表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
のんびり屋の精霊使い  作者: 夢見羊
入学式と回り出す大きな歯車
18/69

戦いは己の為に5

 町から数キロと離れた深い自然に満ち溢れた森中で、鬼ごっこのガチ番のようなことをしている。

 何が楽しくこんなことをしなくてはならないのか、ジャニンと。今、追いかけているアイツはカザクラを肩に乗せて、逃げている。

 なのに中々追い付けない。アイツは木の枝を渡って、高いところに居るため攻撃が仕掛けられないし、まず速くて距離を保つので難しい。

 魔力を薄く纏って強化している程度で、自分より速く、同じ強化魔法なのになぜこんな違いな生まれるのか。そもそも肉体のスッペクが違う。

 このままでは確実に逃がす、だから攻撃を当てなくてはいけない。その為に地面から手頃の石を拾って、痛みに耐え馴れながら、走りの勢いを生かし投擲をする。

 場所とアイツの位置を確認して、タイミングを見て大きな一歩を踏み出しながら、右手で持っている石を軽く握りしめ、狙いを正確に定める。

 地に足が付いた同時に腕を素早く振り抜いて狙い通り当たるように石を飛ばす。

 風を切りながら狙いに向かって飛んで行く、此方の動作に気を配っていたのか、此方のことを気づく、避けることはせず。そのまま次の木の枝に移っていく。

 石は地面に向かって飛んでいき、地面にぶつかり、反射し次の木の枝に飛び移った男に向かって飛び進み。

 見事に背中にぶつかり、勢いよく男は落ちる。

 当たった瞬間を見る前から全力全身で走り自分は一気に加速して、落ちた男から離れたカザクラを受け止めるためにまず下に行かなくては。

 何とか受け止め、受け止めた時の衝撃を足腰のバネで逃がしつつ、そのまま回転に変換して、後ろに飛んで男からも距離を取りって衝撃を逃がしきる。


「っ!」


 手から走る痛みに顔を歪めてしまう。

 血は止まっているが、完全には傷は塞がっていないために、受け止める時の衝撃は大変痛い。それと足腰も少し痛めた。

 ただ良かったのは、男がカザクラから手を離してくれたこと。

 衝撃と痛みで思わず離してしまったのだろう、そのまま地面にぶつかって欲しかったが、寸前に受け身を取って、此方から距離を取った。

 自分は痛む足腰に無理を言わせながら、カザクラを背負い木の後ろに隠れる。

 この森の木が大きくて良かった。運良く隠れることが出来たが、自分の村の森だったこんな立派なのはない、都会ってやっぱり凄い。

 気配を完全に消すために空気を欲する体の呼吸を無理矢理に落ち着かせる。男の気配を探る。  受け身を取った位置で止まっている、動いてはいない。だが相手も同じ様に此方の気配と動きを少しでも探ろうとしている。

