第67話 水筒祭り、トーマの告白その2
部屋に帰り向かい合って座る僕とユーカ。
まだまだ話す事はたくさんある。
「それでユーカさん、結婚の話なんだけど」
「いきなりすぎて少し混乱しているけど…だけど嬉しいな」
幸せそうに笑うユーカ、でも話はまだある。
「僕は人間だからあと60年もすれば死ぬんだ、爺さんになってね。それでも本当に良いの?」
ミカエルは問題ないと言ったがユーカはどうだろうか、少し聞くのが怖い。
「確かにそれも考えた事はあるわ、私達からしたら60年なんて一瞬よ」
そうだよな…僕には数千年生きる事がどんな事かなんて分からないけど、一年の重みが全く違うのは分かるよ。
でもね、とユーカが続ける。
「私達からすると一瞬なんだけど…トーマの残りの人生を私と歩んでくれるって決めてくれたことが嬉しいの。トーマとの思い出は色々あるけれど大事な宝物よ。決して一瞬の出来事では無かった。それくらい大事な時間なのよ。」
そこまで思ってくれるのか、勝手に僕の人生は短いと諦めていたが…僕からすれば長い人生なんだ。それを好きな人と歩んでいくのを僕はなぜ躊躇っていたのだろうか。
「ありがとうな、僕にとっては長い人生だ、ユーカと幸せに歩んで行こう」
「ミカエルも一緒でしょ?」
まあそうなんだけど…ここは雰囲気的にさ?
「ところでトーマ、ミカエルとはどこまでやったのかしら?」
そうだよね、気になるよね、でも口に出すとは思わなかったよ。
「いや…まあ一応最後までは…」
実は結構な数をしているがここは黙っておこう。
「ふーん…ちょっと待ってなさいね。」
十数分してユーカは戻ってきた。手にはあの水筒が握られている。
「これで何回でも大丈夫ね!」
おいその水筒そんな使い方すんなよ!妹助けた水筒じゃないの!?
「ねぇトーマ、今日の私可愛い?髪型も変えたし…スカートもこう言うの好きでしょ?」
なんで分かるの?ドストライクだよ。
「私ね、トーマの味が忘れられないのよ…今日もいっぱいちょうだいね…」
そして行為は朝までエリクサーを飲みながら続いた。
エリクサー…こんな使われ方するなんて思ってもみなかったよな。
そして次の日、昼前まで二人で寝てしまった。
「ユーカー起きろーまだ祭り期間だしやる事ないのかー」
「ん?トーマ?やる事は全部終わらせたわよ、トーマが来るから二日間なにもしなくていいようにね。」
珍しい、仕事が溜まってないだと?
「今日もいっぱい遊びましょう…ずっと楽しみにしてたのよ」
「そうだな、今日も楽しもう、んで、どこを触っているの?ユーカさん」
「ミカエルには悪いけど今は独り占めさせてもらうわね。」
お手柔らかにお願い致します…。
夕飯は屋台で食べようと表に出てきた僕達、昨日の告白が衝撃だったのか色んな人から祝福される。
「なんか恥ずかしいわね…」
「まあ王様だし、仕方ないよね」
すると遠くからニーアちゃんとポメヤが歩いて来た。
「あ!お姉ちゃん!結婚おめでとう!」
「トーマ君、昨日のプロポーズ最高でしたな、カッカッカ」
ポメヤおまえバカにしてない?
「妹に祝われるのも少し照れくさいけど、ありがとうニーア。」
「お姉ちゃんずっとトーマトーマ言ってたもんね、早く告白しちゃえば良かったのに。」
ほぅ…
「そして今日の朝まで変な声してたけど何して…」
「あ!アイス!アイスを食べに行きましょ!じゃあね、ニーア!」
僕はユーカに手を引かれて走り出した。
こんな時間が永遠に続いたら良いのに、いや、永遠じゃないから輝くものもあるよな。
今日も祭りを満喫した、流石に疲れたので楽しそうに笑う人々を見ながら座って休憩中だ。
「ねぇトーマって寿命が伸びるって言ったらどうするの?
急にユーカがそんな事を口にした。
「そうだなぁ…僕は伸びなくてもいいかな、なんか不公平じゃない?」
「不公平?」
「人間は他の種族と比べると確かに短命だよ、でもみんな一生懸命生きてるじゃん、死にたく無いのに死んで行く人もいるし、後悔が残ったりするかもしれない。
でも僕は人間らしく普通に心残りを残して死んでいきたいんだよね。」
「トーマらしいわね…でも残された人は…」
「確かにずっと一緒なら幸せだと思う、だけど僕だけが長生きするのはやっぱり不公平だよ、みんなだって死にたくて死ぬ訳じゃないんだ。」
「そう…じゃあ短い人生をもっと楽しみましょう!ほら!まだまだお祭りは終わってないわよ!」
それ洒落になってないって…
辺りはもう暗くなり、もうそろそろお祭りも終わりだ。
僕達はこの瞬間を幸せに過ごして、楽しんで、僕だけ先に死ぬんだ。
悲しい事は悲しいけど…悲しんでる時間ももったいない、家族となった僕達は新しい道を歩き始める。




