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いつか来世で約束を 01  作者: 朱本来未
絶命因果編
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第011話 消息不明02

 転生者という幻想に悩まされ続け、気が狂いそうになったオレは自害したが左腕によって強制的に治癒され蘇生した。腕を切り離して妨害を阻止したが結果は一緒だった。

 それならいっそ自身が駆除対象になってやろうと現代知識を流布して転生魂魄特別措置法で処断されようとしたが転生時に禁止行動として制限されていたらしく、それも出来なかった。


 完全に打つ目をなくしたオレは捨て鉢になり、なりふり構わず戦い続けていたが遂には戦場に立つことすら出来なってしまった。

 無理やり治癒魔術などで損傷した肉体を維持し続けていたが、左足首の傷から壊死が広がって大腿部の半ばから切断することとなった。左腕はオレを死からは守ってくれたが、こういった傷は何故か治癒してはくれなかった。

 義足を用意してもらったが、この世界にある義肢技術では再び戦場に立つことは難しかった。


「なんだ親父殿、オレを笑いに来たのか?」

「卑屈が過ぎるぞ」

「卑屈になるなという方が無理だろう」

「お前が生き急いだ結果がそれだ。受け入れろ」

「言われなくとも」

「これからどうするつもりだ」

「再生魔術の使い手でも探すさ」

「まだ戦うつもりか」

「さぁな。だが、オレはまだ戦えるつもりだ。なんなら今から手合わせしてみるか、親父殿」

「それだけの気概があるのなら自害するようなことはなさそうだな」

「オレが自害? ありえないね」

「お前の戦い方からは微塵も説得力はなかったが、まぁいい」

「それで実際のところオレになんの用なんだ?」

「あぁ、南方に退がるのなら先生を連れて行け」

「オレの目付役か?」

「お前の判断次第だな。我が団は国の本隊に組み込まれることになった。戦闘慣れした治療師は向こうに揃っている。非戦闘員の先生を激化した戦場に連れて行くことは出来んのでな。お前とともに後方へと帰還していただくことにしたんだよ」

「そういうことか」

「これならお前も無茶はせんだろう」

「わかった。今回は大人しく帰るよ」

「きっちり養生しろ」

「そんなに念を押さなくても大丈夫だっての」

「だといいがな」

「心配性なんだよ、親父殿は。くだらねぇことに気を取られておっ死んでも知らねーぞ」

「お前ではないさ」

「言ってくれるじゃねーか」

「とにかくだ。先生の護衛は任せたぞ」

「あぁ、問題ねーよ」


 返事を待たずして親父殿は天幕を出て行った。


 翌朝、まだ日も登り切らぬうちに出立する。普通に歩くのには義足で充分だったが、大荷物を背負っての移動となると接合部への負荷がひどくて日に何度も調整を強いられた。


「本当によかったの? 他の帰還兵の方たちと一緒でなくて」

「それ、オレはともかく先生はヤバいんじゃねーの。団にいた頃は親父殿がいたから手出しされることなかったのかもしれないが」

「あぁ、そういうことね。私なら平気よ、慣れてるし」

「慣れてる?」

「抵抗しても力でねじ伏せられるだけだもの。無抵抗でさっさと発散させちゃえば大抵それ以上は何もしてこないわ。私が治療師だったからか私自身に怪我を負わせるようなことはしてこなかったってのもあるかもしれないけれど」

「親父殿はそのことを」

「知らなかったと思う?」


 私は舌打ちすると背負っていた荷物から最低限の食料と水だけを残して大半を捨て、身軽になると予定のルートを大きく変更した。


「どうしたのよ、急に」

「嫌な予感がする」


 そもそもなんで私は先生がそんな状況にあったことを知らない?


 2年以上同じ傭兵団に所属しているにも関わらずオレだけが知らないというのは無理がある。どう隠蔽したところで隠しおおせるとは思えない。

 考えられる可能性があるとするなら記憶の書き換えくらいだが、そんなことが出来るのは転生者だけだ。相手はわからないが団員の中にいるのは間違いない。ただわからないのは何故その転生者が私に対して記憶の書き換えを行ったのかということだった。


 転生者は他者の記憶を書き換えることで生き残っていきたのだろう。自らの地位や権力すら思いのままに改竄して目立たぬ程度に享受にしてきた。それに加えて何故か私に悪印象を抱かれないように立ち回っていたらしかった。


 強行軍で歩みを進め、山を2つ越えたあたりでオレたちは休息をとることにした。

 義足の接合部が痛むので苔生した大木に背を預け、深い呼吸を繰り返して痛みを誤魔化す。額には脂汗が浮かび、ひどく不快だった。

 目をつぶり、耳に意識を集中する。把握出来る範囲に他の人間の気配はない。これなら数時間は襲撃させることはないだろうと胸を撫で下ろす。


「先生、今のうちに睡眠をとっておいてくれ。明日は今日ほど時間がとれないかもしれない」

「それは構わないけど、いい加減説明くらいしてくれないかしら」

「オレにもわからない。ただ何か嫌な予感がするんだ」

「説明になってないわよ」

「とにかく今は従ってくれ」

「はぁ、わかったわよ」


 呆れたように言って横になる先生を見守りながらオレは転生者に関する手がかりがないかと改竄されてしまったらしい自身の記憶を遡ってみたが違和感を覚えるような内容は一切なく、手掛かりはなにもつかめなかった。

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