 夜に近づき風が吹き始める。呼吸音は聴こえないだろうと思いながら、カザクラに視線を向ける。

 綺麗な髪色は、夏は終わり冬へと向かう期間の秋に起こる紅葉。緑の葉は生命力に満ち溢れを見せる、なら赤へと変化は終わりを示しだけど新たな若葉の糧とかわる。

 終わり新たなものへ受け継がれる自然の美しさを思わせる。

 最初の時も綺麗と思った。最初の時は元気な印象を抱かせたが、声をもっと聞いて、少し触れあい、少しだけ理解する。

 この者はそういうのでなく、強がっている。でも、強い意思も感じた。

 それは生と死がちらつく、儚さ。

 カザクラの顔を見て意識を落としているからだろう、静かな呼吸を感じる。

 もしかしたら、死んでいるのではと思わせるぐらいに静か。でも呼吸はちゃんと出来ているから、生きてはいる。

 空は暗い青に包まれ始めた。

 はぁー。心の中で溜め息を吐く。

 この時間の厄介性を思い出す。夜に近づいて太陽が沈んだ方向の空が微かに見えた。

 見えた所は、暁に色付いた。

 誰そ彼。暗くなり始めた時刻に人と会った時に聞く掛言葉、誰ですか貴方は? と尋ねて人を判別する。

 それは人成らざる者では無いか、自分達に危害を与えるものではないかを知るための言葉である。または黄昏時。

 そしてその時刻は逢魔時とも呼ばれ。黄昏の獣が蠢く時、魔物が活発になる時。本当に面倒くさい時刻である。

 さて、どうしたものか。此処に置いて行くと確実に魔物に殺られるし――ふっとカザクラが目覚めないかと思い、なんとなく頭を撫でてみる。

 ピッく額に血管が浮かんだように思えた。   気のせいかと思い少しの期待を込めて撫で続けて見たいが目覚めることはなかった。

 流石にそんな状況でもないし相手が動くてもいい頃合いだ。

 右手に回復魔法を掛け、治しながら左手でナイフを握り動けるように準備する。

 本当にどうしようか置いてはいけないし、幾ら血が止まっても目が覚めた時に痛みで動け無いかも知れない。……右手はもう良いか、そう思いカザカラに回復魔法を掛ける。

 治すのに意識を向きすぎたため、男が動いたのに気づかなかった。

 気づいた時には頭すれすれで木が斬られた。

 あまりにも速く緩やかであった。

 音はせずに刃は木を断って、物凄い勢いで周りの木を巻き込みながら右に倒れ、音を鳴らしながら土煙が立つ。

 後ろを振り返ると片手剣を握っており、此方を冷たく見ていた。

 その瞬き程の時間で男は自分の頭ごと残った切株は薪を割るように振り下ろす剣。

 カザクラを腰に手を回して、脚に力を入れて前に飛び退き。

 バンッと切株を縦に切り地面さえ切り裂いた。 そんなのを見る暇などはない、動かなくてはとカザクラを抱えて走る。もちろん強化魔法を即座に掛ける。

 何回かやっている内に自分も感覚を掴めてきたからか効力が上がっている。だがアイツは真顔で追いかけてくる。狂った笑みをしていたよりはましだが、その差が余計に不気味。

 そんなことは置いといてカザクラをまず安全な所に隠さなくては。

 男から認識を外れなくては、なら魔力を手に集めて地面に向かって風魔法を放つ。魔力が多すぎて逆に大した威力には成らなかったが土煙を立てることは出来た。

 その隙に、再び木の裏に行き。カザクラを隠して直ぐに男の所に戻る。

 一応置いてきた場所から直球で向かうのではなく別方向から向かい。後、魔力を極力抑えてみたが正解だったみたいだ。

 先ほど、自分の場所が分かったのか理由が分かった、だから攻撃を仕掛ける。

 魔力全開で解放して位置を知らせて、男が投げてきた針を投げる。

 するとカンカンと金属がぶつかる音が聞こえきた。

 失敗と分かり、短剣に魔力を流して魔法を掛ける。見た目の変化はないが結構便利なものである自分の魔法は。強化魔法も抜かり無しに万全に整えてから仕掛ける。

 土煙がまだ立っていて、見えないけど。何処の位置かは分かっている。それは相手もだけど。

 肩を狙って短剣を振り下ろすが、相手に誘われたようでカウンター攻撃を仕掛けられる。

 自分は何とか短剣で防げ、軽く飛ばされる。

 全身を襲う衝撃に、噛み締めて耐えてきる。

 追撃がくる、短剣でまた防ぎつつ、拳を振るう。

 それに自分の拳に当たった感触がある軽くである。

 殴る必要はなかったと思うが、まあ良い鬱憤が溜まっていたから仕方ない。

 距離が少し近いと離れてまた攻撃を仕掛け――

 相手の魔力が突然、跳ね上がり強風が吹いた。それにより視界を遮るものは無くなり、同時に針が飛んできた。それを右に避けることで回避して相手をみよぉ――。

 目の前には刃があった。


「あっぶね!」


 身を右に捻って間一髪と回避して、左足を軸に右足で素早く頭を狙って振り抜く。

 入った感触はない、防がれたと分かり下がろとした時に右足を左手で掴まれて、そのまま持ち上げられて、左足でも蹴りを入れるが呆気なく右手で取られて、それに危機感を抱く今のうちに防御をしなくちゃヤバいと感じて防御の姿勢を取る。 間違ってはいなく、相手は回り始めて自分もそれにつれ宙に浮いき頭は地面に近かったものは相手の腰当たりまで上がっていき血が頭に昇る。

