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のんびり屋の精霊使い  作者: 夢見羊
入学式と回り出す大きな歯車
20/69

戦いは己の為に7

 目先の前を切先が通る。ギリギリで回避してから、右手に持つナイフの刃を相手に向けながら近づき喉を狙って振るう。それに相手は持っていた剣の柄から離して纏っていた魔力を消した。

 一瞬、相手が何処に居るか分からなくなった。目の前に居るはずなのに、居ないように感じる矛盾、違和感が背を這った。

 体が少し止まってしまい、腹に何かが触れる。咄嗟に、直ぐにくる衝撃と痛みを流すように後ろにスッテプを踏むが少し遅かった。

 相手の拳が思いっきり腹中部辺りに入って、抉るように痛みが突き抜けても残り続ける。

 回復魔法で癒しながら、数歩と下がりつつ手頃な石を三個拾う。

 相手もそんな時間を大人しく待つわけではない、切先から地面に落ちて刺さった剣、その柄を掴み取って、両手で力強く握り込んでいる。

 攻撃範囲に近くなると腕を上げて、入った瞬間で振り下ろす。

 冷静に視ながら、振り下ろす前に魔力を込めた石を下に勢いよく投げる。

 男はまた剣の柄から手を離して後ろに下がってしゃがみこむ。

 当たり。石が地面にぶつかって跳ね返り相手の腹に当たった。

 ただ対策されていたか、立ち直りは早く、剣を掴んで此方に飛んで来てはいる。

 ナイフで受ければ壊れるかも知れない、避ける。横に飛ぶ避けて微かに捉えていた相手の動きは何かを投げたような姿勢であった。

 何だと思い集中していると、何かを投げた。咄嗟に後ろに下がると、目の前で空気を切り裂く音が聞こえた。

 針かと思ったが、それにしては速度の遅く鋭さが足りていない。

 そのまま後ろに下がった自分に合わせて振るわれた剣をナイフで無理に防ぐ。

 パッキっと音と音が聞こえた。危険を感じて、男を蹴り抜いて、距離を取る。

 何の音かはナイフを見れば分かる。刃に罅が入った。二回も打てば、完膚なきに壊れるだろう。

 距離を取った自分に、的確に狙って石を投げてくる。左に最小限で避ける。

 後二回で、片付けないと負ける。

 近づこうとするが相手は此方に向かって走ってきていた。目的は何かと、自分のナイフを見た特効か。

 なら、ナイフを使わなければいい。そして、近づけさせなけもいい。つまり、石投げである。

 魔力を手に残った二つ石にも込めて、性質別に分ける。

 そろそろ、本当に魔力が心許無くなってきた。 早めに決着を付けるためにも、派手に放出した魔力を押さえて数分しか持たない全力の強化魔法を纏う。魔力の量を多くすれば効力も上がるが、ただ我武者羅に放出しているだけだから魔力が減る量がヤバイ。

