第64話 コロシアム
獣王の町に到着したトーマとポメヤ。
色々あったがミカエルを加えてコロシアムに到着。
するとミカエルは出場すると言い出した。
「え?良いよ別に無理しなくて…なんか惑星とか壊しそうだし…」
「やめた方がいいですぞ…なんか共犯者とかなりそうだし。」
「大丈夫です!手加減しますから!私の実力見せてあげますよ!」
手加減して実力見せるの?相手に失礼じゃない?
ミカエルは静止を振り切り受付を済ませてしまった。
「なんかすぐ試合できるそうですよ、ちょっと行ってきます!」
でも最強クラスって名前からしたらもう最強なんじゃないの?ミカエル怪我しないといいけど…
僕達は入場券を買い、コロシアムの観客席に歩いて行った。
「観客も怖いな…」
「まあそういう町ですぞ」
観客も歴戦の勇士や悪の親玉みたいなのばっかりじゃん、スカウトとかしに来てんの?
『それでは最強クラス!第一試合を始めます!』
オオォと歓声があがり、ミカエルが入場してくる。僕達に手を振って余裕そうな感じだ。まあ実際余裕なのだろう。
『初出場の天使族!ミカエル選手です!謎に包まれた天使族の実力、果たして通用するのでしょうか!?』
ミカエルは少しムッとした。過小評価された事が気に障ったのだろう。
『そして迎え打つはコロシアム始まって以来無敗!対戦相手をエサだと思っているこの凶悪な魔獣!ヨルムンガントです!』
はぁ?なんだあの馬鹿デカい蛇は、ふざけたサイズだ、コロシアムの入り口から頭が出てから全身が出てくるまで一分弱、大丈夫なのか?不安になってきた。
『この蛇の魔物は完全再生能力持ちです!ミカエル選手は逃げ延びる事ができるのか!試合開始です!!』
開始の合図と共にヨルムンガンドがミカエルに飛び掛かる、なんだあのスピード、あんなに早く動けるのか。
ミカエルはフワッと浮き上がり、攻撃を躱わす。
ヨルムンガンドはミカエルを追い回すが触れる事もできずにいる。
『おおーっとミカエル選手!逃げるのに手一杯といった感じか!?ヨルムンガンドは執拗に追い詰めるぞ!
』
おいなんだあの実況、ミカエルは避けてるだけだ、贔屓しやがって。
「ミカエルーそろそろやっちゃっていいですぞー!」
ポメヤが叫ぶとミカエルはこっちを向いてウィンクをした。あれ、可愛い。
「ミカエルーやっちまえぇ!」
僕の声も届いたのかミカエルはまたこっちを向いて手を振っている、おい、お前よそ見ばっかしてると…
『ヨルムンガンド!ミカエル選手を捉えたぁ!もう逃げられないぞぉ!このまま食事となってしまうのか!?』
「ミカエル!!」
僕が叫ぶとミカエルに巻きついたヨルムンガンドの顔色が変わった。
「こんなヘビに負けるわけないじゃないですか、演出ですよ、演出」
ミカエルは巻きついたヨルムンガンドを両手でこじ開け、難なく脱出した。
『どういう事だ!全く効いていないぞぉ!ヨルムンガンドは手加減して遊んでいるのか!?』
「あとさっきからあなたの実況、聞くに耐えませんね、蒸発したいんですか?」
『い、いや、あの…すみません。』
「もう遊びはお終いです。エターナルグレア。」
ミカエルが聞いた事もない魔法を唱えると、ヨルムンガントが光に包まれ…包まれ…
ん?包まれ続けるの?
初めはヨルムンガンドも暴れていたが、少しして怯えるように丸くなってしまった。
ミカエルが魔法を解くとミカエルから逃げるようにコロシアムを出て行ってしまった…
『き、決まった?決まりました!勝者!ミカエル選手!」
オォォオオという歓声に見送られ、ミカエルは選手控室に戻った。数秒後僕の隣にいたのだが。
「お疲れ様、ミカエルはすごいな、何だったの最後の魔法」
「カッコよかったですぞー!エターナルなんとか!」
「エターナルグレアですね、アレは永遠に眩しい魔法です。目を瞑っても眩しいので普通なら動けなくなります。」
「ずっと太陽を見続けるみたいな?そんなの失明しないか?」
「一応試合なのでそこまではしませんよ、ギリギリです、怪我させてもアレなので戦意喪失させるならあれくらいでちょうどいいですよ。」
「実際避けようがないし凶悪な魔法ですぞ」
「しかしミカエル、そのミニスカートで飛び回るとその、色々見えるぞ?」
「なんですかぁ?気になっちゃう感じですかぁ?大丈夫ですよ、トーマさんにしか見えない角度で飛んでるので。」
まじ?器用なもんだな…
「あ、次の試合の時間だ!行ってきますね!」
次の試合もその次の試合も圧勝だった。本気出せば1秒もかからないのだろうがちゃんと客席を沸かせていた。
余裕そうなので見ている僕達としても安心できる。
そして決勝戦、ミカエルはいつも通りフワフワと入場した。
『連戦連勝の慈悲深い天使!ミカエル選手の入場だぁ!美貌もさることながら強さも一級品!このまま優勝してしまうのかぁ!』