 頭が回らなくなる、自分が何をやっているか分からなくなってくる。

 どんどん速くなっていき、突如、浮遊感が体を包んだ。

 何が何だか分からない。

 頭は回っていない為に自分がどんな状態か全く理解出来ず。理解までの時間は短く、体に強い衝撃が襲った。


「ガハッ」


 咳き込んだ見たいに肺から空気が吐き出されて内蔵が破裂したんじゃないかとお腹を抑える。

 頭に昇った血が平常に戻ると意識がはっきりと戻り、痛みに悶え苦しむ。それまで自分がこうして腹を抱えているかは分からないかったが、意識がはっきりしてから理由が分かった。


「はぁはぁ……――ボッホォ。……いてぇ、馬鹿力が木にぶつけやがって、その木がへし折らすとかどんな速度と力したら出来るんだよ」


 溢すように悪態をつき、此方に歩いてくる男に視線を向ける。

 真顔のまま、回復魔法を全身に掛けながら立ち上がる。

 便利だなど思った。回復魔法があればちょっとやそっとでは動けなくなることはない。でも体が熱くて堪らない。お腹の部分が他よりも燃やされているのではと思うぐらいに熱い、これが効いてると言うことで良いのか。そう思いながら。

 ナイフは何処にあるか探すと地面に刺さっていた。それは此処からは遠くなく、取りに行くことがめんどくいと思う、でもないと困る。

 少しは動けるようになり、全力で走る。そのまま直行でナイフを手に取りに行くが相手はさせないと此方に攻撃を仕掛けてくる。

 自分はそれを見ながら、避ける必要があるもの以外は避けずに走ろとしたら斬撃が腰を狙う。

 どんだけ腰辺りを狙うんだよ。

 それに短剣に向かって、前に飛んで取る。

 よし、頑張って時間稼ぐか。

 右手にナイフを持ち左手は緩く握りダランとさせるも程よい緊張が力の加減を調整してくれる。準備は出来た。

 あとは助けに来てくれる人達に目印的なものが出来れば良いのだがどうしたら良いかな。

 あれ何か、頭が妙にすっきりする何でだろうかな。

 まあ良いか。いや、流石にばかになりそうだ。でもあんまり他のことを気にしたら、殺られそうだし早く決めよ。ちょうどあったじゃん。魔力を大量に放出すれば、目印として良いのでは、それに魔物も近く付くこと無くカザクラも安全になるのでは、一石二鳥だな。

 そうと決まったしやるからな。早速、魔力を放出する。それにアイツは何を思ったのか警戒を高めた。まあ良い。

 時間も稼ぐためにアイツを揺さぶることを言うかな。信じるかは後にして。やってみよう。


「あー、あー。喉は大丈夫かな…………さて、一つ良いことをお前に教えてやるよ。

 時間稼ぎの戯れことかも知れないし、真実かも知れないことだからなこれから言うのな。――お前の組織は潰れたぞ?」


 その言葉に男は沈黙する。知っているのか、知らないのか、嘘かと思っているかは表情や体からは分からなかった。それでも続けて言う。


「あれは確か何年前だったかな二、三年位だった気がする。自分の知り合いとフクロウの兄ちゃんとやった事でな、あの時は本当に何回も死んだと思ったがこうして生きてるのは奇跡だと思うよ。あの男、鉄壁て言うコードネームの奴が出てきた時は本当にヤバかった。タフダフとか言うやつだけど知っている? エニシングセルの創設者の奴も死んだけど知ってる?」


