第44話 サキュバスとの再会
夜中に散歩している時にふと以前立ち寄ったサキュバスの町の事を思い出した。
サキュバスは成人する前に性行為をしてしまうと狂ってしまい、永遠に精力を求めるようになってしまう。
その町でコアという未成年のサキュバスに出会い、そのサキュバスは帝国兵に犯され狂ってしまったんだ。
帝国が滅んだ今も夜の街で精力を求め続けているのだろう…僕達がもう少し早く駆けつけていれば…
サキュバスは精力を求める種族だがただ狂ったように異性を求めるのは違うと思う。
なぜ思い出したかというと僕は今そういう店の前に立っているからだ。
思い付きで足を運んでみたものの…コアちゃんの事を思い出して引き返そうとしたら誰かに声をかけられた。
「あれ?トーマさん?トーマさんですよね?」
振り返るとそこには…コアちゃんが立っていた。
「やっぱりトーマさんだ!お久しぶりです!」
ん?なんか普通じゃない?もっとこう…おかしかったハズ。
「コアちゃん…あの…」
「どうしたんですか?そう言えば王様になったんですよね!すごいなー、私も王城とか住んでみたいなー」
「コアちゃんさ、あの…なんか普通じゃない?前はもっとこう、精力の事で頭がいっぱいというか…」
「今もいっぱいですよ!トーマさん見てるとムラムラしちゃって今にでも食べちゃいたいです」
恥ずかしげも無く言うが、何か想像してたのと違うような…
「あ、あの時の事気にしてるんですか?別にもう大丈夫ですよ、運が悪かったってだけです。元々サキュバスは精力を求めますからね。定期的に精力を貰わないといけない身体になってるだけですよ。」
なるほど…サキュバスの町で最後に見たコアちゃんは精力が枯渇してた状態のサキュバスって事か。
「今はお客さんいっぱい相手したんで少しだけマトモでいられます!枯渇状態の私って結構人気あるんですよ」
まあそうだなぁ、あんな状態で迫ってくる美少女…人気にもなるよな…。
「でもやっぱり僕はあの時間に合ってたらって思っちゃうんだ、本当にごめん…」
「しょうがないですよ…でも今は怖い兵隊さん来ないのでラクチンです、たまにトーマさんも遊びに来て下さいね、トーマさんのミルクも搾り取っちゃいますよ!」
ペロっと舌を出すコアちゃん、反則級に可愛いが、やはり罪悪感が…
ん?ミルク?
あの国宝の水筒を使ったらどうなる?エリクサーだしコアちゃんも治るのでは?
なんで今まで気が付かなかったんだ。
病気だけじゃ無く状態異常も治る可能性あるだろ。
「コアちゃん!フェアリーの国に行こう!今すぐ!」
「え?え?なんでですか?駄目ですよお店もあるし」
「国王だから!大丈夫!その身体治せるかも!」
困惑しているコアちゃんの手を取り走り出す。
取り戻せるかもしれない!白馬の王子様に憧れていたあの清楚なコアちゃんを!
