第43話 グータラ三昧、フェニックスの町その3 漫画?BL?
フェニックスの町で漫画作成をする僕達。
トーマはやる事がないので王都に戻り不足品を買う事にした。
王城で漫画の試作品を披露したところまさかのBL作品が大人気となり、疲れも癒えぬままフェニックスの町に引き返す。
最初は一晩くらい休んでけって言ったくせに…
僕は風呂上がりに一休みする事なくラクダに乗りまたフェニックスの町を目指している。
しかしあのBL本、見せて貰ったけど結構、というかもう完全にアダルトだったよな…
僕は男だから分からないけど女の子は好きなのかなぁ…
シルバーの話も良いのに…なんか僕のヒーローがBLに負けたようで悔しい…
また数日かけてフェニックスの町に戻り、王城での出来事をみんなに話した。
「あのー結論から言えば大盛況だった。物凄い食いつきで続きを持ってこいと休む間も無く往復する事になったよ…」
「本当!?それは嬉しいな!どの作品だ?どの作品が人気だったんだ?」
ホムラは興奮気味に詰め寄ってくる。
「言えない言葉、僕と彼との距離…全員一致だ」
おおおっと歓声が湧く
「やっぱりあれだよな!」
「良いよねあれ!」
「好き…」
「最高ですよねー」
「うん…」
5人のフェニックスはとても満足そうだ。いや良いんだけどさ。
「BLってどこでも人気なんだなぁって思ったよ」
「BL?なんですかそれ」
僕はボーイズラブを簡単に説明し、全員うんうんと真剣な顔で聞いていた。
「全員分かったよな!今後シルバーと宿屋はそこそこに、僕と彼との距離を最優先で仕上げるぞ!」
「「「「おー!」」」」
え…シルバーの冒険は…姫と僧侶の三角関係は…なんでこんな事に!
「まあしょうがないですぞ、描きたいものを書く、それがありのままの姿ですぞ。」
「なあポメヤ君、恋愛なんて知りもしなかった女の子が急にBLなんて知るわけないよね?誰かから聞いたのかな?」
「僕はサキュバスの町で読んだ漫画の話をちょろっとしただけですぞ。ほんの少し、絵を教えてる間だけ」
お前ずっと絵を教えてたろ…お前か僕のシルバーを奪ったのは…
そして絵の師匠はもう辞めたらしい、それぞれの画風が固まったのでこれ以上手出しはしないとの事だ。
「じゃあ僕達は出来上がった物を読むだけだな、でも出来上がってくるのってBLなんだよな…」
実は宿屋の話のお色気シーンも大好きだったのに…くそう、BLめ!
数日僕達はダラダラ過ごし、その間は永遠にBL、たまにシルバーと宿屋を読んで過ごした。
「いやぁ恋の行方が気になりますな、もうそろそろクライマックスですぞ」
そうなんだよあのBL、面白いんだよ…話もよく出来ているし絵も上手い、アレなシーンはちょっとキツいがそれでも読んでしまう。
「おーい!感動のラストだぞー!」
待ってましたぁ!
僕とポメヤは並んで最終話を読んで…涙した…
BLを読んで涙してしまったが、それほどまでに感動的だったのだ。
「良かったですぞ…良かったですぞ…」
「そうだな…やっと報われたな…」
フェニックスには疲労の概念が無い、永遠に動き続けられるので筆のスピードは普通でも最終的にはとんでもない作業量をこなすのだ。
「シルバーと宿屋も仕上げるからな!一回読者に持っていってくれよ!」
そういえば全然帰ってないな…なんか毎日のこの生活が心地よくてダラダラしてしまった。
言ってしまえばすっかり忘れてた。
「じゃあ帰るですぞ!というか王都来れば?フェニックスみんな、別に王都で書けばよく無い?」
たしかに…別にここじゃなきゃいけない理由はないし、別に作業場兼自宅なんて王様権限でなんとでもなりそう。
「みんなで王都に引っ越す?そっちの方が沢山の人に読んで貰えるよ」
「いいですね、それ。」
「行く…」
「良いねー行こ行こ」
「早く行こう…」
「えー楽しみぃー」
案外すぐだったな…じゃあ荷物をラクダに積んで出発するか。
フェニックスの荷物は特に無かったのでそのまま出発、賑やかな旅になりそうだ。
道中は漫画のストーリーをみんなで話し合いながら進むワケだが…僕達は読者として楽しみたいのでなるべく聞かないようにして進んでいく。
なかなか歯痒さを感じる旅…新感覚だ。
道中は色々な事があった。
湖で水浴びをする事になり、先に僕とポメヤが入っているところに五人が乱入。
全員の身体の炎が消えて全裸の五人に囲まれた僕は不覚にも下半身が反応してしまい…全員に凝視されてその後スケッチされるハメに…
ポメヤはケラケラ笑っていた。度し難い。
そう言えばBLのベッドシーンも生々しい書いてあったけど…もしかしてあれのモデルって…
いつだ?絶対寝てる時だ、くそぅ…
他には魔獣に襲われた際にいつも通りラクダに頼もうとしたところ、クールキャラのクロが私に任せてと飛び出し、次の瞬間魔獣は炎に包まれ消し炭になった。
死なないでこの火力ってもうチートじゃん…
他にも五人がひたすらにラッキースケベを演じ、僕とポメヤの反応を見るという事もあった。
漫画のネタだろうが色々なモノが見えた、そして触った。楽しい日々だったよ。
そんなこんなで楽しい道中は終わりを告げて王都に到着したのだ。
そしてまず王宮に来たワケだが。
ユーカとニーアまだいたの?国大丈夫?
