約束通りって半分じゃねーか
再びバイケルに戻り、オルグナに会いにいくと
「お前、勧誘されなかったか?」
「ええ。スティンガーキャラバンに」
「んで?返事は?」
「即答なんてしませんが、条件は随分譲歩していましたね」
「ドラゴン殺しのノウハウは是が非でも欲しいだろうからな。目先の分配は多少は目をつむるのだろう」
「オルグナにも来ましたか」
「ああ、ノウハウを教えろとな。こっちにはフザケた話しか来ていない」
苦々しい顔
「お前が小娘だし、ニールは話が通じないから、俺が統括だと思われるのは当然だが、それにしては舐めすぎてる」
ため息
「そうだ。ニールや魔法使いの皆さんにも行ってるかもしれませんね」
「一度みんなに集まってもらうか。報奨金の話もあるしな」
「知識の価値を知らない馬鹿は来たな。話?馬鹿の話など聞いてる暇はない」ニール
「お客さん来てたらしいですが、寝てましたー」ミラーさん
正直この二人は現状抜けては困る人達。
本当に癖が強い
「私は今でも困ってないし」エノームさん
「誘われた。でも私じゃ役にたたないし断ったよ」ネクリさん。
「…前一緒にやった人が来てね。正直揺れてる」ニルスさん
「抜けるのならば止められません」
「まだ悩んでる段階だから」
「うむ。では次の討伐の相談だ」
オルグナが口を開く。
「今、報奨金で揉めている。既に希望者にはお金を約束通り渡した。もし出なくとも、素材売却で、約束の金は出す」
言葉を区切るオルグナ。
「報奨金が出ないなら出ないで問題はない。次はレッサードラゴンをねらうが、今まで通りの戦略でいける。そうだなニール」
「ああ。レッサードラゴンなら問題ない」断言
「本来はアイスドラゴンを狙いたいが、まだ知識の上積が足らんのだ」
「うむ。レッサードラゴンの素材の売却の話は進んでいる。今まで通り十分な報酬は約束できる。問題は」
「問題は?」エノームさん
「報奨金を満額出す条件にドラゴンゾンビ討伐を打診されているのだ」
「…ドラゴンゾンビ?」
「ニール、説明を」
「説明もクソもない。今までの戦略は効かない。これだけ伝えれば十分だろう」
ニール
「…勝ち目がないってこと?」
「少なくとも魔法使いの皆さんの出番はありません。素材としても使えませんし」
「…勝てるの?」
「聖魔法しか効きません。そして、聖魔法の使い手が存在しているのに、ドラゴンゾンビは討伐されていない」
「…無理ってことね」
「全力で断るが、なかなか難しい状況だということだ。なので、ニルス、別のキャラバンについて行くことに大きく反対は出来ぬ。無論我々は全力を尽くすがな」
「了解。ありがとう」ニルスさんは微笑む
「暫くは交渉に時間がかかる。済まないが待機を願う」
オルグナは頭を下げた
翌日、また城から呼び出し
「ドラゴンゾンビの討伐はやってもらう」
「…そうですか」
「ただし、約束通り5000金は払おう」
「半分じゃん」
やばい、素で答えちゃった。
すると
「はははは!!!そうだな!メイル!半分だな!はははは!!!」
オルグナが爆笑。初めて見た
「大変に失礼しました。下民がゆえに礼儀がなっておりませんで」
というか、周りの役人も笑いを堪えてる。
「…ドラゴンゾンビ討伐で満額だ」
「了解致しました。ただ、すぐは不可能です。ドラゴンゾンビ討伐には、他のドラゴンの素材や金が必須です」
「ほう。どれぐらいかかる」
「これはハッタリでもなんでもありません、最低でも準備に一年は覚悟ください」
「一年…」貴族が考え込む
「残金がそれまで払われないのは理解しました。それでも一年は最低でもおまちください」
「うむ。分かった。ちなみに他のキャラバンに討伐されれば、受け取れんぞ」
「仕方ありません」
ここらへんが妥協点だろう。オルグナは不満だろうが仕方なかった。
しかし、戻ると
「お前!あの馬鹿役人共の顔をみたか!はははは!!!こんなに愉快なのは久しぶりだ!!!」
オルグナはご機嫌だった。
「半額は残念だが、ドラゴンゾンビ討伐を延ばしたのは僥倖だ。良い条件だったぞメイル」
めっちゃ誉められた。
「ニールと相談しましょう。いずれは当たる相手です」
「そうか」
しかし、報奨金獲得は安心した。
素材はまとめて渡しにいくと、報奨金はあっさり貰えた。
問題はその後
「グズばかり寄るな」
「シンプルに金目当てですね」
報奨金を獲得した噂は街中に広がった。オルグナは事前に護衛と金庫を準備していたので盗まれる心配は薄いが、儲け話や詐欺話の面会だらけ
「分配で呼びます」「ああ」
とりあえず渡しちゃおうと皆に配った。
ニールは千金満額受け取った。
ドラゴンゾンビ討伐も調べてもらうのだ。金はあればあるほどいい。
エノームさんは
「結局いくら貰えることになるの?」
「預かっているの全部含めると900金ですね」
「わお。とりあえず100金だけ頂戴」
となった。
ネクリさんとミラーさんは固辞。
ニルスさんは300金受け取ってウキウキだった。
グリー兄弟と仲間達にも500金
そして、今回は素材売却益のないオルグナに1000金
報奨金獲得組は終わり。
毒の魔法の人達には事前の50金のみで報奨金契約していなかったのだが、こっちが揉めた。
「もう少しくれても良いのではないか」
「契約通りだろうに」
オルグナが対応。
正直毒耐性の魔法はあまり出番がないので、報奨金契約をしてまで繋ぐ必要がないのだ。
そもそも、安全な場所から一回だけ毒耐性の魔法かけて終わりで50金って、相場の50倍である。
まあ、こういうのはオルグナに任せた。
私は私で大変だった。
「どうだ?うちのキャラバンに来ないか?うちなら安全だぞ」
キャラバンからの勧誘だらけ。
小娘が率いるキャラバンだから、という理由で舐めた条件で勧誘されるが、ほぼ無視。
そう考えると、真っ先に対等な条件だしたスティンガーキャラバンは凄いな。
なので、話し合いをした。
「…ううむ、なるほどな」
「収益は大体二割か」
「そうですね。もう少し安定すれば良くなるとと思いますが、儲けより安全を重視しています」
「しかし、ドラゴン討伐をこの編成でどうやっているんだ?」
「それを言うのは交渉が纏まったらです」
「うむ、そうだろうな」
「次はレッサードラゴン。素材は3000金程度。必要経費を抜いて折半にするにしても、どれだけ両者に旨味があるか」
「初めての同行だ。無論ある程度は譲る」
「現状ですと500金程度ですよ?」
「…ドラゴン討伐としてはもの足りないが、キャラバン稼働には十分だ」
「そうだな」
「では、共にレッサードラゴンを討伐しましょう」
最初の合同キャラバンが決まった
ネクリとミラーが追加報奨を断った理由は、
ネクリは「大して役に立ててないから申し訳ない」
ミラーは「金は十分にあるから余計な事で起こすな」
です