こんな時の為のアイツだ、ラクダでは時間がかかりすぎる。
僕は天使の国でミカエルに貰った石を取り出し、
「おーいミカエルー今来れるかー?」
数秒後、白い光と共にミカエルが舞い降りた。
「パンパカパーン!トーマさんが私呼ぶなんて珍しいですね!じゃあ天使の国にご案内しますー♪」
「いや!フェアリーの国に連れて行ってくれ!二人で!宜しく!」
「えぇ、私の事早い馬車かなんかだと思ってます?普通にショックなんですけど…」
「ミカエルにしか頼めないんだ!頼む!」
僕が頭を下げるとミカエルは何かを察したかのようだ。
「もう!行きますよー!また変なところ触らないで下さいね!」
ミカエルは僕達を抱えて猛スピードで飛び立った。
「トーマさーん!なんなんですかこれー!」
コアちゃん…申し訳ないが我慢してくれ…
フェアリーの国には数分で到着した、訳は後で話すとミカエルに言って僕はコアちゃんの手を引っ張ってフェアリーの国に入国。
そのまま絵を売っているお爺さんの元へ向かった。
「お爺さーん!水筒借りるよー!あと水も貰うからー!」
「おー久しぶりですねー、良いですよー好きに使って下さい」
コアちゃんは猛スピードの飛行と急にフェアリーの国に来た事で混乱している。
「コアちゃん!これ飲んで!落ち着くから!」
訳も分からずに差し出された水筒の水を飲むコアちゃん、少しして状況が理解できたようだ。
「え?性欲が暴走しない…なにか夢でも見ていたような…」
良かった…本当に良かった…成功した…
僕は気が抜けて座り込んでしまった。
「トーマさん、これって…」
僕は国家機密だからとコアちゃんに説明し、なんとなく事情を察したようでそれ以上聞いてこなかった。
店を出て空を見上げると、今の気分を表すような満点の星空だった。
コアちゃんにありがとうございますと頭を下げられ、原因は僕にあると頭を下げ、ぺこぺこ頭を下げあった後に何か可笑しくて二人で笑ってしまった。
「少し遅くなったしこの国に泊まっていこうか、部屋ならあるし」
「そうですね…もう夜ですもんね…少し怖いので手を繋いでいいですか?」
そんな提案を断る訳もなく、僕たちは王宮へ歩き出した。
そして王宮の執務室へ…
「おーいユーカーいるかー、今日泊まってくからー」
「何よ私は忙しいの!衛兵は何やって…」
「トーマじゃない!アナタが来るなんて珍しいわね!お風呂も沸いてるし部屋もそのままよ!ディナーは一緒に食べま…」
ユーカは僕と手を繋いでいるコアちゃんを見つめ…
「誰よその女ぁぁぁぁああああ!」
なんか前も同じような事あったな…そこからユーカに事情を説明し、一緒にお茶を飲んだのだが…
「コア、大変だったのね…でも治って良かったわね。それはそうと…いつまで手を握っているのかしら?」
そうか、流れで繋いだままだった、しかしコアちゃんは手を離してくれない。
「トーマさんには感謝してもしきれません…原因も私にあるのにここまでしてもらって…。」
コアちゃんは僕に近づき腕を絡めてきた。
「私の白馬に王子様なんです、トーマさんは」
えぇ、不味いですよそんな事言ったら。
「離れなさいぃ!ダメなの!トーマは白馬の王子様じゃないし!王様だもん!私も王様!一緒なの!」
「私の王子様なんです!もう決めたんです!私トーマさんと毎晩エッチな事するんです!!」
ちょっとコアちゃん、何言ってるの!
「そ、そんなの私だってまだ…でも出来るし!私だって一人で練習してるもん!」
もう隠さないよねユーカさん!
「ダメです!トーマさんの初めては私が貰うんですー!」
「そんなの…ダメったらだめぇ!」
「いや僕初めてじゃ無いんだけど…」
「「は?」」
そこから多少オブラートに包んでオークの村での事を説明するハメに…なんで僕はこんな事を…。
二人は残念そうにしていたがまあ男なんてそんなもんよねと意気投合していた。なんだかんだ仲良くなったのか?
一連の流れでクタクタになった三人はそれぞれの寝室で眠りについた。
ハズだったのだが…夜中にドアを開ける音で目を覚ますと布団に誰かゴソゴソと入ってくる。
コアちゃんか?と思ったが彼女は僕の部屋を教えられていない。
とすると…
ユーカが恥ずかしそうに布団から顔を出した。
そして小さな声で喋り出す。
「私達って王族なの、だからね…いくら好きでも簡単に声に出しちゃいけないのよ…身体を重ねたいと思っても我慢するの…」
国家の話になってくるからな…分からなくも無いよ。
「だから言わないの、いつか言うべき場所、言うべき時間まで言えないのよ…。でも抑えられない時もあるの…だから今日の事は夢の中の話よ…いい?あなたは夢の中にいるの」
僕は目を閉じて体の力を抜いた…
唇に何かが触れる感覚があったが夢なのだろう。僕はそのまま目を閉じていた。そのままユーカの暖かい体は下に移動して行き、布団を抜けて帰っていく…
もう寝よう…良い夢だったよ。




