表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マジュウ・コラージュ  作者: 若庭葉
急──コラージュ編
36/46

鵺退治②

「よかった! 無事だったんですね!」

「まあ、なんとかね。このとおり、酷い有様だが。──とにかく、君は黒巫女になる必要なんてない。さあ、私と一緒に行こう」


 そう言って、彼は大きな手を差し伸べた。

 宰は元気よく「はい!」と答え、籐椅子から立ち上がる。


「お、お待ちください!」朱美は、慌てて少年の体に装束に縋り付いた。「我々は、もうあなたに頼るより他りません! あなただけが、たった一つの希望なのです! どうか、今一度お考え直しください!」

「で、でも──僕は、やっぱり黒巫女には……」

「このとおりですから! どうか、後生ですから! 私たち一族を見捨てないでくださいませ!」

「あ、朱美さん……」


 稚児(こども)のように顔をクシャクシャにさせ、必死に懇願する姿は、ある種の憐れみを感じさせた。少年は沈んだ面持ちで彼女を、見下ろす。

 ──すると、彼の背後から。

 ()()()()()()()()()()()

 突き出されたその手は一丁の()()を握っており、黒い筒の先端(くち)を、斜め上から()()()()()()()()()()()


「──え?」


 見開かれた彼女の目が動き、囁くような距離にいる死神を見たのと、ほぼ同時に──

 ()()()()()()()()

 ──ドンッ。

 銃声が鳴り響いた直後、朱美の頭の二箇所から、血と肉片が噴き出した。

 その瞬間を唖然と目の当たりにしていた宰の顔に、わずかに赤い飛沫がかかる。

 黒い白衣(びゃくけ)を掴んでいた手から力が抜け、朱美は少年の足元に崩折れた。

 ──途端にドンッ、ドンッ、ドンッと三発の弾丸が放たれ、彼女が床に倒れた時には、その頭は()()()()になっていた。頭蓋骨は無惨に砕かれ、血ミドロの髪の間から、掻き混ぜられた中身が覗く……。


「……………………な」


 ──ほどなくして、拳銃を握った手が引っ込められた時、宰はようやく()()を振り返った。


「な──ん、で…………? ──どうして、こんな……⁉︎」


 尋ねられた高村は、ワザとらしく考え込むように頬を掻き、


「うーん、どうしてと聞かれてもなぁ……。強いて言うなら──()()()()()()()()?」


 答えた彼に、悪びれる様子はいっさいなく、それどころかその仄暗い瞳の奥には、嘲笑(わら)いさえ仄めかしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