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特攻娘Jチーム  作者: 加熱扇風機
第一話 特攻娘Jチーム
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2-4 Jチームからの招待状

「ちょっ! 待ってくださいっ! な、何をするんですか!」


 俺は慌てて手を払って逃げ出した。


「あら? 意外とウブなんですね」


 ふふっと笑うフローラさん。この人は意外と攻めてくる人なんだな。


「……目にカメラを付けているんですね」


「っ!?」


「目にカメラだと?」


 遂にバレたかっ!


「スパイコンタクトカメラだよぉ。お兄さんもスゴイの付けてきてるね」


「そう。正解だよ。いやー、ヤイバにはバレなかったけど、フローラさんに気付かれるとはね」


「よく片目をつぶってる所を見かけましたから。癖なのかと思いましたけど、白雪さんの職業柄、もしかしたらと思って」


 俺の右目には、コンタクトレンズと同じような、超高性能小型カメラレンズが入っている。


 よく見ればそのコンタクトの端の一部にゴミと間違えそうなくらい、超小型の機械が付いている。


 これもクロムテクノロジーの一つと言いたいところだが、これはクロムテクノロジーの中で、人間が応用して作り上げた物だ。


 左右のレンズがカメラの役割を果たしており、今は右目が被写体を映すレンズとなり、左目がシャッターの役割を持っている。


 撮った映像は転送装置で、靴の中に仕込んだハードディスクに保存されていく。


 カメラを動かすエネルギーとなる物も、その靴の所から電波のように飛ばして供給されて、動くようになっている。


 既にこの技術は世界各地に出回っていて、スパイ活動をする者にとっては定番の道具で珍しくはなくなっている。


 なのでフローラさんがこれを知っていてもおかしくはない。


「ごめんなさい。やっぱこんなチャンスも無いから、撮らなきゃと思ってね……」


「もしかして、今のわたしも撮ってたりするの?」


「うん、何枚か素のシマリスちゃんを撮ってる」


「えー、そんなのいやーっ! もっとかわいい服着てる時にしてよぉー。こんな部屋着じゃない時にー」


「それでもかわいいんだけどね。でもそう言うのなら、もっとかわいい方を撮ろうか。その時を楽しみにしてるよ」


「ホントだよ。お願いだよ」


「うん、約束はちゃんと守るよ」


 俺は小指を立ててシマリスちゃんの前に出した。それに習ってシマリスちゃんも小指出して指切りをしてくれた。


「嘘ついたら針千本とカドミウムとタリウムとリンを飲ます! 指きった♪」


「全部毒ぅっ!」


 シマリスちゃんは怒らせると、意外と怖いかもしれない。


「まさかスパイカメラまで持っているとはな。何者なんだオマエは?」


「あははっ」


 うちの社長がスパイ映画好きが高じて、本物までも収集するコレクターなんだよね。


 普通の社員には使わせない代物だけれど、俺の能力が買われて使わせてもらっている。本物並のスパイエージェントがうちに居て嬉しいと、社長は言って喜んでいる。


 俺は右の靴を脱ぐと、靴底の部分を外そうとする。


「何をしてるんですか?」


「え? だってバレたし、そのデータを差し出さないと」


「別にそのまま持って帰ってもいいですよ」


「え? いいの?」


「はい。七姫はきっと白雪さんは隠し撮りするし、たとえ隠し撮りをしなくても写真を撮って行っても良いと言っていましたし」


「私は不本意なのだがな……。先ほども言ったが、私のだけは後で消してくれ」


 そうか……。なんか悪いことした感じがする。


「隠し撮りしようって思ってすみません……」


「気にしていませんから。いつも良い写真を撮ってくれて、みんな感謝してるんですよ」


「感謝?」


「そうだよ。こうしてJチームが有名になって、人気があるのは、白雪さんの記事のお蔭なんだもの。ありがとうね。お兄さん」


「こっちもみんなのお蔭で、俺たちは食べて行けるからね。こっちこそありがとうだよ」


 ピピピッ♪


