第46話 種族ごちゃ混ぜ、宗教の町
「全くやる事がないな」
ハルモニア王国、僕が考えた国の名前。
正直名前が決まったと言っても変わる事は特に無く、結局仕事は無いのだ。
「まぁまた視察に行くですぞ、暇じゃん、頭に来るよ」
そこまでじゃないだろ。
でもまぁ確かになぁ、そこにキリカさんがお茶を持ってきてくれた。
「ヒマそうですね…お茶飲んで漫画でも読んだらどうです?」
いや漫画も良いんだけど…
以前旅したフェニックスの町の五人の住人と一緒に作った漫画文化。
最初は冒険譚とかだったのに今では大体アダルトな、言ってしまえばエロ漫画が大半を占めてしまった。
みんな好きだよな…
一応真面目な漫画もあるのでそれは楽しみにしているが、ほとんど読んでしまったんだよな。
「キリカさん、どこか良い町ない?そろそろラクダに乗って旅したいんだけど…」
「それなら見てきて貰いたい町があるんですよ、新興宗教の町が出来て、色んな人が行ったっきり帰ってこないってウワサがあって…」
「宗教ですぞ?この国にそんなもんあったの?」
「ないですね、それぞれ信仰する神とかはいますけど表立って宗教っていうものは前の国王が禁止したので」
なるほど、神なんかより俺を崇めてろって事か、帝国が滅んで自由になったから立ち上がった宗教って話ね。
なんか楽しい感じじゃないけど行ってみるか、面倒な事になる前に釘を刺しておこう。
ハルモニア国王としてね!
早速準備をする事に。
この間フェアリーの国でコアちゃんを助けた時にエリクサーを水筒に入れて来たんだ。
毎回フェアリーの国に取りに行くの結構手間なんだよね。
「ラクダぁー、水飲んだかー宗教を撲滅しに行きますぞ!」
おいそんな事言ったら町に熱線吐いちゃうだろ、前国王と変わらないぞお前。
王国からそこまで遠くないらしく、ラクダの足なら二日くらいらしい。
「しかし宗教かぁ、どんな教えなんだろうな」
「多種族をまとめるって結構不可能ですぞ、無理無理、やってらんねぇって感じ。」
「それでもやってるんだよな…きな臭い感じだ」
特に何もなく町に到着したんだけど…なんかこの感じ…
「ゴミ共が、許されないですぞ!」
町の住人のほとんどが酒臭い、この匂いは昔嗅いだことがある。
帝国がエルフの町に蔓延させた麻薬、その匂いだ。
とりあえず情報が欲しい。ちょうど近くにいた猫族の女の子に声をかけてみた。
「この町の宗教に興味あるんだけどどこ行けば入れるの?」
「わぁ!教祖様の噂を聞いて来たんですね!私が案内します!案内するとポイント貰えるんですよ!」
「ポイント?なんですぞ?あと宗教の名前はなんなん?」
「私達の宗教は「天国波動パワー協会」ですよ、ポイント制でポイントでありがたいお酒をもらえるんです!」
なにそのすげぇバカな名前、語感が良いのが腹立つな。
「す、すごい良い名前だ、是非案内して欲しいな!」
「宜しくですぞ!あーパワー協会かぁ!そうきたかー」
数分で着くらしく女の子はウキウキで案内してくれた。
女の子の名前はタマ、すごく分かりやすくて助かる。
道中色々情報を貰ったが、これ絶対バカが作ったろって感じ。
『天国波動パワー協会の教え』
みんな楽しく暮らせる世界の創造を目的とした協会である。
ポイントを貯めてありがたいお酒を飲むと幸せになれる。
ポイントの貯め方は数多くあり、新規加入者を勧誘しつれてくる。
教祖様のお世話をする。
教祖様に害をなす者を倒す。
協会に金品を奉納する。
などなど、ポイントを貯めてありがたいお酒をいっぱい貰おう!というスタンス。
「いやぁ…素晴らしいよほんと…」
「タマちゃんは結構長くここにいる感じですぞ?」
「私は来たばっかりだよ!たまたま通りかかったら町の人に勧誘されてお酒を分けて貰ったの!すごい美味しくて幸せになるんだよ!」
この麻薬は中毒性が高いんだ、しかし酒と言われれば酒にしか見えない、絶妙のバランスで出来た麻薬だ。
「あれです!あそこがお酒貰えるところです!」
まあそうなんだろうけど…協会の本部は真っ白な建物で二階建て、窓が無く明らかに怪しい。
タマがカードのようなものを通すとドアが開き、中には数人の信者が待機していた。
「新規で入りたい人連れてきました!」
「あなたは…最近入会したタマさんですね、ご苦労様です。ポイントはカードに入れておきますので自由にお酒と交換して下さい。」
じゃーねーと手を振ってタマは帰っていった。
なんか思ったほど重い空気の宗教ではないけどまああの麻薬を使うなら容赦はできないよね。
「あの、僕はお酒飲めないんですけどこのチビがどうしても幸せになるお酒飲みたいって言うもんで来たんですけど…お金の寄付で良いならそれ相応の額を…」
「あなたは飲まないんですか?ハッピーポーション」
ハッピーポーション?知能ないの?