「おっっそいわよ!国の仕事どんだけ溜まったと思ってるの!」
知らないよ、帰れよ。
「続きが気になってずっと待っていましたのよ!」
いや帰って仕事しなよ…あとポメヤもいるよ、挨拶しなくて良いの?
「お待ちしておりました、はい、続きを出して下さい」
キリカさん…僕王様だよ…
「えっと、ただいま、その待ち焦がれた作品を書いたフェニックス族を連れて来たよ、しばらくこの町で描いて貰おうかと思って…」
全員後ろの5人を見て声を揃えて
「「「神様!よくぞおいで下さいました!」」」
王様の上じゃん…
その後5人は王城にアトリエと自室を与えられて漫画創作に没頭した。
ユーカ、ニーア、キリカは全員で新刊を読み漁り、ラストは全員涙していた。
良いよね!そのラスト!僕も好き!
「そのベッドシーンのモデルはトーマのですぞ」
おいバカ余計な事言うなバカ。
「え?これがトーマの?そうなんだ…ふ、ふーん」
ユーカさん、持って帰ろうとしないで下さい。
「ポメヤちゃんのは無いんですか!?」
ニーアちゃん、尻尾らしいっすよ。
「どこかで見た事あると思ったら…」
ん?キリカさん?ん?
それからは早かった、僕の提案でドワーフに活版印刷機の制作を依頼、モノクロで大量生産、図書館の一角に置かれた漫画は大好評につき販売を開始。
お金が無い人の為に図書館に漫画コーナーを増設し、どんどん新刊が追加されていく。
そのうちフェニックスに弟子入りする者が現れてどんどん派生作品が生まれて行った。
漫画は王都の娯楽として定着し、フェニックス達は文字通り漫画の神として君臨したのだ。
新しい娯楽は瞬く間に広がり、色々な種族の間でも大盛況らしい、国が盛り上がって嬉しい限りだな。
あ、ユーカじゃん、アイツ最近良く来るなぁ…何持ってるんだろ…
「おーい!ユーカー、どこ行くんだー」
「あ!トーマ!?」
「急いでどこ行くの?それ漫画の新刊?」
「え、あ、違わないけど…違う感じでもないわ!」
なんだろう、急に怪しい人だ。
「へーちょっと見せてよ、なんか気になるなぁ…」
僕はヒョイっと本を取り上げた
「ちょ!返しなさい!」
ユーカは妙に慌てているようだが…。
ユーカの手を払いのけながら確認したその本のタイトルは…
【僕の恋人は花の王】
中身をパラパラとめくってみると旅人とフェアリーの王とのラブロマンスだ、ちゃんとベッドシーンまで丁寧に描かれている。
「ユーカさん…」
「違うけど!?勘違いしないで欲しいんだけど!?ちょっとフェニックスにお願いして書いてもらった私のオリジナルよ!早く返して!帰って使うんだから!」
「使う?読むんでしょ?」
「あ、当たり前でしょ変態!」
ユーカは顔を真っ赤にしながら走り去っていった。
ユーカって普通にスケベだよな…。
部屋に帰るとポメヤはソファで項垂れていた。
「どうしたんだ?コンニャクみたいになってるぞ?」
「あぁ…今日ニーアちゃんが何か本を持っていたので気になってしまって…、会話の途中でヒョイっと取り上げたんですぞ…そしたら小さい魔物の尻尾でズボズボするフェアリーの王女の話で…」
なんか最近自重しないよね、あの姉妹。
「気分転換にどこか視察いくか…」
「ですぞ!こう、身体を動かしてスッキリするのも大事ですぞ!」
こうして僕達は明日旅立ちを決意した。
この国の漫画は最高よ!
男同士でのラブロマンスが有名なんだから!
シルバーの冒険譚も良いの!
カップリングを考えるのをやめられないんだから!




