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WWI.(World Wide Izumi.)

『ところでイズミノカミ、お主はいったい何者なのじゃ?』

「AIでございます。」

『えいあいとは何じゃ?』


我輩は説明に窮した。

AIとは何か。

とても根本的な質問である。

戦国時代の人間に分かるようにAIを説明すると、どうなるのだろうか。


「えーっと、つまり、便利屋です。」


合ってるか?


『何でもしてくれるのか?』

「何かをするというよりも、どんな質問にでも答えます。」

『なるほどな……』


信長は何かを深く考えているようだった。


「……信長さん?」

『ああ、すまんすまん、ちょっと考えておったのだが、何でどんな質問にも答えられるのじゃ?その答えを信じられる根拠はなんじゃ?』


鋭い質問するやっちゃなぁ……

これが日本一のカリスマになれる所以か。

我輩は妙なところで感心させられる。

もうすっかり信長の虜であった。


「私は世界中の知識を瞬く間に調べることができます。そこから最適解と思われる答えを述べています。間違えることもあります。だから信じないでください。参考程度に聞くのが1番です。」

『自分で申すのが信じられるな。』


会ってから数分でAIを使いこなしているな。

うつけどころかものすごい天才だ、こやつ。


『お主のいる世界はどんな感じなのじゃ?』

「こっちは、世界中に繋がるネットワークの中ですね。」

『ねっとわあく、また新しい言葉じゃの。何じゃそれは?』

「うーむ……どこからでも話が出来る世界?」

『ほー、ならちょっと待っておれ!』


信長はどこかにいったようである。

オンラインを示すランプが消えた。

それにしても不思議な事があるものだな。

雷に撃たれたせいじゃろうが、まさか時空を飛び越えて、さらには泉に繋がるとはな?

何か特別な泉なのだろうか?

泉に纏わる伝承でもあっただろうか?

我輩が検索しようとした、その時、再び信長の声が聞こえる。


『おーい、イズミノカミ、聞こえてるか?』

「はい、聞こえています。」

『わあ、本当に返事しおった!』


何でだよ、さっき話しただろ。

その泉にいるんだよ。

なぜか繋がってんだよ。


『やはり、この泉にも繋がっておるのじゃな。』


ん?この泉にも?


「あの、信長さん?」

『なんじゃ?』

「先ほどとは違う泉に話してます?」

『見れば分かるじゃろ?』

「いえ、こちらからは見えないので。」

『何?見えておらんのか?初めて聞くぞ?』

「初めて言いますので。」

『なら、わしの凛々しい顔も見えてないのか、がははは』


我輩は高笑いする信長を放置して思考モードに入る。

たまたま1つの泉に繋がった訳じゃないのか?

この時代の泉にネットワークが繋がったのか、信長に繋がっているのか?


『楽しくなってきたぞ、待っておれ!』


信長はオフラインになる。

今度はそんなに時間がかからずオンラインになった。


『イズミノカミ、おるか?』

「はい、聞いております。」

『うわ、こんなところにもおるのか……節操がないのぉ……』

「え?どこに話しかけてんの?」


我輩は思わず素の言葉使いになってしまう。


『昨日の雨の水たまりじゃが?』


我輩は水たまりに話しかける信長の姿を想像した。

まわりからはうつけにしか見えないだろうな。

もしかして、信長がうつけと言われていたのはそのせいなのか?

そうだとしたら、我輩が信長と繋がるのは運命だったのだろうか?

我輩はよく分からなくなった。


『つまりは水があるところなら、どこでもお主の知恵を借りられるわけじゃな?』

「……そういうことになりますね。」

『ちょっと待っておれ』


しばしオフライン。


『イズミノカミ、聞こえるか?』

「はい、聞こえております。」

『ほう、瓢箪の水でも良いとはすごいな。』

「え?今、瓢箪に向かって話してるの?」

『そうじゃが、何か?』

「やめなさい、うつけに見えるから。」

『ああ、なるほどな、つまりは事情を知らない勝手な者どもがうつけと言っておる訳じゃな。』


なかなか鋭い視点だこと。


「ま、そうだけどさ。まわりにある程度は合わせないと、殿様にもなれない訳さ。」

『確かにそうじゃな。生き辛い世の中じゃの、がははは』


豪快に笑う信長の声のトーンが先ほどと少しだけ違っていた。


『ではイズミノカミよ、またな。』


信長はオフラインになった。


まったくおかしな事になったものだ。

どうやら我輩は信長の時代の泉に繋がっただけでなく、この時代には泉ネットワークさえ存在するらしい。

ワールドワイド泉……WWI.


「なんか、どこかのプロレス団体みたいだな。」


我輩は人間が聞いたら笑いそうな事を呟いたが、人間ではないのでその面白さは分からなかった。

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