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いつか来世で約束を 01  作者: 朱本来未
絶命因果編
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第040話 業務更新06

「報告もなしに帰還とは君らしくないね」


 顕界文明管理局の一室に帰還した私は局長の声で目を覚ました。


「対象の駆除、無事完了しました。これでよろしいでしょうか」

「あぁ、モニタリングしてたから今回は問題ない。ただ君の場合は任務完了後に自力で帰還することが多いから任務失敗で強制送還されているか判断に困ることがあるからね。報告してもらえると助かる」

「今後はそのように心がけますね」

「では、この件は終わりとしよう。それで報酬は記憶の再生ということだったが、他に何か望むものはあるかね?」

「可能なら左脚の損傷に絡む因果に関連した魂の傷を修復していただきたのですが」

「わかった。すぐに手配しよう。ただ今後の任務に影響が出ないよう処置を施すのにかなりの時間を要することになる。それに加えて記憶の再生もとなると君の休暇全てを消費しても時間が足りない。それでなんだが魂魄修復時に夢という形で記憶を再生しようかと思うが、構わないかね」


 尋ねながら局長はB5サイズの光学パネルを手元に出現させて手早く入力操作していく。


「えぇ、構いません」


 私の返事を受けると確定操作を行って、ぱっと手を払うようにして光学パネルを閉じた。


「助かる。それとリンナの件なんだが君の休暇が終わる頃には凍結も解除される予定だ」

「そうですか。では、今後も私は彼女と組んで仕事することになるのですか?」

「左腕のこともあるからね」

「この左腕、今回もほぼ活用出来ませんでしたが、私の方も調整を入れるのでしょうか」

「それなんだが、リンナの凍結が解ければ元に戻るはずだ」

「だとよいのですが」

「まぁ、いろいろと言いたいことがあるのはわかる」

「わかっていらっしゃるのでしたら早めの改善をお願いします」

「善処する」

「局長」

「なにかね?」

「頼みますよ。今回の件に関しても問い詰める気はありませんが、わかってらっしゃいますよね」

「あ、あぁ、勿論だとも。事象観測機器類も最新のものを導入することにしたしな」

「今までどこに予算を使われていらしたのか気になるところですけれど」

「申請してもなかなか予算が下りないんだよ」

「そういうものですか」

「向こうは資産のあるやつらがお遊びでやってるから余計に困るんだよ。どう隠蔽しているのかわからないが、なかなか不正の証拠も掴めないしな」

「ずっと気になっていたのですが私以外の局員は、どんな影響を受けていますか?」

「ここのところ転送後すぐに強制送還される事例が多発しているよ。うちの局員の情報が漏れているとしか思えないほどだ」

「具体的にはどのようなことがあったんです」

「どうも局員の死の因果に纏わる因子を持った転生者を見繕って、送り込んで来ているようなんだ。しかも、ご丁寧に時間まで遡らせてな。その所為でうちの局員は顕界で物心がつく頃には強制送還されてしまっている」

「こちらがどの局員を送り込むのか向こうには割れているということですか? それだと変じゃありませんか。こちらは転生者が送り込まれる情報を得てから後追いで対象の転生する顕界へと派遣されているものだと思っていたのですが」

「そこは私にもどうなっているのかさっぱりわからなくてね。本当に厄介なことだよ」

「では、次回の任務で私もそうなる可能性もあるということですね」

「そういうことだな。君の休暇中にこちらの方で何か対策を用意しておくつもりだが。正直、効果のほどは未知数だ」

「余り期待はしないでおきます」

「そこは期待してくれ」

「そう言われるのでしたら期待に応えてくださいね」

「程々にな」

「断言はされないのですね」

「保険くらいかけさせてくれ」

「大丈夫です。全く期待していませんから」

「さすがの私も泣いてしまうぞ」

「慰めて差し上げましょうか?」

「ご遠慮願おう。と言うかだな私は仮にも君の上司のはずなんだがね」

「それらしい姿を見せていただければ、お慕いさせていただきます」

「辛辣だな」

「事実ですので。それはそうと休暇申請は必要ですか?」

「その辺はこっちで処理済みだ、転送前に話してたことだしな。あとは魂魄修復の手筈が整えばすぐにでも休暇に入ってもらって構わない」

「休暇と言うより、入院みたいなものでしょうけどね」

「返す言葉もないよ」


 肩をすくめる局長の元に通知が届く。彼女は光学パネルを再度開いて内容を確認する。その内容に目を通し終わると画面の中央を指で弾く。するとハガキサイズの光学パネルが新たに出現して私の元へとするすると宙を滑るように飛来して画面を見せつけるようにして静止する。画面に表示された記載内容は魂魄修復の日程と場所だった。それらを確認すると指で弾いて光学パネルを閉じた。


「対応、早いですね」

「君ほどの局員を長期間休ませるとなるとね」

「高く評価していただいているようで」

「現状、任務を遂行出来ているのが3割程度だからね」

「それほどですか」

「それほどだよ。顕界に行ける管理官は81人しかいないから君ひとり抜けるだけでも結構な痛手なんだよ」

「新規の人員は増やせないんですか?」

「管理官として適性のある因果を持った者となるとなかなかね。1度に送り込める人員にも限度があるから君が処理してくれた元局員のような者が出てきた場合にいろいろと困るんだよ。前もってああいった人員のことを伝えて似たようなことされないとも限らないから判断にも困ってね」

「それでこれですか」


 左腕をひらひらとふって見せると局長は失言だったとばかりに右手で顔を覆った。


「そのことについては後日改めて説明させてくれ」

「そうですね。もう時間みたいですから」


 と私は魂魄修復の処置を受けるために部屋を後にした。


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