第38話 お片付け、からの新しい仲間
『今日は王の奢りで宴会せよ。』
戴冠式の後に会場が湧いたこの提案で国民が好き放題にお金を使い、王城にはどんどん請求書が届いた。
中には「え?これも?」みたいな物もあったけど必要だったのだろう。
日用品や家具などの請求書も来たがそれも払う。
「良いんですか?絶対に宴会に関係ない物も混じってますよ。」
請求書をまとめているのはスライム族達、一応王城に住んでいるのだが暇なので色んな仕事をしている。
僕が言い出しっぺなので率先して手伝っているが、種族ごとにまとめて来ているのでそこまで大変でもない。
「良いよ、僕が勝手にやった僕達のお祝いみたいなもんだ、請求書が来た分はちゃんと払うよ。コレはダメとかやってたらキリないし。」
「とは言っても…人形だのオモチャとかまで…」
「酒を飲めない子供にプレゼントだと思う事にする、良いんだ、払うったら払うよ。僕とポメヤがね。」
ポメヤはニーアちゃんと端っこで遊んでいる、まあ邪魔しないだけマシか…。
結局合計で…9億ベルくらいか…案外安いな…
「ポメヤー9億ベルだってよー」
僕は積み木で遊ぶポメヤを呼び出す。
「あの積み木って面白さが分からんですぞ、でもあるとやっちゃうんだよなぁ…」
「とりあえず9億らしいぞ。まあ僕が出してもいいけど。」
「いや、僕が出しますぞ、使い道無いもん」
適当に億単位の金をポイポイ出す僕達をスライム族は不思議そうに見ている。
「あの…お二人がお金持ちなのは分かったんですが…この城にもお金とか宝物が大量にあって…そこから出しても良いですけど…。」
確かに帝国の王城だもんな、でもそれって結局みんなの税金だし本末転倒だ。
そういえばこの国って他国とは交易とかしてたのか?
ちょっと後で調べればいっか。
というか…急に帝国が崩壊しちゃったから財政状況とか誰も分からないよなぁ…
「ちなみにこの国の内政とか財政関係とかどうなってるの?」
「一応私達が主に滅ぼしたようなものなのでなんとかやってますよ。国と言ってもそれぞれの種族の町が集まってるだけですし。
ただ帝国の土地ってだけで税金取られていただけっていう…」
「確かに訪れた町はそれぞれの文化があったな、もうそれぞれ国にしちゃえばいいんじゃ無いの?」
「それでも良いですけど、一応大国の中の町っていうので今までやって来たので変に混乱させてもいけないというか…」
確かに急に自由に建国して良いよ!って言われてもって感じだよな。考えたくは無いけど野心を持つ種族が第二の帝国になりかねない。
「僕達は結局手を出さない方が良いですぞ、知識も無いのに権力だけ一丁前にある状態なんだから。」
そうだな、変に口出しちゃうとロクな事にならない気がする。ここはなんちゃって王様で良いだろう。
ん?
じゃあ僕達は本当に何もする事ないな…
別になりたくてなった王では無いけどここまで何もしなくて良いものだろうか。
「あの、僕たちって本当に何もしなくていいの?」
スライム族のキリカさんに声をかけてみる。
「そうですねぇ…行った事ない町にでも行って様子見て来たらどうです?一応自分の国ですし…旅したいとか言ってましたよね」
前とやってる事変わらないなぁ、でも確かにそうだ。
町を回ろう、そして困ってる人がいたら解決しよう。
僕は少しだけ力を持ったんだ。解決できる幅も広がってるはずだ。
「視察ですぞ、これは馬車なんかあっても良いかもしれないよ、僕様の馬でも。」
「僕馬乗れないけど?」
「それでしたら帝国で飼っていた魔獣がいますよ。騎乗用の魔獣もいるかも、見て来たらどうですか?奥の方にそれ用の飼育場があります、みんな可愛いですよ」
スライム族で世話もしているらしく、良く懐いているらしい、期待できるぞ
「馬乗りたいですぞ、もう僕にふさわしい感じの」
その短足で乗れるワケないだろ、咥えてもらう気か?
そして僕達は飼育場に来た訳だが…
「馬っぽいのすらいないですぞ…なんか二回攻撃とかしてきそうなのばっか…」
確かにこれは…魔物だし仕方ないが…
元いた世界で見た事がある動物を凶悪にして二回攻撃できるように改造したような…SPの概念がありそうだ。
巨大な灰色のバッタ
大ムカデ
胴体の長い猪
牙の数がおかしいゾウ
邪悪なウーパールーパー
世紀末みたいなラインナップだな…。
ポメヤはスタスタと奥の方に進んでいき、
「この子いいですぞ!早そうだし性格も良い!」
そう言ってポメヤが指差したのは…ラクダか?
確かに他の魔獣に比べたら普通だ、普通すぎる、絶対何かあるだろ。
「この魔獣は確か熱線を吐きますぞ、かーっこいいんだからー」
ポメヤの説明によると背中のコブに熱を集めておいていざと言う時に熱線を吐くらしい。
「火じゃなくてか?熱線って言われてもピンと来ないんだけど」
試しにやって貰うですぞとポメヤは柵からラクダを出し、一本の木に向かって熱線を吐いてくれとお願いしている。
ラクダは二回頷くと口を開き…
次の瞬間…木の真ん中当たりの数十センチが消失し、大きな音を立てて倒れた。
なんだ今の…ビームじゃないか…しかも見えないし…
熱で空間が歪んでるのは見えるが早すぎるしどこまで飛んだのか分からない。
「かっこ良いですぞーやってやったぜー!」
いつの間にかポメヤは背中に乗って走り回っていた。
まあ自己防衛くらいって考えておけば、アリかな。
「おーい僕も乗せてくれー」
声を聞いてラクダが走って来た、かなり賢い。前足をついて屈んだので背中に乗ってみた。
「おおー高い!しかもそこそこ早い!」
乗りごごちは良く、馬車より全然早い、コイツで決まりだな。
「名前どうする?見たところ名前無いみたいだけど」
「なんかトーマがさっきから言ってるラクダって名前が気に入ったらしいですぞ。」
ラクダが嬉しそうに首を振っている。まあ良いなら良いけど。
じゃあラクダと一緒に視察に行くか!
僕たちに新しい旅の仲間が加わったのであった。




