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撮影再開。
リルドが
「みんな、息を止める準備はできてるか?」
「地獄の底から、顔を上げろ」
「歌うぞ……死の先で」
リルドがセンターに立ち
『世界の果て、境界線裂けた皮膚から』
シリウスと入れ替わり
『覗く青い虚無喉の奥、鉄の味(届くか?)
(この醜いメロディ)』
シリウスの重低音が脳内に響く。
リルドがまたセンターに移動
『錆びたナイフを舌に押し当て』
シリウスと再度の入れ替わり
『甘い震えを (飲み込め)
(深く、深く、深く)』
リルド、シリウスがここで二人揃い片手にマイクを持って手を広げ
『こんにちわ、灰にまみれた新しい今日
再生の産声は 耳を劈く叫び
二人で描く 剥き出しの臓器の地図
ようやく見つけた 僕らの、終焉の居場所』
「はーい本日の撮影はここまでです!チェックして終わりましょう」
スタッフさんに呼ばれて、モニターの前に集まる。
画面の中の僕らは、なんだか別人みたいだった。
「リルドくんの掛け声、鳥肌立ちましたよ」
「シリウスくんの低音もばっちりです」
褒められて、つい顔を見合わせてしまう。
「……やったな、リルド」
「うん……!」
ハイタッチをすると、スタッフさんたちから拍手が起きた。
なんだか、ちょっとだけ照れくさい。
帰り道、夕焼けの中を二人で歩く。
「なあリルド」
「ん?」
「お前さ、本番のとき全然震えてなかったな」
「え、震えてたよ。膝とか」
「マジか。全っ然分かんなかった」
「シリウスが隣にいたからかな」
「……っ」
シリウスが急に黙った。
見ると、また耳が赤い。
(お風呂入ってないのに?)
「……リルド分補給が必要だ」
「歩きながら撫でようとするな!あぶないって!」
家に帰ると、父さんが夕飯を作って待っていてくれた。
「お、帰ったか。撮影はどうだった?」
「ばっちりだったよ!」
「そうかそうか。……ところでな、町長から連絡があってだな」
父さんが妙ににこにこしている。
嫌な予感がする。
「今日撮ったやつ、来週の町の広報で大々的に流すそうだ。あと駅前に看板も立つらしいぞ」
「「看板!?」」
また二人で同時に叫んでしまった。
(平穏……本当にどこいったんだろうなあ)
でも、ちらっと横を見たら、シリウスがまんざらでもない顔をしていたから。
まあ、いいか。
「ねえ、お兄ちゃん」
「ぶっ……!だから飯のときにそれはやめろ!」
父さんが笑っていた。




