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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第二章 TS賢者は魔法学校へ行くっ!
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魔王と賢者と勇者


「何事っ!?というかマズい!『マジックキャンセラー』っ!!」


 ギャリィィィィィィイイイイイイッ!!!


 更に窓から侵入してきた存在が放った最上位火属性魔法『インフェルノ』を私は魔力で相殺して鎮火する事に成功した。

 仮に結界で守ってたら、この部屋に引火して大惨事になるところだった。


 せっかくこの前買った服を焼かせる訳にはいかないし、ついでにこの子も巻き添えになる。


「容赦しないよっ!!『マギ・レールガ····· って校長先生っ!?」


「どきなさいソフィちゃん!そいつは『魔王』よっ!かつて私たちが倒した魔王とソイツの魔力が一致したわ!!今すぐ殺さなければ世界が危ないわ!!」


「魔王····· この子が?」



 2人目の侵入者はなんとはるか昔に日本からこの世界へやってきた校長先生だった。


 校長先生が凄い剣幕で私に退けと言ってくる。

 そしてこの倒れている子を『魔王』と言っていた。


 確かに、この子は今まで見た魔物では1番·····

 ごめん、クトゥさんとか霊峰の山頂に居るドラゴンの方が強いわ、あと『イビルディアー』の方が怖かった。



「そうよ!ソイツはかつて世界を支配しようとした最悪の魔族の()よ!!」


「男·····?」


 衝撃波で床に転がった暫定魔王を足で転がして表を向かせるが·····


 うん、()()()()()ね。



 ·····って事は、俺と同じなのか。



「ごめんなさい校長先生、尚更先生を通すワケにはいかなくなりました」


「なんでよ!!危険の芽は早い内に摘むの!相手が例え子供であろうともッ!!」


「元男と聞いて()が殺される所を黙って見ていられるワケないだろうがッ!例え悪魔だろうが魔王だろうが、コイツは世界でただ1人、俺と同じ悩みを抱えた()()だッ!!」


『Gvar… Hyef!?·····Bzoth?Mvpoct?Azorfh Mvpocterns apynt?』


 私は部屋やこの子に炎が燃え移らないように中和しながら先生に反撃を仕掛けた。


「『マギ・レールガン』射撃用意····· 校長先生、流石の貴女でも極音速の弾丸はこの至近距離だと避けられませんし、結界を展開してもタダじゃ済まないですよね?なので魔法を止めてください」


「くっ····· わかったわ·····」


 絶対に人に向けないと誓った魔法を人に向けた。

 それくらい私は本気だ。


『Kntpvr····· Якаманама····· සනීර් ෆුටා·····』


『maoyzbi! ·····あー、あー、この言語じゃったか·····?』


「ん?起きた?」


『う、うむ、言葉は通じておるか?お主らが話しておった言葉じゃと思うが·····』


「うん、ちゃんと伝わってるよ、でもちょっと古い感じがするけど·····」

『それは良かったのじゃ』


「の、のじゃ?」


 うわ、のじゃロリだ。

 初めて見たわ、いい物を見せてもらったわ。



『む?どうしたのじゃ?それより、ぱ、パンツはどこかにないかの?この体になってから股がスースーして仕方がないのじゃ·····』


「ごめんね?私はパンツ1つしか持ってないの」


『そ、そうか····· いやそれはそれで問題あるじゃろ』


 うーん、どうするべきか·····

 そうだ!


「とりあえずコレ着といて?柔らかいからたぶん痛くないと思うよ」


『うむ、助かる····· ふ、ふわっ····· 凄いのじゃこれ·····』



 仮称魔王ちゃんに私の作った失敗作のパジャマをあげたところで、校長先生が話し掛けて来た。



「·····そろそろいいかしら?ソフィ・シュテイン、あなたは人類に敵対する行為をしたのよ?わかってるかしら?」


「知りませんよそんな事、魔力が魔王と似ている女の子ってだけで決めつけるのはダメじゃないですか?」


「それは無いわ、魔王の魔力には特徴があるのよ、だからソイツは魔王に違いないわ」


『ひっ!?貴様はっ!!勇者にベタ惚れしておった魔導師の女!!?』


「そうよ、復活前の貴方を殺した勇者一行の魔導師よ、貴方が再び世界を支配するため戦争を起こす事を危惧して殺しに来たのよ」


『ひっ····· お、お主!ワシの事をた、助けるのじゃ!』


「どうしたの?復活前のあの威勢はどうしたのかしら?女の子になって日和ったのかしら?」


「校長先生·····?」


「分かってるわ、ただ、ソイツは世界を巻き込んだ大戦争を起こし、無関係な人々を沢山殺したのよ!世界を支配するとかいう下らない理由で!」


『わ、ワシはそんな事企んでおらん!!』


「··········どういう事かしら?言いなさい」



 かつて魔王と呼ばれていた少女は、ぽつりぽつりと自分の過去について語り出した。



『ワシは、ワシはただ、叔父上の指示にしたがって、王座に座っておればよいと、強い者が現れたら倒せば良いと、勇者が来たら倒せと、そう言われただけなのじゃ····· ワシは魔族の皆に世界を征服しろとなんぞ一言も言っておらん!!』