実況も流石に心を入れ替えたか。
『迎え打つのはドラゴン族!紅蓮選手だぁ!ヨルムンガンドに唯一黒星を付けられた戦闘狂!その試合も長引いた末の判定負けなので実質無敗!』
いやいや負けてるよ、実質ってなんだよ。
でもドラゴンかぁ、強そうだしかっこいいな…
『それでは試合!開始!』
「ちょっと待ったぁぁああああ!」
開始のゴングの直後に少女がコロシアムに飛び出した。
ランカか?何してんのアイツ、死ぬよ?いや冗談抜きで。
「お前かうちの父ちゃんをボロボロにしたんわ!あれから父ちゃん歩けへんくなって酒ばっか飲みよる!お前が弄んだせいや!ぶっ殺したる!!」
「はぁ?お前の父ちゃんなんかしらねぇし、あぁ、この前ボロカスにしてやった黒豹の子供か?アイツ弱かったなぁ、降参できねぇようにして瀕死まで痛ぶってやったぜ、逃げられねぇように足も折ったっけか?傑作だよなぁ」
クズじゃん…ミカエルさんやっちゃって良いよ。
「許さへん…死に晒せアホンダラぁ!!」
ランカは猛スピードで突っ込んだがヒラリと躱され、振り返り様にボディに拳が突き刺さった。
「遅すぎるんだよなぁ…」
そのまま腕を掴んで数回地面に叩きつけられた後に壁に投げつけられた。
腕も足も変な方向に曲がっており、目からは涙が流れ落ちていた。
「父ちゃん…仇とれんかったよぉ…」
やりすぎだ、いくらなんでも酷すぎる。
ミカエル…僕はソイツを許せないよ。
ミカエルはいつの間にかランカの正面に立っており、ヒールをかけていた。傷が塞がったランカを観客席に運び、
「大丈夫です!私が倒しちゃいますから!」
とランカに向けて笑顔で言ってみせた。
「おいおい!天使様は優しいなぁ!早く始めようぜ!強いんだろ?」
「次の瞬間ミカエルの拳が紅蓮の腹に突き刺さっていた。」
グ…と声にならない声をだしたグレン、咄嗟に反撃したがもうミカエルはそこにはいない。
「あのー遅すぎるんですよね、トカゲってそんなに遅いんでしたっけ?」
「おい…お前…死んだぞ…」
紅蓮の身体が数倍に膨らみ、完全なドラゴンの姿になった、今まで人型で十分だったって事か?」
「あのートカゲが羽付きトカゲになってもどうしようもないと思いますよ、バカそうだし」
ミカエルさん煽るじゃん、やっちゃえやっちゃえ。
紅蓮は火を吐き、物凄いスピードで飛び回ったが全く相手になっていない、本当に強すぎるよね。
「そろそろ終わりにしますか?あと何もないでしょ?」
「なんなんだよお前…天使族って言ってもここまで強いなんて…」
「いやバカですか?私ミカエルですよ?大天使に決まってるじゃないですか…」
ん?大天使って何?僕もバカなの?
「大天使!!?なんでお前みたいなのが地上にいんだよ!神話級の種族じゃねぇか!」
「まあそういう事です、はい、プリズムランサー」
無数の七色の槍が紅蓮に向かって飛んでいき、逃げる事も諦めた紅蓮は身体の至る所に槍が刺さり倒れた。
「死にはしないです、まあ試合なので。」
会場はこれでもかというほどに沸き、ミカエルは僕達の元に戻ってきた。
「勝ちました!優勝です!可愛がって下さい!」
僕は抱きついてくるミカエルの頭をヨシヨシと撫で、気になった事を聞いてみる。
「あの、天使と大天使ってなに?」
「え?知らないんですか?天使の上位互換が大天使です、私はその中でも2番目くらいに強いですよ?」
「大天使は大天使ですぞ、普通の天使はそこまで強くないんですぞ。」
お前さっきまで知らなかったじゃん。
なるほどなぁと聞いているとランカがやってきた。
「ホンマにありがとうな…これで父ちゃんも報われるわ…手潰して悪かった…」
「もういいですよ、あとあなたのお父さんはさっきついでに治しておいたので帰ったらピンピンしてると思いますよ」
「ホンマか?良かった…ありがとうな…」
ランカはまた泣き出してしまった。
まあ熱い町だったな、もう来たくはないけど…
「そろそろ帰りましょうか、せっかくだしラクダも一緒に送って行きますよ、往復になっちゃいますけど。」
「いいの?助かるわー」
先に軽いポメヤちゃんと重いラクダを運びますと行って王都に運び帰ってきたらミカエル。
「せっかくなのでウチで少し休憩しましょう!」
なんでミカエルの家に?なんで?
ミカエルの家に拉致されてお茶を貰う僕、本当になんで?
「あの、私頑張ったし久しぶりに戦闘して興奮したんで!よろしくお願いします!」
そのままベッドに連れていかれまた枯れるまでミカエルの相手をさせられるのだった。
しかしあのオモチャってすごいなぁ…
もう何回目か分からないくらい致した後にグッタリしているとミカエルが僕の胸に顔を埋めてきた。
「あの…」
「いやもう無理だよ?流石に」
「いやそれも良いんですけど…トーマさん…私はあなたが好きです…。結婚して貰えませんか?」
え?