 3人から同じ電子音が聞こえた。電話かな? みんながスマートフォンを取り出すと通話に出た。


「皆さん、そろそろ会議室に向かってください」


 デスプレイにはメイドちゃんの姿が見えていた。


「それと誰か白雪様を見かけておりませんか? 会場を探しているのですが、見つかりません」


「それならわたしの部屋にいるよぉ」


「ワタシが連れてきました。一緒に会議室に向かいますね」


「そうでしたか。ならよろしくお願いします。では、失礼します」


 ピッとみんな通話を切った。


 ついに俺が呼ばれた理由がわかるのか。


 シマリスちゃんの部屋を出て、俺はみんなと一緒にその会議室へと向かった。


「しかしまぁ広い豪邸だな。部屋数はいくつあるんだよこれ?」


「272部屋あるよ」


「マ、マジで? いったいそんだけあって役立ってるのか?」


「ここには各種様々なトレーニングルームがある。密林地帯、プール、無重力施設までも完備していて、それらが私たちの為に作られたと言うのだからな。驚きだ……」


「うはぁ……。一体費用がいくらかかったんだか」


「泊まり込みの使用人の部屋の他にも、ワタシたち専用に泊まれる部屋もあるのよねぇ」


 これだけ部屋があればあるだろうな。


 でもヤイバとフローラさんは実家暮らしだ。普段は家族と一緒に暮らしている。


 二人がここで泊まる時は、真夜中に全員揃って作戦行動を起こす時や、夜通しここの施設で訓練してる事もある。


 一体どんな訓練をしているのだろうな。そういう所も撮りたいところだが、豪邸に不法侵入はさすがに犯罪になる上に、もし見つかったら西条家にどんな目に合されるか、わからないから無理だな。


 ちょっとした雑談もしながらしばらく進むと、目的地にたどり着いた。


 会議室の中に入ると既に七姫とメイドちゃんがそこに集まっていた。


「ようこそ、白雪さん。この度はご足労頂いて、ありがとうございますわ」


「どうも。Jチームにこうして招待された事、光栄に思います」


「ふふっ、そんな堅苦しくなくてもよろしいですわよ。まぁワタクシたちでしたらそれで構わないのですがね」


 そう言って七姫が目を向けた先に、見知らぬ男性五人がそこには居た。


 彼らはJチームの裏方の人たちなのだろうか?


 Jチームは基本的にこの5人が行動しているが、数多くの武器や特殊装備の管理や調達、乗り物の整備、医薬品や食料などの備蓄と言った細々とした作業には、裏方の人たちが頑張っている。


 表立った活躍は無いけれど、Jチームが効率よく活動できる縁の下の力持ちな役目を担っている人たちだ。


「ワタクシたちの自己紹介は必要かしら?」


「いや、大丈夫。Jチーム全員の事はよく知っているし。俺の方は必要?」


「大丈夫ですわ。皆さんよく御存じですもの」


「そか。それなら……。そこの人たちは誰ですか? Jチームをサポートする裏方の人たち?」


 俺の言葉に、男性人三人が前に出た。


「CAAのテリー・ブライアンです」


 CAAだと? Central Affair Agencyの略で、アメリカの大統領直属の情報機関だ。


 国外での諜報活動などの任務もあり、海外の情報聴衆、敵対国へのスパイ、テロ対策などを行う世界でも有名な組織だ。


「アメリカ軍厚木基地在中のバルト・オーウェン大佐だ」 


「国防省より来ましたの茂呂泉 博です。他二人は自衛隊の陸将と曹長です」


「ど、どうも。よろしくお願いします」


 なんてまたすごいメンバーがこんな所に集まってるんだ。


「先に言っておきますがこの事はトップシークレットになっておりますので、外部に情報を漏らさないようにお願いしますわね」


 そう言って右目に指を持っていく七姫。どうやら既に七姫にもばれているようだな。


「さて、既に皆さんはご存じの通りでしょうが、白雪さんの為に一から説明致しますわよ」


 七姫の合図に、メイドちゃんが部屋の電気を薄暗くする。


 そして中央のテーブルに立体映像が浮かび上がってきた。建物から色んな人の顔写真などの情報がそこに流れている。

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