嘘も方便
ふむ、どうやら私は盛大にやらかしてしまったらしい。
今どうなってるんだって?
うん、両親から痛いほどの視線を浴びながら、スーパーコンピュータの如き計算速度で言い訳を考えている途中だね。
·····やっべー、マジどうしよ、考えに夢中になっててお母さんが部屋に入ってきたのに気が付かず歩き回っちゃってたよ。
しかも、間違えて思いっきりお母さんに怒鳴っちゃったよ·····
「「·····」」
「·····」
◇
長い沈黙を破ったのは、発見者のお母さんだった。
「あなた、私が産んだソフィで合ってるわよね?」
「あっ、はい、わたしはそふぃーです」
「「シャァベッタァァァアアァァァアア!?」」
「うん?しゃべったよ?」
どうやら、まだ私が喋るのが信じられないらしい。
「あー、えっと、仮にソフィだとしてだ、何でその歳で話せるんだ?何で歩けるんだ?」
「えっと、がんばったから·····」
「「それは絶っ対に有り得ない!!!」」
「うぅ·····じじつなのに·····」
「ほら、白状なさいソフィ、本当はどうなの?」
「·····すきるのちから、です」
もう全部スキルのせいって事にしちゃえっ☆
「スキル?えっ、もう持ってるの!?『祝福』も受けてないのに!?」
「確かまだ『ステータス鑑定』のスクロールあったよな?ちょっと取ってくる!」
うげっ!ヤバい!
私のステータスがバレたら確実に大騒ぎになる!
最悪の場合、研究施設送りになって実験動物扱いになるよね?!
そうだ!今のうちにユニークスキル『賢者姫』でユニークスキル『賢人の石』に干渉して、賢人の石の『魔力隠蔽』の性質を改変して、スキルとステータスと称号の表示を改変しちゃえ!
よーしいい子いい子、ちょーっとだけその隠蔽能力をいじってもいい?えっダメ?ちょっとだけだから!ね?いいいでしょ?
·····だーかーらー!!
バレたら超面倒な事になるかもしれないんだよ!?
なんて自分のスキルと喧嘩していると、最後の一言が効いたのか『魔力隠蔽』の部分だけ改変が許されたので一気に改変してしまった。
◇
《ステータス》
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:生後10ヶ月
性別:女
Lv:1
HP:15
MP:37(※約3700万+約40億(『賢人の石』貯蓄分))
物攻:1
魔攻:10 (※可変、最高値不明)
防御:2
魔防:30 (※可変、最大値∞)
器用:15
速さ:3
スキル:3
称号:無し (※12)
◇
《スキル》(※偽装)
『魔法の心得(低級)』
・身体に魔力を宿す事が出来る
・魔法が使えるようになる
・威力は低いが低級魔法のみ全属性を使える
『聡明』
・頭が良くなる
・思考能力が上昇する
・理解力が高まる
『向上思考』
・あらゆる成長にボーナス(小)が掛かる
◇
《スキル》(※本物)
ユニークスキル『リスポーン』
一日に3回までなら死亡しても復活可能。
死亡後すぐに肉体が消滅し、自分が設定したポイントで肉体が復活する。
(リスポーン位置:シュテイン家のソフィのベッド)
ユニークスキル『賢者姫』
少女が持つ『ありとあらゆる魔法を使え、新たな魔法を生み出す事の出来るスキル群』を統合したスキルの名称。
スキル詳細
・魔法創造
・魔導の極地
・魔導の深淵
・全属性適性
・全魔法適性
・██に愛されし者
・アカシックレコード
ユニークスキル『賢人の石』
賢者の石の下位互換だが、莫大な魔力を蓄積・生成が可能、魔法の効果に超プラス補正、魔法の反動軽減などが付与される。
また、賢人の石は自身の魔力を隠蔽するため宿主の魔力もろとも隠蔽する性質を持っていたが、ソフィに弄られた。
他者からは普遍的な能力にしか感じ取れなくなる。
実は宝石や鉱物のような物ではなく、心臓付近にある魔力の節のような空間の名称であり、実体は無い。
やろうと思えば魔力の結晶を生成して出せる。
ただし結晶は尻から出る。
(※訓練次第では変えられます)
身体の外に本体から繋がる『魔力の枝』を生み出し、武器や魔法増幅器として活用出来る。
貯蓄魔力: 約4000000000(40億)
改変中:魔力隠蔽→ステータス・スキル・称号の隠蔽
◇
《称号》(※偽装)
無し
◇
《称号》(※本物)
『死を越えし者』
『異世界転生者』
『美少女賢者(の予定)』
『女神を思い出し笑いで殺し掛けた女』
『おパンツ大好き♡』
『蛮勇』
『見た?』
『危ない女』
『懲りない女』
『深淵を覗く者』
『ドジっ娘』←New!!
『嘘つき』←New!!
◇
よし!色々ツッコミたい所が沢山あるけど何とかなった!!
·····レベルとかそこら辺適当にそれっぽく作っちゃったけど、変じゃないよね?
このくらいでもインフレした数値になってたりしてないよね?
そして改変が完了した瞬間、お父さんが魔法のスクロールと思わしき巻かれた紙を持ってきた。
色々不安だけど、とりあえずこれで確定ということにしておこう。
「スクロール持ってきたぞ、リラ、後は頼む」
「OK、じゃあ使うわよ·····『ステータス鑑定』!」
お母さんが手に持ったスクロールに魔力を込めると、スクロールが輝いて私を包み込んだ。
ふぅん?私の『鑑定』と基礎は同じだけど、用途を限定的にすることで精度を上げてるのかな?
そういう手もあったのか·····
まぁ、私の場合ゴリ押しできるけどねっ☆
と考えていると、お母さんたちがスクロールに表示されたステータスを見て感想を言い始めた。
「·····なんというか、ソフィの成長の理由がわかった気がするわ」
「あぁ、どれも微妙だけど納得出来るスキルだな」
「びみょーって·····」
ひどいっ!!
それが愛娘に対する反応か!!
むぐぐ、こうなったら私の真の姿を·····
と思ったけど、見せるのはもっと怪しまれるので止めておこう。
「まって、この歳でもう『魔法の心得』持ってるの!?そういえばこの子『光球』使ってたわね·····」
「しかも、ステータスはこの歳にしては高いぞ?」
「ま、まぁ、ソフィの成長が早くなったんだから良しとしましょ?」
「·····そうだな、というかソフィ、いつから言葉を理解してたんだ?」
「うまれてから、さんしゅーかんくら····· やべっ」
「えっ、まって、3週間でもう!?」
「リラ、ちょっと来てくれ·····」
「えっ?あっ、ソフィ、ちょっとまってて?」
「はーい」
そう言うと、お母さん達は部屋の外に出ていった。
理解が追いつかなくなっちゃったのかな?
お父さんとお母さんは何やらヒソヒソと話をしているので、『盗聴』と『千里眼』を駆使して盗み聞きしてみる。
◇
「·····どう思う?」
「ソフィの事?」
「あぁ·····」
「そうね·····」
「「控え目に言ってウチの娘天才じゃね!?!?」」
あっ、ダメだこりゃ。
2人とも極度の子煩悩だ。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:10ヶ月
ひと言コメント
「なんとかウソでごまかせた····· よね?」