 今気づいたが、感覚がズレ始めている。

 血と相手が使った針の毒のせいだろ。まあ、死んでいないからラッキーである。

 剣を持って物凄い速度で近づいてくる男。

 鋭く確かに仕留めるために冷静に落ち着く。

 強化魔法も何か先と違って効力が強くなっているし、此方の姿勢を理解したのか、急に間合いを探るようにジリジリと近寄り研ぎ澄まされた気配が感じる。

 体が振るえる。寒い……でも体の中が暖かい。

 ああ、眠ってしまいそうだ。

 体が縮み込みそうになるほど強烈な冷たさが体を冷えさせるけど、夏の太陽に焼かれるように肌が熱く痛い。

 だから必然とナイフの柄を強く握り締めて寒さに耐えながら熱さに焼かれる。でも寝たい。

 気持ちが思考が体が全部がぐちゃぐちゃでめちゃくちゃ。

 視線は背けず。冷たい息を吐く。それは白い糸でこっちから動く。

 初動は走り。左手に石を持って何時でも投げれるようにして、右手はナイフは構えて近づく。

 男は立ち止まり。動かずただ攻撃範囲に入ったら切ると確かな範囲が見えた。入ったら切られるとそしてそれに突っ込む。

 左手の石を勢いよく投げる。それは前に男に二回使ったのと同じ。対策しているなら、それを狙うだけ。

 避ければナイフで切る。避けなければ石が当たってよろけた隙に切る。

 攻撃範囲に入った自分を切る為に、無駄なく動いた腕は振り下ろされる。

 石が投げられたことで、少し思考をしたようだが。何を考えたが、石を切ってから自分を切ろうと考えたようだ。

 普通の人間なら石は切れない。

 ただ、この者はどうやら切れるようで、その判断に至ったのだろう。そうでなくても、剣で弾いてから切ればいい。剣には相当な負担が掛かるが勝てるならそれでいいだろう。

 ただ、それが普通の石ならば。これは普通の石ではない。

 男はこれが柔らかい石だと勘違いしている。

 でも二回、投げた石とは違う。それは、柔いかが硬い石だ。そんな不思議な石は容易く切れはしない。

 でも剣に弾かれたが、刃に罅が入った。男は驚きの顔を浮かべた。お前は理解できないだろう。

 嬉しい誤算を手に入れて。

 一秒という短く長い時間の中で、剣の軌道を変えるためにナイフで強く剣の側面に打ちつける。

 パッキンっと壊れた音が耳に届け。空中にキラキラとしたモノを見て、ナイフの柄から手を離す。

 剣にナイフ打つ時に左手でもう一つの石を掴み、地面に向かって投げる。角度も力も十分に。 それは勢いよく顎にクヒーンヒット。

 確かにそれを見届け、自分は左足を一歩前に、右拳を硬く柔らかく力強く握り締め。

 横腹に右拳を構え、左手で狙いを定め、前に出した左足を強く大地を踏み締め。

 力の限りを乗せた拳を腹を狙って放つ。

 パンッン! と辺りに響かせる。

 腹を殴ったたら、何かが破裂したような音が鳴り響いた。

 もちろんぶち抜いたということはないし、そんな感覚はない。でも相手はガハァっと血を吐き、後ろに倒れた。

 気絶したのだろ。息はしているが反応がない。


「やっと倒したああ~」


 今すぐ、眠りたい思いを我慢する。


「はぁー、どうしたものかな、カザクラさん。これで救われてないかな、もし見捨てれば、誰もが悲しむ悲劇が起こるだけだと目に見て分かるしな」


 なんで、迷ってしまったのか。自分は心優しい人間ではないのに。

 考えても仕方ない。早めに男を拘束しないと。 剣は危ないし、その辺に捨てるか。剣を掴み、気だるい思いごと投げて捨てる。

 回転しながら放物線を描き、遠くまでいった。

 さて、男はどうしようかと思っていたら。

 キャ! と女性の悲鳴が聞こえた。


「うん?」


 声? とゆっくりと聞こえた方を向くと見たことのある髪色の人がいた。それに思い出した。目覚めたのかと思いつつ、足元で倒れている者に目を向ける。


「拘束を一応するかな? はぁー、疲れて動けないし、魔力もからぽだし。あっちは勝手にくるだろからいいや」


 背から倒れているから仰向けにして腰当たりに座り両手を背に回して、男から破いた服を紐として縛る。

 それをやるにも一苦労である。体が徐々に動かなくなっているし、全身が痛い。

 血も出し過ぎたのか頭がぼんやりとするし、眠い本当に。

 思考するのも億劫になって来はじめて、早くカザクラが来ないかと思いつつ欠伸が出る。

 あらやる力が抜けて、時間が妙に長く感じる。後少しで寝れるからまだ耐えろと踏ん張りたいが無理そうだ。

 ようやっと此方に来たカザクラは何か不機嫌そうな顔をしている。ぼんやりと見つめて何か言うのかと思ったが何も言わない。じゃ、お願いしないとね。そう口を開くことするがカザクラの方が早かった。


「いえ…………そうね。……まず今回は助けてくれてありがとう。でも何であな――」


「――長くなりそうだから後にしてくれるかなそれは。カザクラさんには悪いけど、早く助けを呼んで来て欲しい。此方は見た通り眠たくてね。今すぐ寝てしまいそうなんだよ、ハァ~~」


「そうね、わかった。急いで呼んでくるから、貴方に死なれても寝覚めも悪いし。少しだけど回復魔法を掛けるから」


 ありがたく、回復魔法を掛けて貰い、少し体の痛みが引いた。ただ眠気が余計に増した気もする。

 魔法を掛けてから彼女は急いで町に向かって走って行った。それを見送りながら、意識を戻したらどうしようかなと思いつつぼんやりすることにした。

 服が所々破れているために夜風が当たると寒い、これなら以外と耐えれるかなとも思ったけど無理。

 ぼんやりとしていたら、男が目覚めたらしい。 急に暴れだして、もう少しで倒れる所だった。それにめんどくさいなと思いながら、右手を首元の下あたりに掌をペッタンと付けて体重を乗せれば動けなくなる。腕は塞がって要るからね。後口に何かを入れれば完璧何だけどな。

 でも体から魔力の流動を感じた時に。爆裂音が鳴り響きそれに思わず驚いて転んでしまった。

 アワワとなって急いで立ち上がると男は距離を取って何か立ち上がっているし思いっきり手の拘束を壊したしヤバイ。

 逃げるにも体力がなく、倒すにも魔力と気力がない。それに死んだと理解する。

 男は笑みを浮かべて全てがひっくり返ったこの状況を可笑しくかったのか笑い。この状況に腹を抱えていた笑いは止め、残虐な殺害を楽しむためにゆっくりと近づき、男の足元に落ちていた壊れたナイフを手にとった。

 動きの節々は見逃せない。それで死ぬかも知れないから、徐々に鼓動が早くなる。

 恐怖はなかった。だから飛び乗るように来た男の腹に蹴りを入れる。もう一度落とそうとしたが、ダメだな逆に相手の勢いで脚がやられた。

 何とか立ってられるが、どうしようもない。本当に絶体絶命。

 まあ、ここで死んでも悔いは残るが、なかなかカッコよかったと思うが悔いが残り過ぎて死にたくない。

 ミノリに会いたい。そんな願望は儚くも届かず。

 諦めた時に、突風のように風が乱れた。

 魔力、気が乱れ乱れ、荒れ狂い。

 ピンクの髪が舞っていた。迸る怒気はこの場を寒くさせ。

 ああ、その光景に一つのお話を思い出した。

 初めて見た時はそんな雰囲気はなかったが、あの髪色、この気配、正しく噂の通り、戦乱を戦い抜いた学生。

 『戦神』と呼ばれたフルカザキ・ハルチイ先生である。そして自分はこの人を絶対に怒らさないと決める。

 後は助けに来てくれた人に任せて、ここで寝ても大丈夫だろう。

 燃えた心は冷めきって、深い深い微睡みに捕らわれ意識は深淵に沈みこむ。

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