作成中。これを元に今後の体魔訓練の授業を展開していくことになる。その作業はお昼を食べてからずっとやっているために終わりまじかである。
紙に目を向けペンを走らせていくなか、カチャとドアを開く音が鳴る。その方向を見なくとも誰かは分かるために振り向くことはなくしゃべりかける。
「ちゃんと買えた?」
「お前とは違ってな。こっちはちゃんと買い物ぐらい簡単にできる」
そう言葉に、ピクと眉が反応する。
一旦、作業を止めて、よく分からないことを言う者に振り返り、平然と言い返す。
「私だって買い物ぐらいでます」
その言葉にいわれた者は、ピクと額に血管を浮かばせ、目を細め。指先を私ではなく別の方を指して、言い返す。
「じゃあ、なんでこの前、買ってこいと言った食材を買わずに、大量のミカンを買ってきたんだ」
そう凄んだ声をだす女、いや、精霊アムズは目の前の私、契約者のフルカザキに問いただす。
指先が指す方向には冷蔵庫に入りきらない大量のみかんが入った箱が二、三箱積まれている。
その話を出されると耳が痛い私は耳を塞いで聞こえないと振りをする。それを見たアムズは子供かと思ったのか、呆れた顔をして、別のところに視線がいき、私が先までペンを走らせいた紙に目がいく。
「ああ、それは、今日の体魔測定の魔法方面の結果をまとめたやつよ、まだ完成してないけどみる」
そう聞くと「ああ」と答えて机から紙を取り渡す。受け取ったアムズ。
それを見ている間、私は冷蔵庫から冷たくひんやりとしたミカンを取り出し、剥いて、甘酸っぱっくて美味しい。
何もいわず黙々と資料を見ている間に、私は休憩がてら待って、五個目のミカンに手に取ろうとして伸ばすが、見終わったのかこちらに声を掛けてくる。
「それ以上食うと、太るぞ」
悲しい忠告をするアムズに目を向けて、伸ばした手を物寂し気に戻す。
「それで」と聞くと、「それでとは」と逆に聞いてくる。
「どうだったてきいてるの」
「どうともないが、少し変わった奴が多いな」
そう答えるアムズに同感を示す。
「そう、奇跡的にぐらいに珍しい者たちの集まったクラス。まあ、それは良いのだけど、午前の試合はどうだった?」
それに少し顔を悩ませ腕を組んで、彼女は数分と悩みやっと口を開く。
「戦い慣れした者が多いな、五、六人にはいた。その中でも特に印象的だったのは二人。タツガワ・ミセンにナガクラ・ヨシタカこの二人、獣を想定した武術に動き方だが人でも変わらず力を発揮するタツガワ。荒いが確実に仕留める動きに自分の魔法を生かした防御を扱い拳で闘うナガクラ。子供にしてはいき過ぎた動きではある二人とも、タツガワは先の資料で内容は分かったが、ナガクラに関しては幾度か人との実践があるのだろう」
その話を聞くと私が監督した試合とは少し違った印象を受ける。これに関しては資料に書きはしないが、覚えておこう。
長々と話したアムズは私に目を向けて「そっちは」と視線を向けてくる。
「私のほうもそんな感じかな。でもそっちよりは多いよ。六、七人、中の四人は私的に印象深いかな、でもナガクラくんはアムズと違った印象かな、短剣を使った戦いだよ」
そういうと「短剣?」と首を傾げている。それに私も傾げる。
「ナガクラはそっちでは短剣を使っていたのか、こっちは素手だったが短剣の方がメインか」
「……メインが短剣とも限らないかもよ? 武器を悩んで選んでい
たから、他にも使えるのかも知れない」
そういうと考えだし始めて、何か思い出したように顔をして口を開く。
「そう言えば、最初の試合でも武器を見ていて選んでいたか。武術も扱えるとは……といっても結局子供には出来過ぎたものだがな」
「えっ?」
驚く私に、アムズが不思議そうに見てくる。
「それぐらい普通じゃない。私もそれぐらいの時は、体術に剣術、弓術、槍術など出来たし普通じゃない?」
それを言うと、ため息を深々と吐いていうのだった。
「お前と一緒にするな。お前は殆ど見ただけで武術の理を会得しているお前と。
それも私と契約してから学校に入学する前の親の心配で武術を習わせようと見学をしていた。それも見ていただけのお前が見学終えて、師範代に生意気の言葉をいって。その話を聞いたそこの弟子を怒らせて、圧倒的体格差の男を屠ったお前がいうな」
その話は懐かしいなと思い出す。あの時は若かった。その若さが今はほしいけど。
黒歴史に匹敵するからいわないでほしので、話を返るためにしようとしていると、アムズは自分の態度にため息をついて、先の試合を話をする。
「こうして話していると、試合の話は結構面白そうだな。夕食を食べながらゆっくり話そう」
そういって買ってきた食材を冷蔵庫に入れてから、エプロンを付けて台所に立った。
それを見て夕食が何か気になりつつ資料の続けを書くことにする。作り終えるころには終わるだろ。
その後、楽しい夜を過ごした二人であった。




