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ダークエルフの女の子が、聖職者と仲良くしたらダメですか?  作者: 渋谷 恩弥斎
第1章 少年牧師と、ダークエルフの少女
3/114

01/02. 深い意味はないんだけれど(2)

「それにしてもあんた、料理が上手よね」


 一瞬訪れたピリつく空気を壊すように、リリウが言う。


「男の子のくせに、なかなかやるじゃん」

「まぁ、一人暮らしだしな。家事だって、全部自分でやらないといけないから、ある程度は自然に。村の人たちの助けもあるから、何とかやっていけてるよ」


 何気なく俺が答えると、


「……家族は、いないの?」


 こちらの様子をうかがうように、リリウが恐る恐る聞いてきた。


 もしかして俺の『一人暮らし』のところに、彼女は気を遣ってくれたのだろうか。


「今は離れて暮らしているけど、姉さんが一人。だから、天涯孤独とか、そういうんじゃない」

「そ、そう……ふーん」


 目線を逸らしながら、何でもないようにしているリリウ。


 彼女の心の内はわからないけど、こういう態度を見る限り、本当に悪い魔族だとは思えないんだよな。

 人の感情を推し量るとか、そういうことができる女の子のような気がするから。


「俺のことより、お前は平気なのかよ?」

「ん、何が?」

「森の中で、女の子一人なんだろ? 危ない魔族だって、いたりするんだし」


 昼や夜に俺を訪ねてきて、眠る頃には森のどこかへ帰っていく――リリウの行動は、基本的にこんな感じだった。


「舐めないでよ。あたしはダークエルフ。そんじょそこらの野蛮なやつらなんかにやられるわけないじゃん」


 魔族と一口に言っても、その種類は様々だ。

 人間と近い、あるいはほとんど変わらない容姿の種族もいるし、霊的な存在や、知能の高い者もいる。

 一方で、本能のままに生きる獣のような魔族だって多い。


「まぁ、確かにそうだけどさ……」


 リリウが主張するようにダークエルフは、魔族の中でも魔法を得意とする強力な種族。

 森の野犬や賊まがいの暴漢に襲われるような心配は少ないだろう。


 とはいえ、リリウは同じ歳の女の子なんだ。

 俺が牧師だとか、彼女がダークエルフだとかは関係なく、単純にいろいろと心配してしまう。


「じゃあ、とりあえず一晩くらい泊まってく?」


 俺としては、本当に何気ない言葉だった。

 もちろん、深い意味なんてない。


 だけど、


「なっ!?」


 驚いたように声を上げたリリウは、それから急に、顔を赤くして慌て出しちゃって。


「あ、ああ、あんた、さ、ささ、最初からそういうつもりだったんだね!? あ、ああ、あたしに、い、いやらしいことをするつもりで、だから――」

「ち、ちち、違うしっ!! 全然違うしっ!!」


 自分の発言が、意図しない意味にも受け取れると気づいた時には、もう遅い。


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