『ワシは、ただ強い者と戦いたかっただけなのじゃ····· 世界征服を考えたのはワシの周囲の者共じゃ·····』


「·····続けて」


『うむ····· ワシは戦争の戦略には本当に関与しておらぬ!叔父上は、歴代魔王の中でも最強の力を持っておるワシを王にして、その力を盾に世界を征服しようとしていたのじゃ·····』


『人間の暮らす街に魔物をけしかけていたのは叔父上とその配下共じゃ!ワシはそんな極悪非道な事は大嫌いなのじゃ!タイマンで殴り合う、命を削って戦う、そういうのがワシは好きなのじゃ!!断じて!そんなことは!指示しておらぬっ!!』


『そして!この体になって力は大きく削がれてしもうた!あの頃のような強大な魔力も能力も無いから世界征服なんぞ無理じゃ!もう懲り懲りじゃっ!!ワシは戦争なんぞ無縁な生活がしたいのじゃッ!!!』


「·····確かに、貴方が直接街を襲った事を見た事は無いわ、戦う時も必ず広い平原や荒野だったわね」


『うむ····· ワシが暴れると街に被害が及ぶからのぅ、なるべく被害が出ても問題ない場所で行ったのじゃ』


「そうね·····」


『·····ところで、叔父上はどうなったのじゃ?』


「叔父上?もしかしてローブを被った醜いゴブリンみたいな魔族かしら? 貴方を倒したあと勇者が殺したわ、アレが貴方の叔父上だったのね····· 殺したけど恨まないでよ?」


『恨んでおらぬ、むしろ清々したくらいじゃ』



 ここで私が二人の会話に割って入った。



「えっと、つまり魔物と人間の戦争の原因を作ったのは魔王じゃなくて魔王の周囲に居た人達で、魔王は実質被害者って事で合ってる?」


『そうじゃ····· じゃが、ワシの力が戦争の引き金になった事は認める、本当に申し訳なかった····· じゃがワシは命を1度失っておる、その命でワシを許してはくれぬか?·····ダメというのなら、わ、ワシは、死、死を····· うけ、受けいっ、うぅ·····、受け、受け入れるのじゃっ!!』



 俯いてそう言う魔王ちゃんの体は震えていた。


 死が怖いのだろう。

 私も1度死んでいるから、その気持ちはよくわかる。


 自分が無になり、自分が自分じゃなくなる、自分という存在がこの世から消えるというあの感覚は本当に怖い、今でもたまに思い出して怖くて泣く程だ。



「校長先生、私からもお願いです、魔王ちゃんを許してくれませんか?私も魔王ちゃんと同じで1度死を経験してます、死ぬのは、本当に、本ッ当に怖いです、だから、魔王ちゃんの気持ちがよくわかります、それでも魔王ちゃんは自分の命を差し出したんです!そんなこと、死を経験した者だったら、並大抵の精神では絶対に無理です!だから、その覚悟に免じて、彼女を許してくれませんか?」



「·····1つだけ条件があるわ」


『うむ、死以外であれば何でも受け入れるのじゃ·····』


「いくら貴方が指示をしていなかったとは言え、貴方は魔王よ?今すぐ100%信用する事は出来ないわ」


『そうじゃの····· それはワシも分かっておる』


「私はいま魔法学校の校長をやっているの、だからその魔法学校に入学する事、それがあなたを許す条件とするわ」


『·····理由はわかる、不安定要素はなるべく自分の管理できる範囲に置いておきたいからの』


「ええそうよ、·····あとソフィちゃん、魔王を庇った事に対する私からの罰よ、魔王はあなたのクラスに魔族の学校から転校してきたという事にするわ、そして仮に魔王が怪しい事をした場合、あなたの手で即座に魔王を殺しなさい」


「·····わかりました、魔王ちゃん、それでいい?」

『構わぬ、助けてくれたお主に、こ、殺されるなら、大丈夫じゃ、それに今のワシがお主に勝てる気がせぬ、抵抗した所で無駄じゃろう····· じゃが、もし殺すなら一瞬で頼む····· 二度とあんな苦しい思いはしたくないのじゃ·····』


「·····うん、私も魔王ちゃんを殺したくない、だから絶対に悪い事はしないで?」


『承知した·····これで良いかの?魔術師よ』


「·····はぁ、魔王、貴方の入学を許可するわ、だけど色々話をする必要があるわ、付いてきなさい」


「あっ、校長先生、もし校長室に行くならゲートを繋げますよ」


「お願いするわ」


「了解!『ゲート』展開!·····それと先生、魔王ちゃんの無事が確認できるまで先生に魔法で呪いを掛けます、もし魔王ちゃんが死んだら先生も死ぬようにしました、だから私に隠れて殺すのは無理ですよ?」


「·····わかったわ、それじゃ魔王、付いてきなさい」


『うむ、ワシもお主と話したい事が沢山あったからの、色々聞かせてほしいのじゃ』


『あとソフィと言ったか、·····ありがとうな、クラスであったらよろしくなのじゃ』


「うん、その時は友達になろう、だから待ってるよ」


 こうして、突然の乱入者たちは私の部屋から去っていった。





 ちなみに私はこの間ずっとスク水で濡れたままだったせいで翌日風邪をひいたし、部屋が大荒れしてるし大騒ぎしたせいでドーミさんからしこたま怒られた。





名前:ソフィ・シュテイン

年齢:6才

ひと言コメント

「·····死ぬのは、嫌」


名前:魔王(仮称)

年齢:不明

ひと言コメント

『ワシは普通の女の子になりたいのじゃ·····』


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