 その言葉を聞いて、アイツは口を開く。前と同じ様に。


「それは結局なんだ。お前のやっていることは無駄だから止めろと、笑わせないでくれ。……俺たちはなボスに従ってはいるが従う理由人それぞれだ。俺が従う理由は単に金と人の苦しみだ。それが有れば俺は良い。それを必ず得れると約束したボスは俺を仲間にしたたげで、忠実など抱いていない。だから潰れようと知ったことではない、支部の方が潰れていないなら心底どうでもいい。それに元の体も処分されて要るのだろうしな?」


 その言葉に反応せずただ見つめる。それを見た男は確信したように、笑みあげる。そして言う。


「この体はちゃんと持ち主に返してやろうとしたが、お前によって出来なくなったな。ああ、可哀想に、本当に可愛そうにこの姿で妹でも殺してやろうか」


 思ってもいないことを言うと思ったが本音も吐いているな。あれらにそんな心が有るわけないが、そもそもこんな事はしていない。

 だが、それに一つの可能性を見いだす。チャンスが増えてきた。見逃さないようにしよう。

 さて、動揺を誘おとしたが、なんもとも思わないのは流石に想定外。いや、よく考えれば分かるか。


「さて、しゃべりを終わりにして、時間も十分稼いだろう、なら大人しく死ね」


 一閃と剣を振る。それを短剣で受け止め流す。 以外とやれば出きるね。それに体が調子良く、相手は遅くなっているように感じる。

 何か相手の魔力があまり感じれない。数分前は、最も感じたが……あれ可笑しいな、何時から魔力を感じるなど出来るようになった。

 剣が幾度となく振るわれる。

 斬撃を反らし、逃がしと上手いこと防御をして様子を伺う。それで――先ほど得た情報から、使えそうのがあったので精神攻撃をしてみる。


「おい、お前、名前は何て言うかは知らないけど。聞こえてるだろ、なら頑張ってジャニンとか言うやつ追い出せ。あと、逃げるなよ」


 相手はその言葉を理解したのか。笑みを上げながら、否定をしてくる。


「無駄だ、そんなとに意味はない。既に心は死んでいる、精霊とも仲が悪くなっているからな」


 鬱陶しい、誰もてめえに話しかけてねえより溜め息を堂々と目の前で吐いてやってから言う。


「うるさい。お前には言ってねよ…………しょうがない。お前はどう思ってるかは知らないが、頑張れお前に罪はない、それでも苦しむなら自分が侵したことは仕方ないと諦めて、罪を償えばいい。許されるかは関係ない。お前がしたいことをしろ諦めずにやり遂げろ。それが出来なければ、まあ、お前の妹は悲惨な運命に死ぬだろうけど?」


 これだけ言えば何かがんばるだろう。わざわざ悪人見たいなことを言ったし、あとは知らない。 だだ、妹を思いな家族には基本的に悪い奴は居ない。

 はぁ、時間を稼ぐ理由がまた増えたな。

 仕方ないまだまだ子供だけど頑張るか。

 勝手にした事だから当たり前か。心の中でふざけて、それを笑う。

 実際は真顔でただ相手を見て攻撃を捌き対処している。段々、遅くなっていく動きを見ながら、未だ防御だけしか出来ない。

 うん、でも防御するのも慣れてきたし、攻撃を入れて行こう。

 カザクラまだ目覚めないのかな、それとも目覚めているのかな。目覚めているなら騎士や学園関係者を呼んで来て欲しい、そろそろ魔力が心許ない。

 相手を煽ってみる、動きが乱れないかなと淡い思いを抱く。


「おい、攻撃の速度、遅くなってるぞ。もっと気合いを入れろ、全く、こっちは眠たくなってくるよ。こんなじゃダメだよ。こんなでへばられたら、苦しみを永遠に味わえないよ?」


 うん、変わらない。

 いや、でも少し早く強く打ち込んで来てるかな。

 金属同士の音が当たり前のように響き渡っている。

 何回か普通に防いでいた攻撃を強く受け止めてみると、驚くように体勢がすこし崩れたが大して隙もなく、ナイフに負担がデカイから止めよ。

 さて、これはいったい何時まで続けたら良いものか、どうしよう。

 早く来てくれ。と願い思いながら眠たさに瞼が重く。気絶するのもそう遠くないかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