「ハッピーポーション飲みたいですぞ!お金いっぱいあげるから!あと教祖様にも会ってみたい!」
「いきなり教祖様に会うのはちょっと…ちなみにおいくらくらいですか?教祖様に会えるには御奉仕のポイントをもらう人と多額の寄付をした人ですが…」
「多額というとどの程度ですか?」
「人によっては数百万ベルを寄付する人もいますが、失礼ですが貴方達ではそんな大金…」
「カードで払いますぞ、10億ベル、即金で」
僕達はギャンブルの町で1520億ベル稼いでいる、もう何に使うのか自分達でも分からない。
金額照会の機械にカードを通し、残高を見せると信者の顔色が変わった。
「しょ、少々お待ちください!今教祖様に確認致します!それまで奥のお部屋でお待ちください!
まあこんなもんだよな…バカが作ったバカ宗教なんて…
数分後、教祖様がお会いになると伝えられる、更に奥の部屋に通された。
ドアの先には真っ白な衣を纏った教祖がいる、その傍らには半裸の美女達…これはこれは…
「多額の寄付をしてくれるって聞いたよ!いやぁ信仰心厚いじゃんか」
こんなのが教祖?金髪のチャラいオッサン、これに尽きる。
人族だな、なんかもうぶん殴りたいよ。
「寄付しますぞ!酒作ってるところに案内してよ!もう源泉から飲みます私。」
「それはちょっとなぁ、結構秘密だしなぁ」
「500億ベルでも?別にダメなら帰ってもいいですぞ」
「ご、ごひゃ?……特別だからね!付いてきてよ!」
地下への隠し扉を通り階段を降りると酒の噴水がそこにはあった。
「帝国が滅ぼされてこの町に逃げてきたら偶然見つけたんだよねコレ、国家機密の麻薬でもう製造出来ないんだよね、いやぁ運が良かったよ!好き放題色んな女の子と遊べるしお金はいっぱい入ってくるし。」
「そんな事喋っていいんですぞ?宗教って事にしてるんじゃないの?この酒実際味は良いですぞ。」
ポメヤは酒に飛び込んでプカプカ浮いている、まあお前毒無効だしな。
「別に良いよぉ、だって君達ここから帰す気ないしね、お金は貰うけどさ。」
「まあそういう流れになるよね、バカが考える事ですぞ、分かりやすい。」
僕達はいつの間にか囲まれており、出口も塞がれた。
「お前らーコイツら殺したら好きなだけこの酒飲んでいいぞー、さっさとやっちゃってよー」
「その酒はもう無いんだけどね。」
「は?何言っちゃってんの?」
教祖は噴水を見たが赤い噴水は綺麗な水に変わっている。
ポメヤは飛び込んだ際にフェアリーの国から持ってきたエリクサーを噴水に混ぜており、中和が進んで綺麗な水の噴水にしたんだ、ザマァ見ろ。
「おい、おいおいおい…お前ら!コイツら殺すだけじゃ治まらねぇ!捕まえて地獄の苦痛与えてやるよ!酒はまだ俺の部屋にあるからそれの分働け!」
ウソだな、そんな酒ないんだろう。もう終わりだよ。
しかしそれを聞いた信者は臨戦体制だ、とっとと呼ぶか…
「あの、ミカエル?そろそろヤバいから来てくれない?」
僕は最近使いまくってる天使を呼び出した。
荒事になったらすぐ来てくれとこっそり連絡しておいたんだよね。
数秒後…
「あの、別に良いんですけど天使を簡単に呼びすぎじゃないですか?私だって仕事あるんですけど…」
「まあ良いじゃないか、この人達の目を覚ましてやってよ。天使っぽく」
「おいおいおい、なんだそりゃ…でも天使一匹でなにができんだ?こっちの駒は戦闘に特化した種族ばっかなんだぜ?」
「は?天使族の戦闘力舐めてますね?私達神様の次に強いですよ?」
いいぞーミカエルー
こんな宗教ぶっ潰せー
僕は少しミカエルの戦闘力が気になっていたのでこの機会に確認しておこうと思うのだった。




