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EP.14 空中訓練③

妄想主題歌(右クリック→移動 または、コピペでお願いします)

https://youtu.be/OahpETEBXxc


 全員、2回まで失敗できるチャンスがあり、成功する限り、最大5回までチャレンジができる。


 この後もディナードは一度も成功できず、ソボルとミロとマイルズは3回目でようやくクリアしたが、4回目に失敗してチャレンジが終わった。


 ロコは2度目のチャレンジで体力の限界を迎えた。都度、サポート要員に回復魔法をかけてもらってはいたが、気休めレベルの回復でしかなく、棄権した。力自慢な人間は、持久力には難がありがちだ。


 残りはジゼルとハーディーとグライフのみ。


 ジゼルは2回目以降、一度は失敗してしまい、その後の2回は失敗しない事を気にし過ぎて結果が悪くなったが、ラスト1回で15秒72という好記録を出して終了し、温かい拍手で迎えられた。ジゼルはハーディーに負けて悔しい気持ちもあったが、やり切った清々しさで笑顔を見せた。


 ハーディーは一度も失敗しなかったが、4回目まで記録は伸び悩んだ。しかし、ラスト1回で13秒83というガリオンに次ぐ記録を叩き出した。見習い聖騎士達は大いに沸き、ハーディーは拍手喝采に包まれた。ハーディーは調子に乗って両手を挙げ、投げキスを繰り返した。彼には少しお調子者なところがある。


 グライフは一度も失敗はせず、回を重ねる毎に確実に記録を伸ばしていき、4回目の記録は18秒56と、そこそこの好記録だった。そしてラストの1回を迎えようとしている。


「グライフ……何故、『ジェット・アタック』を使わないんだ?」


 ガリオンがグライフに問い掛けた。


「何故……って、別に、〈攻撃〉するわけじゃあないですし……」


「……お前、ちょっと頭が固いんじゃあないか? こういう場面で利用する柔軟さも必要だぜ?」


「……柔軟さ……ですか……? …………なるほど……」


 グライフの目つきが変わった。真剣そのものと言った眼差しだ。


 ヒュンッ! と、グライフは一気に飛び降りた。


 序盤のジャンプは平凡そのものだった――だが、ジグザグエリアに入る直前の空気のクッションに着地(着空)した瞬間、グライフはギアを上げた。


 ボッ‼


 グライフが魔霊気を全開にすると、全身から輝くオーラが噴出した。


 それは、一般的な魔霊気と違って、輝く粒子が飛散するようなオーラに見えた。


「なんだっ⁉」


 観ていた者達は、一様に驚いた表情を見せる。


 それは、グライフが得意とする光属性の魔力の発現。


 そのオーラの流れをコントロールし、背面に噴き出す出力を上げる。


 グライフは、得意の光属性の魔力エネルギーを、魔技『光子放出パーティクル・エミッター』によって、背後に放出して動く事ができる。


 放出された光属性のエネルギーは、空気中に存在する『魔霊素子エレメント』と反発し、後方から〈押し出す力〉が発生する。


 本来、魔技『光子放出』を使用しながらの攻撃を、魔技『魔力噴射ジェットアタック』と呼ぶため、純粋に自分自身を加速させるだけなら、『光子放出』を使うと言うのが正しい。この2つをガリオンは混同していた。


 ゴッ‼ ボンッボンボンボンボボンッ‼


 かなりの速度でジグザグエリアをクリアし、美しく輝く光の粒子が軌跡として残る。


 そしてグライフは、垂直降下に入った。


 ここでも『光子放出』を全開にし、超高速で降下していく。


 ギュインッ‼


 その速度は、ハーディーの急降下の最高速度に匹敵するほどだった。


 グライフは、急降下しながら珍しく気持ちが高揚して、歯を見せて笑った。


 前転して身を翻し、最後の巨大なクッションに「グイ~ン」と沈み込む。そこでさらに『光子放出パーティクル・エミッター』の出力を上げる。


 ギュンッ!


 グライフは〈ゴール地点の浮遊岩〉への着地の直前、勢い余って少し高跳びし過ぎてしまったが、身体を捻って半回転し、上空に掌を向けて『光子放出』して、そこから一気に急降下した。着地点にある最後の空気のクッションに着地した時、「バンッ」と、破裂しそうなほどの音が鳴り響き、グライフは体勢を整えて、「ズザッ‼」と、着地した。


「……‼ な、何だと……‼ あ、あいつ……、あんな技を隠してやがったのか⁉」


 ゴール地点の浮遊岩で待機していたハーディーは驚愕した。


 ジゼルも目を丸くして驚いている。


「……き、記録は⁉」


 その場にいたミロが興奮した様子でサポート要員に聞く。


「じゅ……13秒……8……9です‼」


「…………‼」


「うぉおおおおおおおおおおお‼」


「す、凄かったぞぉっ‼ グライフ~ッ‼」


 ゴール地点の浮遊岩に居残っていた者達は大いに沸き、「パチパチパチパチ……」と拍手が鳴り響いた。


 ハーディーは勝ったのに、まるで負けたかのように悔しさを滲ませた。


「ぐ……ぐぬぬぬ……‼ ……ゆ、優勝したのは、お、俺なのに……‼」


 ハーディーはグライフに向けられた歓声に対し、純粋に嫉妬を覚え、苦虫を噛み潰したような表情を見せた。それに気付いたジゼルが問う。


「……? な、何で悔しそうな顔してんだ? お前が勝ったんだぞ? 喜べよ」


「……な、何でだか……お、俺にもわっかんねぇよ……‼ クソったれ……‼」


 当のグライフ本人は、負けた悔しさよりも、自分が思った以上の好成績を出せた事に喜びを感じ、同時に安堵して、珍しく満足そうに笑顔を見せていた。


「……お前の勝ちだ。おめでとう」


 初めて出会った時に握手を拒否したグライフの方から、ハーディーに握手を求めた。


 ハーディーはグライフの手をジッと見て、一瞬、思いっ切り叩き返そうと思ったが、さすがに大人げないと思い、素直に握手に応じた。だが、しかし――


 ギュウゥウゥゥゥゥゥッ‼


 ハーディーはちょっとムカついていたので、思いっ切り〈握り潰すような強さ〉で握手した。一瞬、グライフは「ピクッ」と顔を引き攣らせ、負けじと強く握り返した。


 ギュウウウウウウゥゥゥッ‼


 2人の目線が交錯し、お互い引き攣った笑顔で力強く握手をしている。


 2人の間にバチバチと火花が散る。


 しかし周囲の者達は気付かず、2人の〈微笑ましい光景〉に惜しみない拍手を送った。


 パチパチパチパチパチパチパチパチ……


 ギュウウウウウウ…………‼


「……い、いつまで握手してんだ? こいつら……」


 2人の異様な状況にジゼルはドン引きしていた。


 それに気付いていたミロとマイルズも引き攣った笑顔で2人の様子を見守った。


 その後、優勝したハーディーは胴上げをされ、掃除の仕事を5日間免除された。


 ちなみに2位のグライフは3日、3位のジゼルは1日の免除を許されたのだった。


 その後、1週間置きに空中訓練は行われる事となった。


 あくまで訓練であって、大会ではないのである。


 2回目以降は、1位は3日、2位は2日、3位は1日の掃除の仕事の免除となった。

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次回:2025年05月03日 21時20分

EP.15 ライバル

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